88 / 125
第二章
伯爵様と一緒☆
しおりを挟む
「わー、すごーい、お空も海も青いのに、ちょっと色が違うのね? 空と海の境の線がずーっと続いてるよ! 地平線みたいー!」
「ああ、地面と空との境は地平線と言うが、海と空の境は水平線と呼ぶんだ」
「すいへいせーん」
可愛らしいミルフィの声に、荒んだ心がちょっと癒やされる。
海に囲まれた日本では、水平線を見るのはそんなに大変な事じゃないからな……。
むしろ現代日本で地平線を拝むのは不可能じゃないかと。
いや、北海道へ行けば見れるのか……?
まぁ、良い。
今私達が居るのは、伯爵様のチャーターした船の中。
次の寄港地まで二泊三日の旅である。
その間の食事は船で提供してくれるらしい。
そのための料理人や給仕の人まで居るんだぜ?
その分船代が高くなるなら「要らん」と言ってはみたけど。
「ははは、伯爵家自慢の船の乗り心地は如何かな?」
先の別荘から本邸へ帰るらしい伯爵様も同乗するとあって、あっさり却下された。
……そう、あのデカい屋敷が別荘だって!
たまたまあの港町に視察に来てたその時に私達が営業しちゃったもんだから、伯爵様の目に留まったと。
……なんつー間の悪さ。
流石に泣きたくなったよね。
「旦那様、昼餐の支度が整いましたので、食堂へどうぞ」
「おお、待っておったぞ!」
伯爵様が一人、お貴族様用の食堂へ消えていく。
私達は使用人用の食堂で、シーフードピラフを頂く。
うん、まぁ美味しい。
けど、この昼食代だけで一日三食分の費用が飛んで行く事を思うと、ね……。
ちなみに船の規模は小さなフェリー程。
私達には男女に分かれて二部屋、二段ベッドを設えた部屋を与えられている。
馬車とクロエは荷室と専用馬房に居る。
さっき様子を見てきたら、幸いクロエは船酔いもなく元気そうだった。
船酔い、といえばむしろ……
「うぅ、美味そうな匂いのはずなのに、今はとんでもなく不愉快だなんて……、うぅ……」
ロイスが気分悪そうにしている。
馬車酔いする様な子じゃないんだけどね。
やっぱり船慣れはしてないからなー……。
海は初めてでも船には慣れてるミルフィは平然とピラフ食べてるからね。
冒険者稼業で海にも慣れてる彼は言うに及ばず。
「冒険者ギルドでも、貴族様の無茶振りはあるからな。しかしこちらは対価が命となりかねんから、間にギルドが入ってヤバい案件は受け付けない事になっている。こればかりは金で何とかなる話ばかりじゃないからな」
しかし、商業はまさに金がものを言う世界。
商人も、貴族の顧客を持つか持たないかの差は大きい。
故に、私達にとって最大の盾となり得る商業ギルドの守りも今回は全くの役立たずなのである。
「ああ、地面と空との境は地平線と言うが、海と空の境は水平線と呼ぶんだ」
「すいへいせーん」
可愛らしいミルフィの声に、荒んだ心がちょっと癒やされる。
海に囲まれた日本では、水平線を見るのはそんなに大変な事じゃないからな……。
むしろ現代日本で地平線を拝むのは不可能じゃないかと。
いや、北海道へ行けば見れるのか……?
まぁ、良い。
今私達が居るのは、伯爵様のチャーターした船の中。
次の寄港地まで二泊三日の旅である。
その間の食事は船で提供してくれるらしい。
そのための料理人や給仕の人まで居るんだぜ?
その分船代が高くなるなら「要らん」と言ってはみたけど。
「ははは、伯爵家自慢の船の乗り心地は如何かな?」
先の別荘から本邸へ帰るらしい伯爵様も同乗するとあって、あっさり却下された。
……そう、あのデカい屋敷が別荘だって!
たまたまあの港町に視察に来てたその時に私達が営業しちゃったもんだから、伯爵様の目に留まったと。
……なんつー間の悪さ。
流石に泣きたくなったよね。
「旦那様、昼餐の支度が整いましたので、食堂へどうぞ」
「おお、待っておったぞ!」
伯爵様が一人、お貴族様用の食堂へ消えていく。
私達は使用人用の食堂で、シーフードピラフを頂く。
うん、まぁ美味しい。
けど、この昼食代だけで一日三食分の費用が飛んで行く事を思うと、ね……。
ちなみに船の規模は小さなフェリー程。
私達には男女に分かれて二部屋、二段ベッドを設えた部屋を与えられている。
馬車とクロエは荷室と専用馬房に居る。
さっき様子を見てきたら、幸いクロエは船酔いもなく元気そうだった。
船酔い、といえばむしろ……
「うぅ、美味そうな匂いのはずなのに、今はとんでもなく不愉快だなんて……、うぅ……」
ロイスが気分悪そうにしている。
馬車酔いする様な子じゃないんだけどね。
やっぱり船慣れはしてないからなー……。
海は初めてでも船には慣れてるミルフィは平然とピラフ食べてるからね。
冒険者稼業で海にも慣れてる彼は言うに及ばず。
「冒険者ギルドでも、貴族様の無茶振りはあるからな。しかしこちらは対価が命となりかねんから、間にギルドが入ってヤバい案件は受け付けない事になっている。こればかりは金で何とかなる話ばかりじゃないからな」
しかし、商業はまさに金がものを言う世界。
商人も、貴族の顧客を持つか持たないかの差は大きい。
故に、私達にとって最大の盾となり得る商業ギルドの守りも今回は全くの役立たずなのである。
282
あなたにおすすめの小説
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。
鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。
さらに、偽聖女と決めつけられる始末。
しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!?
他サイトにも重複掲載中です。
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる