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6.これで終わりにしたくない(終)
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初めての男同士でのセックス。上手く出来るか不安だったが、こんな気持ちいいセックスは初めてだってくらいよかった。
ゴムを手早く処理して、ミルさんの隣で余韻に浸る。
「陽平、まさか結腸ハメされるとは思わなかったぞ……」
脚の力が入るようになったのか、ベッドの上に座り直してからそう言うミルさん。
「結腸って、あの奥のことっすか?」
「そうだ。あんな奥まで届くちんぽなんて、今まで出会ったことねぇよ」
「……辛かったっすか?」
「いや?むしろハマっちまいそうで怖ぇよ」
そう言いながら俺に背を向けるミルさん。
『……これっきりで、終わらせてやらねぇといけねぇのにな』
ふと耳に入ったミルさんの声に、俺はたまらず目の前の大きな背中に抱きつく。
「おい、陽平?」
「俺、ミルさんのこと好きっす。付き合ってください。これっきりなんて、悲しいこと言わないでほしい」
チラリと俺を見たミルさんに、自分の気持ちを伝える。あの日俺はミルさんに惚れたんだ。これっきりなんて絶対に嫌だ。
ギュッと抱きついて離れない俺に、ミルさんは「はぁ……」とため息をつくと「そっち向きたいから、ちょっと離してくれ」と優しく腕を叩く。その言葉に俺は渋々ながら離れた。
「さっき好きとか言ってたのは本気だったのか。……陽平は元々ノンケだろ。あの日も今日も気持ちよかったからって、勘違いしちまってるんじゃないか?」
しっかりと俺の方を見て、ミルさんは眉を下げて悲しげな表情をしながら、俺を突き放すようなことを言う。
ついこの間まで男同士で付き合うという概念がなかった俺に対して、ミルさんがそう思ってしまうのも分かる。だけど諦めたくない。
「最初が身体からって感じだったから、信じてもらえないかもしれないけど……。身体だけじゃなくて、ミルさんが優しく俺を受け止めてくれるところ、好きなんす!! もっとミルさんのこと知りたいし、俺のこと知ってほしい!」
「……っ! 陽平、お前さんはまだ若いだろう。ましてやこんな商売してるおっさんなんて……」
「ミルさんは特別なんだ!! あのお店で働いてなければ、俺はミルさんに出会うこともできなかった。歳なんて関係ない。俺じゃだめ……?」
「ダメじゃねぇ! ……ダメじゃねぇよ。ただ、謝らせてくれ」
『ダメじゃない』ということは、いいってことか!?と舞い上がりそうになるが、ミルさんが謝りたいことというのが気になる。
「謝りたいこと……?」
「陽平があの日店に来た時、俺は年甲斐もなく一目惚れってのをしちまった。お前さんは勘違いで店に来たってのに、話だけでもしたいっていう俺のわがままで『代金の返金はできない』なんて嘘をついた。本当ならノンケが間違えて店に来たら、代金返して帰ってもらうことになってんだよ」
驚きで言葉が出ないでいると、ミルさんは静かに言葉を続けた。
「その上、店に禁止されてるプライベートの連絡先を渡すなんていう真似までして。あの日のうちにお前さんから連絡が来なかったら、アドレス変えて潔く諦めようって思ってた。けど、お前さんは連絡をくれた」
あの日すぐに連絡をした自分に、感謝してもしきれない。
「一目惚れした相手が自分とセックスしたいと言ってくれている。こんな嬉しいことは無い。だが、陽平は俺なんかにゃ勿体ない男だ。今日を最初で最後の日にしようって思ってた。それなのにお前さんは、真っ直ぐ俺に気持ちをぶつけてきてくれて……。俺はその気持ちに全力で応えたい。ごめんな。陽平の未来の幸せを、俺が潰しちまった」
ミルさんは眉を下げて謝るが、そんなことあるはずがない。
「謝らないで。幸せは潰れてなんかないよ。俺、ミルさんと付き合えてすっごく幸せなんだ!」
改めて『お付き合い』できた喜びを噛み締めつつ、ミルさんにキスをする。
「ありがとう陽平。お前さんのことが好きだ」
「ミルさん……♡大好きっす♡♡」
俺は今世界一幸せな人間かもしれない。
幸せに浸りながら、ふと俺はあることが気になった。
「そういえば、ミルさんの本名聞きたいっす」
「まあ、付き合うんだから教えないとおかしいか。磯見 優だ。『ミル』って源氏名は、苗字と名前の最後の文字を取って適当に付けたもんだ」
「優さん……ぴったりの名前っすね」
「そうか? 悪い気はしねぇな」
優さんの優しさに惚れた俺としては、こんなにもぴったりな名前があるのだろうかと思えてしまう。
そしてもう一つ重要なことがある。
「優さん、その……お店はまだ続けるの?」
「嫌か?」
「正直嫌っす。俺みたいなやつが出てこないとも限らないし」
「はは。俺みたいなおっさんに本気で惚れる物好きなんか、陽平くらいなもんだろ」
優さん、自分がどれだけ魅力的な人間なのか分かってない!この警戒心の無さをどうにかするのが今後の課題だ。
「まあ、店は辞めるきっかけがなかったから続けてたようなもんだし、これを機に別の仕事でも探すかな」
「これから先、優さんのえっちな姿は俺だけのものっすからね!」
この先ドスケベでかわいい優さんを見ていいのは俺だけだ。独占したい気持ちを込めて、更に力を込めて抱きしめる。
