異世界で最強無双〜するのは俺じゃなかった〜

秋元智也

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17話 罪の報い

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一瞬、言葉を失った。

今、何を言ったんだっけ?

「圭子?今…なんて…」
「だ~か~ら~、殺しちゃうって言うのはどう?」
「ちょっ、ちょっと待って!そんな簡単には…」
「大丈夫だよ~バレなきゃいいんだし?それにお兄ちゃんはもう死ん
 でる事になってるんだよ?」
「あっ…そっか…」
「そうだよ~」

そうだったのだ。
昨日、屋敷の人間は全員殺されたのだ。
それも、目の前にいる妹に…

「ウッ…ぷっ…」
「大丈夫?どこか気持ち悪い?痛いところあるの?」
「ち…違う…」

今まで仲のよかった兵士や剣術の先生も…

「リーさんは?リーさんはどうしたんだ!」
「あ~、殺してはいないよ?でも…多分今まで通りには生活はでき
 ないと思うよ?」

聞くんじゃなかった。
右腕と右足を切断して動けなくしたと話していた。

「早いうちがいいし、今晩にでも忍び込んでみよっか?」
「そんな早く?警戒されてない?」
「逆だよお兄ちゃん!日にちが経てば経つほど警戒されるんだよ。
 それに…今が一番手薄だと思うよ?だって、今頃は…ふふっ」

何を言いたいかは理解したつもりだったが、昔の妹だったらこんな
にも人の命を軽んじる様な子ではなかったはずだ。

この世界が、圭子を変えてしまったのだろう。
それなら、自分が付いていてやらなければならないと思う様になっ
た。

「俺も行く」
「大丈夫?気分悪いんでしょ?」
「自分の暗殺を依頼した奴の最後くらい見届けないとな…」
「そっか、わかったわ。なら…ゆっくり休んでて。夜に出発するから」

そう言うと、圭子はどこかへと行ってしまった。
この子供の身体には、もう限界だった。
一気に疲れが来ると寝床に座るとすぐに眠ってしまった。



圭子は家に兄を置いて来ると裏ギルドへと急いだ。
朝が明けた時には王家の屋敷が騒がしくなるからだった。

朝と共に警備の兵の死体が発見されたのだ。
そしてこの国の王であり、ケイルの父親が駆けつけた時には遺体は全て
安置場に運ばれており、装飾をされた棺の中にはボロボロに手足を折ら
れ、頭部を丸焼けにされた死体が入っていた。
ところどころに焼けた皮膚に銀糸の髪が残っている事から、それがケイ
ル皇子のものであると断定されたのだった。

「誰が…誰がやったのだぁー!」
「そ、それが…昨夜警備に当たっていた者は全員がここに運ばれており
 まして…」

ようは全員が死体で発見されたと言っているのだった。
そこへ兵に引きずられる様に連れてこられたのはメイドのリーさんだっ
た。

「おぉ、生きていたか!さすがと言いたいが、一体何があったのだ!」
「陛下、誠に申し訳…ありません。私が…付いておりながら…この様な」
「いい、もういい。そなたでも倒せぬ輩だったのか?」
「漆黒の魔女…あの女は始めからケイル様を狙っていた様に思えます」
「なに?なぜ、漆黒の魔女が?」

その名は誰もが知る名前だった。

昔の戦争中に活躍した黒い髪の魔女の伝説だった。

今も生きているのなら1000年は生きている事になる。

「誰かが、暗殺を頼んだと言うことか?」
「はい…その可能性が…ゴホッ、ゲホッ…」

血反吐を吐きながらも話そうとするリーさんを止めると、早く治療する
様に諭した。

「手足は戻らなくても、治療すれば命は助かろう」
「いえ、私は…ケイル様が亡くなったと言うのに…おめおめと生き恥を
 晒すなど…」
「馬鹿もん!そんな事でどうする?生きて今度は私に仕えよ!」
「陛下…」

そう言うと踵を返して執務室へとこもってしまった。
人前で泣くなどあってはならなかった。

まだ幼い我が子が、この様な死に方をするなど許せなかった。
この前、剣術指南役から筋がいいと褒めていたのを思い出す。

ダンジョンでも、初めてなのに魔物に挑んで倒したとも聞いていた。

「おい、兵を集めて屋敷を調査させろ!一刻も早く犯人を捕まえろ!漆黒
 の魔女だと…そんなの知らん!我が子を殺した報いを受けさせるのだ!」

王命がその日のうちにギルドに張り出されたのだった。
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