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ノースポール公爵家の事情編
リタの秘密
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リタと並んで紅茶を真剣に淹れる。なかなか難しい。それでもなんとか様になってきた頃だった。リタが話しかけてきた。
「ねえ、ヒナ?その、奥様って本当に毒だったの?」
「え?そうです。間違いないと思います。」
「・・・そう、よね。」
暗い表情で思案顔をするリタ。心配になり話しかける。
「・・・何か気になる事が?」
「・・・貴女にこんな事を言っても理解できるかその、分からないのだけど。わたしは・・・前世の記憶を持っているの。」
「・・・前世。」
「そう、お嬢様にはちょっとだけ言った事があるのだけと、虚構のお話だと思っているみたいで・・・ちょっと信じてもらえてないんだけど。」
「なぜ、そんな話をわたしに?」
「うーん、貴女がスライムだからかしら?お嬢様の味方なのは変わらないし、何よりわたしが今、状況を飲み込めないから吐き出したかったというか・・・まあ、そんなところよ。」
分かったような分からないような。だが、今リタは1人では処理できない問題に直面しているということなのだろう。
「わたしでよければ、聞きますよ。」
そのヒナタのセリフに、リタはハッと顔を上げヒナタを見つめるとフッと笑った。
「ありがとう・・・ヒナ。」
それからのリタの話はとても興味深いものだった。
「この世界は乙女ゲーム『イケメンプリンス革命~愛は王国を救う~』略してイケプリの世界なの。わたしも最初は分からなかったのだけど、この屋敷に洗濯下女として雇われお嬢様の名前を聞いた時に気づいたの。それからは国の名前や王族の名前とかを色々調べて確信したわ。」
「あの、リタさんは侍女ではないのですか?」
「不思議に思うかもしれないけど、今はお嬢様の専属侍女よ。でも元々は平民で孤児だったの。12歳の時に洗濯下女として運良く雇われる事ができたのだけど、そんなわたしが侍女になれたのは、ある意味エライザ様のおかげなの。」
「エライザ様の・・・?」
「そう、お嬢様への嫌がらせでわたしが侍女に選ばれたの。お嬢様には洗濯下女で充分だとね。でも!お嬢様はわたしが出来なくても叱ったりしなかった。少しずつ覚えればいいのだと文字も書けなかったわたしに教えてくださったの。勉強も自分の後ろに居れば一緒に学べるだろうと一緒に連れて行ってくださり、復習にもなるからとわたしに学んだ事を教えてくださったの。」
「だから今のリタさんになる為に努力されたんですね。」
ヒナタの言葉にリタは力強く頷く。
「あんなに努力家でお優しいお嬢様の恩に報いる為にもわたしはお嬢様をお守りしたいの。それで、最初の話に戻るのだけど、実はお嬢様が『イケプリ』における悪役令嬢になるのよ。」
「悪役令嬢?お嬢様が?」
「信じられないのもよく分かるわ。だって、お嬢様の性格はゲームでの性格とだいぶ違うんだもの。ゲームでは、無表情でとてもツンツンしていたのよね。そして婚約者のコナー第二王子殿下を盲目的に愛していらっしゃったと思うんだけど・・・。」
「全く違うじゃないですか!本当に悪役令嬢なんですか?」
「それは間違いないのよ。そのゲームの悪役令嬢フローレンスがとてもカッコよくて好きだったから、よく覚えているの。容姿が。」
「え?容姿だけ?」
「あ、今は性格込みで大好きよ!そこは間違わないでね!」
「・・・はぁ。」
「ゴホン。それで、お嬢様のお母様、グレース奥様なんだけど、ゲームの中では病死だったのよ。だから、お嬢様にも医者の診断はおかしいんじゃないかって進言して、一緒に薬を作ろうとしてたんだけど・・・まさか毒だったなんて。もしかしたら、ゲームでも本当はそうだったのかしら。」
「そこは分からないんですか?」
「うーん、全ルートを攻略したわけではないから確信は持てないけど、病死の記述があったのは確かね。あとエライザ様って実は名前も出てなくて・・・悪役令嬢は継母に小さい頃から虐待されていたという記述はあったから、この継母がエライザ様だと思うのよね。
旦那様が再婚されるのがお嬢様が10歳の頃だったはずだから、グレース奥様に関しては本当に焦っていたのよね。でもまさか、お世話もされていないなんて・・・最近は特に近づけないようにされていたから、もっと無理矢理にでも見にいけばよかった!」
悔しそうに拳を握るリタの手の上にヒナタも手を重ねる。
