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19話
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分からない。
最近ラビットは会うたびに毎回聞いてくるようになった。
『返事はまだかい?』
その言葉に、どうしても『うん』とは言えなかった。
ラビットさんは、確かにいっぱいお金を落としてくれる。
多分アリスだけじゃないだろう。
何人かの男にもこんな事をさせているのだろう。
そう思うと、その一人だと思うだけで胸が詰まる。
こんなになんでもやってるのに…
自分勝手だと言うのは分かる。
自分のような人間を好きになってくれる人間なんて、ましてや同性
での恋愛なんてできるはずもない。
きっと、なんでもやる自分が哀れなのだろう。
同情なのかもしれない。
それでもいい。
生きていけるなら。
親の顔も知らない。
生きている意味すらないのかもしれない。
それでも、まだ…
生きていれば、きっと何かいいことがある…そう思いたいだけなの
かもしれない。
『今日もアリスが頑張ってくれたからご褒美あげないとな…』
「うっ……はぁっ……んっ……」
『可愛い顔をこっちに見せて?』
「ラビットさんっ………アンッ……」
『そうそう、そのままイっていいよ…顔はこっちに向けたままにし
なさい』
「ンンッっ………」
最近はイきそうになると何故かカメラを向くように指示される事が
多い。
エスカレートする要求にも段々と慣れてはきているが、前のように
身体に穴を開けるのだけはどうしても素直に頷けない。
『そう言えばさ…アリスの可愛い乳首には片方だけしかピアスない
訳だし、いっそもう一個開てみないか?』
「これは………」
自分で好きで開けたんじゃない。
と言いかけたが、言いたい言葉を飲み込むと黙った。
『残念…気に入ってくれてると思ったんだけど…』
「…」
にっこりと笑うとそれ以上は何も言ってこなかった。
『そうだ、今度お風呂場で撮影してみないか?』
「それは…俺のは防水じゃないから……」
『それなら防水用の買ってあげよう。そうだな~明日ってわけに
はいかないけど日曜日にいつものところに預けておくから受け
取ってきなさい』
「あ、ありがとうございます…でも、防水で何を撮るんですか?」
『それは届いてのお楽しみだ。シャワー浴びておいで』
シャワーを浴びて帰ってきても、今日は珍しくまだ画面がついた
ままだった。
『髪が濡れているね…』
「あ…はい。」
『濡れたままも色っぽくていいよ。防水用カメラに変えてからが
楽しみだ、今日はもう寝なさい』
「あ…はい」
チャリンと投げ銭の音がするとすぐに画面が切れた。
いつも高額を入れてくれる。
それはスネークさんも一緒だ。
でも、本当にこのままでいいのだろうか…
最近ラビットは会うたびに毎回聞いてくるようになった。
『返事はまだかい?』
その言葉に、どうしても『うん』とは言えなかった。
ラビットさんは、確かにいっぱいお金を落としてくれる。
多分アリスだけじゃないだろう。
何人かの男にもこんな事をさせているのだろう。
そう思うと、その一人だと思うだけで胸が詰まる。
こんなになんでもやってるのに…
自分勝手だと言うのは分かる。
自分のような人間を好きになってくれる人間なんて、ましてや同性
での恋愛なんてできるはずもない。
きっと、なんでもやる自分が哀れなのだろう。
同情なのかもしれない。
それでもいい。
生きていけるなら。
親の顔も知らない。
生きている意味すらないのかもしれない。
それでも、まだ…
生きていれば、きっと何かいいことがある…そう思いたいだけなの
かもしれない。
『今日もアリスが頑張ってくれたからご褒美あげないとな…』
「うっ……はぁっ……んっ……」
『可愛い顔をこっちに見せて?』
「ラビットさんっ………アンッ……」
『そうそう、そのままイっていいよ…顔はこっちに向けたままにし
なさい』
「ンンッっ………」
最近はイきそうになると何故かカメラを向くように指示される事が
多い。
エスカレートする要求にも段々と慣れてはきているが、前のように
身体に穴を開けるのだけはどうしても素直に頷けない。
『そう言えばさ…アリスの可愛い乳首には片方だけしかピアスない
訳だし、いっそもう一個開てみないか?』
「これは………」
自分で好きで開けたんじゃない。
と言いかけたが、言いたい言葉を飲み込むと黙った。
『残念…気に入ってくれてると思ったんだけど…』
「…」
にっこりと笑うとそれ以上は何も言ってこなかった。
『そうだ、今度お風呂場で撮影してみないか?』
「それは…俺のは防水じゃないから……」
『それなら防水用の買ってあげよう。そうだな~明日ってわけに
はいかないけど日曜日にいつものところに預けておくから受け
取ってきなさい』
「あ、ありがとうございます…でも、防水で何を撮るんですか?」
『それは届いてのお楽しみだ。シャワー浴びておいで』
シャワーを浴びて帰ってきても、今日は珍しくまだ画面がついた
ままだった。
『髪が濡れているね…』
「あ…はい。」
『濡れたままも色っぽくていいよ。防水用カメラに変えてからが
楽しみだ、今日はもう寝なさい』
「あ…はい」
チャリンと投げ銭の音がするとすぐに画面が切れた。
いつも高額を入れてくれる。
それはスネークさんも一緒だ。
でも、本当にこのままでいいのだろうか…
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