スライムなのに悪役令嬢になっちゃった！？・・・荷が重い！！

身代わり生活スタート

学園

「そうだ。ヒナは、学園には通わないのか？」


突然のライアンからの質問にクエスチョンマークが頭の上に飛ぶ。


「学園・・・ですか？」

「ああ、そうだ。フローレンス嬢も通うんだろう？人に変化できるんだ。せっかくなら、一緒にヒナも通えばいいじゃないか。」


そんなライアンの提案にいち早く反対したのは他でもない、フローレンスだった。


「あら！それはダメですわ。ヒナは、わたくしと一緒に通うのですから！絶対にそちらの方が楽しいわ！ヒナ自身に魔法の知識がもっと有ってもいいとは思うけれど、わたくしから離れてまでは学ばなくても・・・・・サボりたい時の身代わりもやって欲しいし。」

「え？お嬢様、最後の方はなんておっしゃいました？」

「いいえ？何も言ってないわよ？それより、学園には一緒に行きましょうよ！」


フローレンスの願望も混ざっているようだが、ヒナタには最後のセリフは聞こえなかったようだ。


「一緒にというと・・・このように変化してという事ですか？双子と勘違いされませんか？」

「・・・わたくしの姿で通いたいの？」

「いえ、そうではなくて一緒にというのはどういう意味でしょうか？」

「そのままよ。今日ここに来るまでと同じようにわたくしの肩に乗っていればいいのよ。」

「ああ！そういう事ですか。確かにそれなら何も問題はないですね。」


納得したヒナタは、パッと笑顔になったが対照的に慌てたのはライアンだった。


「なるほど、ここへは肩に乗っていたから番の匂いがフローレンス嬢からしていたと勘違いしたのだな・・・いや、それは困る！その状態だと俺がヒナと会えないではないか！下級貴族とか特待生とかの枠をちゃんととって通うのがいいと思う。」

「それはわたくしが困りますわ。あまりヒナの存在を公にはしたくありませんもの。・・・それにライアン殿下にとってもそちらの方がよろしいのではなくて？」

「・・・どういう事だ。」


にこっとフローレンスは、晴れやかに笑う。


「もちろん、ヒナを他の男性の目に触れさせない為ですわ。見た目は好きに変えられるのですもの、言い換えれば、どなたの好みにも合ってしまうのですよ。それだけではありませんわ。ヒナはその能力も優秀なのですから、そこから目をつけられることもあり得ない事ではありません。用心に越した事はないのです。」

「くっ・・・そう言われてしまうと、納得せざるを得ないな。だが、それなら俺がフローレンス嬢に話しかける事になってしまうが、それは構わないのか？」

「それは公の場ですもの、そこまで我が儘は言いませんわよ。さすがに弁えていますわ。」

「我慢できずに入れ替わったのに・・・。」


ライアンの呟きはサラッと流してフローレンスは続ける。


「それに殿下の立場であれば、わたくしの側にヒナがいる方がわたくしの立場も事情を知る者でもあるしと、接触しやすいのではなくて？」


その考えにはライアンも賛成だったのかうーんと悩んではいたが、渋々とだがその提案に納得していたようだった。


「それでは、その方向で行くのであまり不自然に接触はしてこないでくださいね。」

「せっかく学園でもヒナと会えるように提案したのに、これじゃあまり変わらないじゃないか・・・。」

「・・・まあ、あまり会えないわけではないと思いますわ。ふふっ」


何かを企んでいるフローレンスにライアンは片眉をあげ、訝しむのだった。