「大丈夫。リタさんが頑張ってくれたお陰で、お嬢様は救われていると思います。お嬢様が悪役令嬢みたいな性格になっていないのもリタさんの愛情が伝わっているからだと思いますよ。それに奥様はまだ手遅れじゃありません!これから助けるんです!!」
「ねえ、ヒナ?その、奥様って本当に毒だったの?」
「え?そうです。間違いないと思います。」
「・・・そう、よね。」
暗い表情で思案顔をするリタ。心配になり話しかける。
「・・・何か気になる事が?」
「・・・貴女にこんな事を言っても理解できるかその、分からないのだけど。わたしは・・・前世の記憶を持っているの。」
「・・・前世。」
「そう、お嬢様にはちょっとだけ言った事があるのだけと、虚構のお話だと思っているみたいで・・・ちょっと信じてもらえてないんだけど。」
「なぜ、そんな話をわたしに?」
「うーん、貴女がスライムだからかしら?お嬢様の味方なのは変わらないし、何よりわたしが今、状況を飲み込めないから吐き出したかったというか・・・まあ、そんなところよ。」
分かったような分からないような。だが、今リタは1人では処理できない問題に直面しているということなのだろう。
「わたしでよければ、聞きますよ。」
そのヒナタのセリフに、リタはハッと顔を上げヒナタを見つめるとフッと笑った。
「ありがとう・・・ヒナ。」
それからのリタの話はとても興味深いものだった。
「この世界は乙女ゲーム『イケメンプリンス革命~愛は王国を救う~』略してイケプリの世界なの。わたしも最初は分からなかったのだけど、この屋敷に洗濯下女として雇われお嬢様の名前を聞いた時に気づいたの。それからは国の名前や王族の名前とかを色々調べて確信したわ。」
「あの、リタさんは侍女ではないのですか?」
「不思議に思うかもしれないけど、今はお嬢様の専属侍女よ。でも元々は平民で孤児だったの。12歳の時に洗濯下女として運良く雇われる事ができたのだけど、そんなわたしが侍女になれたのは、ある意味エライザ様のおかげなの。」
「エライザ様の・・・?」
「そう、お嬢様への嫌がらせでわたしが侍女に選ばれたの。お嬢様には洗濯下女で充分だとね。でも!お嬢様はわたしが出来なくても叱ったりしなかった。少しずつ覚えればいいのだと文字も書けなかったわたしに教えてくださったの。勉強も自分の後ろに居れば一緒に学べるだろうと一緒に連れて行ってくださり、復習にもなるからとわたしに学んだ事を教えてくださったの。」
「だから今のリタさんになる為に努力されたんですね。」
ヒナタの言葉にリタは力強く頷く。
「あんなに努力家でお優しいお嬢様の恩に報いる為にもわたしはお嬢様をお守りしたいの。それで、最初の話に戻るのだけど、実はお嬢様が『イケプリ』における悪役令嬢になるのよ。」
「悪役令嬢?お嬢様が?」
「信じられないのもよく分かるわ。だって、お嬢様の性格はゲームでの性格とだいぶ違うんだもの。ゲームでは、無表情でとてもツンツンしていたのよね。そして婚約者のコナー第二王子殿下を盲目的に愛していらっしゃったと思うんだけど・・・。」
「全く違うじゃないですか!本当に悪役令嬢なんですか?」
「それは間違いないのよ。そのゲームの悪役令嬢フローレンスがとてもカッコよくて好きだったから、よく覚えているの。容姿が。」
「え?容姿だけ?」
「あ、今は性格込みで大好きよ!そこは間違わないでね!」
「・・・はぁ。」
「ゴホン。それで、お嬢様のお母様、グレース奥様なんだけど、ゲームの中では病死だったのよ。だから、お嬢様にも医者の診断はおかしいんじゃないかって進言して、一緒に薬を作ろうとしてたんだけど・・・まさか毒だったなんて。もしかしたら、ゲームでも本当はそうだったのかしら。」
「そこは分からないんですか?」
「うーん、全ルートを攻略したわけではないから確信は持てないけど、病死の記述があったのは確かね。あとエライザ様って実は名前も出てなくて・・・悪役令嬢は継母に小さい頃から虐待されていたという記述はあったから、この継母がエライザ様だと思うのよね。
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悔しそうに拳を握るリタの手の上にヒナタも手を重ねる。
「大丈夫。リタさんが頑張ってくれたお陰で、お嬢様は救われていると思います。お嬢様が悪役令嬢みたいな性格になっていないのもリタさんの愛情が伝わっているからだと思いますよ。それに奥様はまだ手遅れじゃありません!これから助けるんです!!」
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