スライムなのに悪役令嬢になっちゃった！？・・・荷が重い！！

身代わり生活スタート

交渉？

ライアンはスライム姿のヒナタを愛おしそうに見つめ、それを困ったようにフローレンスが見ていた。


「・・・ふっ、ふ　は、ははははは！」


いきなり笑い声が聞こえてきた。


「おい、どうした？ケイン。」


ライアンにケインと呼ばれたのは、ライアンの隣にいた従者だった。そのケインが口元を片手で押さえてもう片手でお腹を押さえ、必死に笑いを堪えようとしているのだろうが抑えきれていなかった。


「ちょ、ちょっとだけ・・・ふはっ！ちょっとだけ、待って、待ってください！ははっ！」


しばらく笑い必死に深呼吸を無理矢理する事で、笑いを抑えていくケイン。はぁーはぁーと肩で息をしながら、やっと落ち着いたのかこちらに体を向けた。


「はぁ・・・失礼しました。どうしてもライアン殿下の番がス、ス、スライム・・・ぶふっ、失礼・・・スライムというのが意外すぎて、その、笑ってしまいました。」

「ケイン、不敬罪で処されたいのか？」

「いえいえ！滅相もございません！・・・大変失礼しました。」

「・・・・・後で覚えてろよ。俺のヒナなのに馬鹿にするのは万死に値する。」

「えーと、それより、ライアン殿下はどうされるのですか？ヒナ様でしたか、彼女でいいのかな？彼女を母国に連れて帰られるのですか？」

「ああ！そうだった！」


そう叫んだライアンは、ヒナタの方に向き合うとフローレンスの腕の中にいるヒナタに向かって片膝をついて右手を差し出した。


「ヒナ、俺の番よ。俺と結婚してくれないだろうか？そして、俺の国へと一緒に来てくれないか？」

「ちょっと、わたくしの視界に入るところでやらないでいただけます？」

「今、ヒナにプロポーズしているんだ。フローレンス嬢こそ、邪魔しないでもらえるか？」

「邪魔しますわよ。ヒナは、わたくしの従魔なんですのよ？わたくしの許可が必要に決まっているじゃないですか？」

「じゃあ、その許可をすぐにくれ。」

「許可するわけないでしょ！今、ヒナが居なくなったら困るもの！」

「フローレンス嬢は、ヒナの幸せを考えないのか？！番と一緒に居るのが一番の幸せだと思わないのか？？」

「それはライアン殿下が言ってるだけのことでしょ？ヒナの気持ちを聞きもせず勝手な事を言わないでいただけませんこと？」


段々と喧嘩腰になってきたライアンとフローレンスを「まぁまぁまぁ」と、ケインが仲裁してくれた。


「でしたら、ヒナ様のお気持ちを聞いてみませんか？」

「「それもそうね(だな)」」


ケインの言葉を受け、視線がヒナタに集中した。ヒナタは、両手を挙げ身振り手振りで何かを訴えてみた。


「ヒナ、それじゃ分からないわ。」

「フローレンス嬢には分からないのか？俺には分かったよ。ヒナは俺に愛してると言ったんだ。」

「ライアン殿下、ちょっと落ち着いてください。ちゃんと聞きましょうね。ヒナ様、人型に変化していただけないでしょうか？」


ヒナタがフローレンスの方を見るとフローレンスが頷いた。それを受け、またフローレンスの姿へと変化する。今度は違いが分かるように黒髪ではなく茶髪にした。一度、フローレンスの事を見るとライアンへと向き合った。

すぅーと息を吸うと、一気に思いを吐き出した。


「正直、ライアン殿下の事はかっこいいとは思うけど・・・３回しか会ってない、ほとんど知らない人とは結婚できません。ごめんなさい！！」


しっかりお断りをしたのだった。