愛人少年は王に寵愛される

時枝蓮夜

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散歩と野外での寵愛

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「昼に治療師は差し向けたが、体はどうか?」

  普段なら、まだ政務をこなしておられる夕方。そんな早い時間に陛下へいかはお戻りになられた。

「は、い。普通に過ごせるほど回復しました。
  治療師さまをありがとうございました」

「ふむ。なら、しばらく外へ出ておらなんだろう。庭を散歩しにゆくぞ」

  嬉しい!外へ出られる!
  僕は陛下へいかと一緒でなければ庭にも出られない。だから滅多に外へ出る事がない。

「はい。参ります」

  僕は嬉しくて、その言葉に一も二もなく従った。

◇◇◆

「わあ、気持ち良い…!」

  夏も近いこの季節、夕方の散歩は陽の光も弱くて心地好い。久しぶりの散歩で、土の匂いや草花の香りにもほっとする。

「…今夜は庵室あんしつに泊まろう」

  僕の腕を引いてエスコートしていた陛下へいかがそんな事をおっしゃる。

「え?でも警備けいびが…」

「気にせずとも良い。そなたに久しぶりの外を満喫まんきつさせてやる」

「あ…、ありがとうございます」

  陛下へいかは時々、こうして僕が喜ぶ事をして下さる。以前は図書室への自由な行き来を許して下さった。家庭教師を付けて下さった事もある。
  ただし、ベールで顔を隠すのが条件に出された。今もベールを付けていて、目だけが出ている。

  特に何か話すでもなかったが、ゆっくり散歩を楽しんだ。体力がない僕は庵室あんしつに着く前に疲れてしまったのだが…。

  休憩に近くの東屋あづまやいざなわれた。そして周りに衝立ついたてが立てられると、ベールを外す許可が下りる。

「…ふ……、熱かった…」

「そのようだな。ずいぶん汗をかいて、肌も火照っているな」

  陛下へいかは長い指で、僕の額に張り付いた髪を避けながらくつくつと喉を鳴らされる。

「私の元から逃げないと安心できれば、もっと自由に散歩程度許したのだが…」

「…………」

  僕は望んで陛下へいかの愛人になったのではない。ある日突然父の元へ愛人に召し上げる報せが届き、本当に召し上げられてしまったのだ。
  婚約者探しもそろそろと父が準備していたくらい、普通に女性と結婚するものだと思っていた。男の身で、陛下へいかの愛人に召し上げられる可能性を考えている貴族の方がまれな考えだ。

  攫われるようにここへ連れて来られ、逃げ出すなというのが無理というもの。

「ふん…?!」

  しばらく思考にふけっていると、とつぜん陛下へいかに深く口を吸われた。

「…!んぅっ、やっ」

「汗ばんだ肌に上気した頬…。まるでねやむつみ合った時のようだな。
  声を上げてもかまわぬ。離れたことろに控えさせている者達に、そなたの艶声つやごえを聞かせるだけぞ」

「!!」

◇◇◆

「~~~っぁ」

  椅子に両手を着いて押さえつけられ、お尻を突き出すようにして囚われる。衣は乱され、下穿きも膝まで下ろされてしまった。

  ふところから小瓶を取り出すと、陛下へいかは片手で器用にあけられ中身を手にすくわれた。

  それをお尻の合わせを使って、指にまとわせられる。指にクリームをまとうと、今度は昨日開花させられたばかりの蕾に丁寧に塗り広げられてしまった。

  その時にはもう蕾はひくりとうごめき、中を擦られる期待にひくついてしまっていた。

「昨日、具合が良かったようだな。ココが期待しているようで、何よりだ」

  ぷつりっ。くん、ずっ、ずっ、ず…っ。
 
  陛下へいかは僕の耳元で低く掠れた声でささやく。そうしながら、蕾を中指で慣らしに取りかかられる。

  こんなところで恥ずかしい蕾を暴かれるなんて、死んでしまいたい…っ。それが叶わないなら、寵を得ていると知られたくない…っ。

  そう思い必死に声を殺す。だが、殺し切れず甘い声が漏れてしまう。

  ああ、どうか誰にも悟られませんよう。どうか、誰も僕の痴態ちたいに気付かないで…!
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