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冒険者ランクを上げましょう

3-7 優しい鬼コーチ

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    翌朝。筋肉痛に固まる体に鞭打って歩きだす。
    この世界での町と町の移動は馬車が基本で、大抵の町は馬車で一日以内の距離に在るらしい。
    普通は歩いても二、三日の距離らしいんだけど……。
    「単発依頼で稼げる様になれば馬車のが効率が良いんだが、それだと道中の採集や討伐依頼をこなすのが難しくなるからな。お前はまずこの生活に慣れることを最優先に考えろ」
    そう言ってくれるイマルさんや、その提案に笑顔で頷いてくれるマリーさんとケント君の優しさがありがたい。
    実際、彼らだけならもっとペースを上げて、明日にも次の町でゆっくり宿をとってベッドで休む事も出来るのに、私に合わせてもう何日か野宿するつもりでいてくれるのに、筋肉痛くらいで文句ばかり垂れる嫌な奴にはなりたくないから、ただ素直に歩く事、そして彼らの仕事の見学、そして夜のお勉強に徹する事にして。
    道中では私の――地球や日本の話をしたり、この世界の話を聞かせて貰ったりしながら丸四日かけて次の町に到着した。
    「――え」
     その町に足を踏み入れてまず、言葉が出ずにただ疑問の音だけが口から漏れた。
    ここは、王都から馬車で一日しか離れていないはずの町。
    王都には劣るだろうが、ある程度賑わっているのが普通なのではないかと思う。
    例えば新宿や渋谷程は賑わってなくても、吉祥寺くらいには栄えている、そんなイメージでいたのに、実際は青梅の田舎集落を見たような。
    いや、町の文化が西洋風だから日本の田舎町とはまた趣は異なるんだけどね、まあ町の規模とか栄え具合とか……ヨーロッパの具体的な地名例なんか平凡な女子高生に期待しないでよ……。
    それでも頑張ってそれっぽい事言うなら、クララのお家みたいな立派な町だと思ったら、ハイジのおんじの村みたいだった……みたいな?    いや、流石にあそこまでは過疎ってないけど。
    だけどケント君やイマルさんによれば王都が例外で、この街が上等な方の町の平均で、田舎村の彼らの村はもっと牧歌的だったらしい。
    「我が国は、他国に比べて貴族の力が強すぎるのです」
    マリーさんが残念そうな表情で言う。
    「領主が住む領都の町並みは王都に負けず劣らず美しいけれど、民しか住まぬ町はこれで立派な方なのが我が国の実状なのです」
    ――他国だとこのような町でももっと栄えているらしい。
   ……あれ?    もしかしてこの国、腐れ貴族蔓延る系のアブナイ国だったりする?
    マリーさんを追い出しちゃう国だもんなー。
    すると、下手に残されるより追い出されて正解だったかも。まぁ、頼もしい仲間と一緒に居るから言える事だけどもさ。
    「今日は宿取って休むから、ヒカルはケントに剣を教わって素振りの練習しろ。最低でも数合いは凌げる程度には剣を扱えるようになれ」
    な~んてイマルさんの鬼っぷりに涙が出そうだけどな!
    はは、戦力外通告されたら困るの私だし、へろへろになりながらも完遂してやったぜ、ははははは!
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