朝が来るまでキスをして。

月湖

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65 罰の前に side hikaru

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「あ・・・」



「さっきは上手くできてたのにな?」



ナガレくんの声に表情が無くなって、顔も見えない今彼が何を考えているのか分からなくて怖くなる。



「・・・っ!」



ジェルのボトルを握りしめ、彼の次の行動を感じようと神経を尖らせていた時、前触れも無く頬に触れてきた彼の手。

思わずビクッと肩を跳ね上げると、すぐ側でクスクスと笑う声がした。



「な、に?」



機嫌が悪い時の彼はもの凄く意地悪だ。

いったい何をされるのか・・・。



「そんな怖がらなくてもヒドイ事しないよ(笑)
可哀想だから目隠し外してあげようと思っただけじゃん」



「え・・・?」



これから、自分がしようとしていた事を考えると、思わずそんな声が出てしまった。


彼のを自分の中に受け入れる為、後ろを解さなければいけないのに。

彼にされる時だって恥ずかしくてしょうがない行為を自分でしろと言われたさっき。

それを見られてると思うだけでももの凄い羞恥が襲ってくるというのに、ここで目隠しを取られたら、彼が見ている事を視覚でも認識しながらしなければいけなくなる。

何も見えなかったからこそ開き直れたのに、コレが無くなったら・・・。



きっとそんな事もお見通しなんだろう。

だからこんな事を言うんだ。



「なに? 嫌?」



頬を撫でていた彼の手が止まる。

分かってる。俺に選択権など最初から無いんだ。



「・・・ううん」



そう言いながら、彼の手に少しだけ甘えるように緩く首を振った。

俺の答えに彼がまた「んふふ」と小さく笑う。



「じゃ、解いてあげるから、こっちきて俺の首抱きな?」



頬を撫でていた手がするりと滑り、俺の手を握って軽く引っ張られた。



「ナガレくん・・。キス、しても、い?」



前に、彼の出したモノを飲み込んだ直後にしたキスの後、彼は少し嫌そうに言った。


『やっぱ、フェラの後って好きじゃねえかも(笑)』


どんな意味で言ったのかは分かる。

ナガレくんとカンケイを持つ前は自分だって女を抱いていたのだから。

でもこんなカンケイになったからこそ、今になって彼女たちの思いも少しだけ分かった。

苦しい事をしたご褒美、みたいに優しくして欲しい。

そんな事は言えはしないけれど。


俺は見えない彼の頬を両手で包みながら彼の答えを待った。



「んー・・・しかたねえな。いいよ」



少し嫌そうに、けれど許された瞬間、俺は彼の唇に自分の唇を押し付けた。



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