ローズガーデン

彩世幻夜

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第四章

独立します

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 公爵と男爵、同じ貴族と言えど実際にはその身分の隔たりは平民と男爵以上にあると言っても良い。

 公爵家当主から男爵家当主にだなんて、平民落ちよりはナンボかマシ程度の厳しい処遇だ。
 ……ただしそれが男性なら。

 女当主なんて、次代がまだ幼く中継ぎが必要な時の臨時措置で、それさえ名ばかりの実質家臣が全てを賄う、お飾り当主。
 それがリングパーク王国の法だ。

 しかし。

 「法衣ですので領地は差し上げられませんが、王家直轄地に試験場を建設し、そこを統括して頂きます。
 王家から年金という形で定期収入と、研究に成果があった場合にはその権利料として数%……数字はその折ごとに交渉する事になるでしょうが……」

 「――十分ですっ! ……分かりました、お話お受け致します。
 ただ、店を畳み従業員に次の仕事を斡旋するのに、一月準備期間をいただけないでしょうか。その位ならあの男が公爵家に情報を運ぶまで時間があるはずですから」

 「勿論ですわ。それならこちらも協力致しましょう」

 「……事業は、俺とサフィーラが窓口になる。実務は君に全面的に任せる事になるが、政治面での調整は主にこちらで行うが良いか?」

 「ええ。この国の貴族とは全くと言って良い程面識が御座いませんから、いきなり任されても私では手に余りますから」

 これまで、公爵令嬢の平民でしかなかった私が、法衣男爵として独立する。

 「では、改めて一月後、王宮より迎えを寄越します。陛下に謁見し、爵位を賜りなさい。全てはそれからです」

 「――御意」

 それから。姫とアルトリートさ――ではなくアルトリート王子を見送った私はオーダーメイドの高級ドレス店に駆け込んだ。

 一月。それはドレスをオーダーするならぎりぎり間に合う時間だ。
 王城へ赴き陛下に謁見するなら絶対必要なドレスと装飾品一式を、私は慌てて買いに走った。

 幸い令嬢時代の経験があるから、ドレス購入に手間取る事はない。

 翌日には従業員に事情を説明すると、皆で祝福してくれた。
 お客様にも閉店を告知し、祝福と残念がる声をいただき、一月後。

 人気もなくなり、バラの消えた庭が寂しい空き店舗となった店は売り物件となり。

 翌日。
 立派な王宮からの馬車が店の前で停まった。

 「あら、貴方が迎えなの、アルトリート王子」
 「ああ。妹からエスコート役を仰せつかってな……」

 「……元は公爵令嬢だけど、これから男爵位をいただく平民が王子様にエスコートされて良いものなのかしら」

 「俺は王子と言っても第四だし、冒険者として好き勝手してる身だから、そう煩く言う輩はいないさ。夜会や茶会でもあるまいし」

 「なら、お願いするわね」
 「かしこまりました、お嬢様」
 私は久しぶりに男性のエスコートを受け馬車に乗り込んだ。
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