優さんの腕も俺の背中に回ってきて、その逞しさに胸が高鳴った。
「これからよろしくお願いします、優さん♡」
「ああ。よろしくな、陽平」
ゴムを手早く処理して、ミルさんの隣で余韻に浸る。
「陽平、まさか結腸ハメされるとは思わなかったぞ……」
脚の力が入るようになったのか、ベッドの上に座り直してからそう言うミルさん。
「結腸って、あの奥のことっすか?」
「そうだ。あんな奥まで届くちんぽなんて、今まで出会ったことねぇよ」
「……辛かったっすか?」
「いや?むしろハマっちまいそうで怖ぇよ」
そう言いながら俺に背を向けるミルさん。
『……これっきりで、終わらせてやらねぇといけねぇのにな』
ふと耳に入ったミルさんの声に、俺はたまらず目の前の大きな背中に抱きつく。
「おい、陽平?」
「俺、ミルさんのこと好きっす。付き合ってください。これっきりなんて、悲しいこと言わないでほしい」
チラリと俺を見たミルさんに、自分の気持ちを伝える。あの日俺はミルさんに惚れたんだ。これっきりなんて絶対に嫌だ。
ギュッと抱きついて離れない俺に、ミルさんは「はぁ……」とため息をつくと「そっち向きたいから、ちょっと離してくれ」と優しく腕を叩く。その言葉に俺は渋々ながら離れた。
「さっき好きとか言ってたのは本気だったのか。……陽平は元々ノンケだろ。あの日も今日も気持ちよかったからって、勘違いしちまってるんじゃないか?」
しっかりと俺の方を見て、ミルさんは眉を下げて悲しげな表情をしながら、俺を突き放すようなことを言う。
ついこの間まで男同士で付き合うという概念がなかった俺に対して、ミルさんがそう思ってしまうのも分かる。だけど諦めたくない。
「最初が身体からって感じだったから、信じてもらえないかもしれないけど……。身体だけじゃなくて、ミルさんが優しく俺を受け止めてくれるところ、好きなんす!! もっとミルさんのこと知りたいし、俺のこと知ってほしい!」
「……っ! 陽平、お前さんはまだ若いだろう。ましてやこんな商売してるおっさんなんて……」
「ミルさんは特別なんだ!! あのお店で働いてなければ、俺はミルさんに出会うこともできなかった。歳なんて関係ない。俺じゃだめ……?」
「ダメじゃねぇ! ……ダメじゃねぇよ。ただ、謝らせてくれ」
『ダメじゃない』ということは、いいってことか!?と舞い上がりそうになるが、ミルさんが謝りたいことというのが気になる。
「謝りたいこと……?」
「陽平があの日店に来た時、俺は年甲斐もなく一目惚れってのをしちまった。お前さんは勘違いで店に来たってのに、話だけでもしたいっていう俺のわがままで『代金の返金はできない』なんて嘘をついた。本当ならノンケが間違えて店に来たら、代金返して帰ってもらうことになってんだよ」
驚きで言葉が出ないでいると、ミルさんは静かに言葉を続けた。
「その上、店に禁止されてるプライベートの連絡先を渡すなんていう真似までして。あの日のうちにお前さんから連絡が来なかったら、アドレス変えて潔く諦めようって思ってた。けど、お前さんは連絡をくれた」
あの日すぐに連絡をした自分に、感謝してもしきれない。
「一目惚れした相手が自分とセックスしたいと言ってくれている。こんな嬉しいことは無い。だが、陽平は俺なんかにゃ勿体ない男だ。今日を最初で最後の日にしようって思ってた。それなのにお前さんは、真っ直ぐ俺に気持ちをぶつけてきてくれて……。俺はその気持ちに全力で応えたい。ごめんな。陽平の未来の幸せを、俺が潰しちまった」
ミルさんは眉を下げて謝るが、そんなことあるはずがない。
「謝らないで。幸せは潰れてなんかないよ。俺、ミルさんと付き合えてすっごく幸せなんだ!」
改めて『お付き合い』できた喜びを噛み締めつつ、ミルさんにキスをする。
「ありがとう陽平。お前さんのことが好きだ」
「ミルさん……♡大好きっす♡♡」
俺は今世界一幸せな人間かもしれない。
幸せに浸りながら、ふと俺はあることが気になった。
「そういえば、ミルさんの本名聞きたいっす」
「まあ、付き合うんだから教えないとおかしいか。磯見 優だ。『ミル』って源氏名は、苗字と名前の最後の文字を取って適当に付けたもんだ」
「優さん……ぴったりの名前っすね」
「そうか? 悪い気はしねぇな」
優さんの優しさに惚れた俺としては、こんなにもぴったりな名前があるのだろうかと思えてしまう。
そしてもう一つ重要なことがある。
「優さん、その……お店はまだ続けるの?」
「嫌か?」
「正直嫌っす。俺みたいなやつが出てこないとも限らないし」
「はは。俺みたいなおっさんに本気で惚れる物好きなんか、陽平くらいなもんだろ」
優さん、自分がどれだけ魅力的な人間なのか分かってない!この警戒心の無さをどうにかするのが今後の課題だ。
「まあ、店は辞めるきっかけがなかったから続けてたようなもんだし、これを機に別の仕事でも探すかな」
「これから先、優さんのえっちな姿は俺だけのものっすからね!」
この先ドスケベでかわいい優さんを見ていいのは俺だけだ。独占したい気持ちを込めて、更に力を込めて抱きしめる。
優さんの腕も俺の背中に回ってきて、その逞しさに胸が高鳴った。
「これからよろしくお願いします、優さん♡」
「ああ。よろしくな、陽平」
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