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第一章
夕御飯を作ります。
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ここに居るのは私と彼だけ。
だけど、前回のトリップから少し間が空いていたせいか、日本の平和に少し浸かり過ぎたかな?
背後の気配に全く気付かなかったなんて、あとでちょっとトレーニングのやり直ししなくっちゃ。
――けど、今は。
それはそれとして、聞かなければならない。
「……何かご用でしょうか?」
流石に食料を漁っていた所を発見されたかもしれない現状は少し気不味い。
「お前、料理は出来るのか?」
「……料理人の様にはいきませんが、簡単な料理なら……多分。何しろ私、まだこの世界の食材や調味料に無知ですから、確実に美味しい料理が作れるとは言えませんね」
「なら、これで何か作れ。ここは好きに使って良い」
「……これは?」
「あのクソ親父が送って寄越した。……放置するのも棄てるのも面倒だしな。同じ面倒なら食うのが一番楽に処理出来るだろう」
ドンと台に乗せられたのは……
「鳥の肉だ。俺の分も作るんならお前にも食わせてやろう」
「――不味くても知りませんよ?」
「そうだな。不味かったらお前の血で口直ししてやる」
「……いいでしょう」
運が良ければパンとチーズの夕飯のはずが、しっかり肉を食べられるなら。
最悪でも私の血で済むなら乗らない手はない。
「んじゃ、頑張れよ?」
「言われなくとも」
さっさと部屋を出ていく彼。
「さて、どう料理しようかな?」
というか、そもそもまずは調味料の確認をしないと。
最悪、酒と塩さえあれば……更にちょっと贅沢を言えば、胡椒があれば取り敢えず食べられるものは作れる……と、思う。
酒で蒸して臭み消しと旨みを引き出し、塩胡椒で味付け……。シンプル過ぎるけど、失敗も少ない。
料理人のレベルにまでなると、シンプルだからこそ腕が試される、なんて言われそうだけど。
「ここらの瓶が調味料かな?」
最低でも塩はあるはず。
……胡椒は……世界によってはかつての地球の様に、同じ重さの金貨と取引される様な高級品だったり、塩と同じ値段で売ってたりと振れ幅の大きな品の一つだったから、あまり過剰な期待は出来ない。
一番手前の瓶の蓋を捻って開ける。中身は白い粉。
これは多分……
「あ、良かった。やっぱりお塩だ」
人差し指にほんの少し取って舐めると、なかなか美味しい塩だった。
「これで最低でも塩焼きは作れる」
少なくとも味の無い肉を齧る必要は無くなった。
「塩すらないお肉は……不味いというより美味しくないからな」
かつて冒険中に、手持ちの塩が心許なくなって、節約と称して薄塩というのも憚られる塩加減の肉を食べた事があったけど。
……あれ以来、旅の持ち物の中で塩の残量の確認だけは忘れなくなったからなぁ。
「よし、次いこう」
だけど、前回のトリップから少し間が空いていたせいか、日本の平和に少し浸かり過ぎたかな?
背後の気配に全く気付かなかったなんて、あとでちょっとトレーニングのやり直ししなくっちゃ。
――けど、今は。
それはそれとして、聞かなければならない。
「……何かご用でしょうか?」
流石に食料を漁っていた所を発見されたかもしれない現状は少し気不味い。
「お前、料理は出来るのか?」
「……料理人の様にはいきませんが、簡単な料理なら……多分。何しろ私、まだこの世界の食材や調味料に無知ですから、確実に美味しい料理が作れるとは言えませんね」
「なら、これで何か作れ。ここは好きに使って良い」
「……これは?」
「あのクソ親父が送って寄越した。……放置するのも棄てるのも面倒だしな。同じ面倒なら食うのが一番楽に処理出来るだろう」
ドンと台に乗せられたのは……
「鳥の肉だ。俺の分も作るんならお前にも食わせてやろう」
「――不味くても知りませんよ?」
「そうだな。不味かったらお前の血で口直ししてやる」
「……いいでしょう」
運が良ければパンとチーズの夕飯のはずが、しっかり肉を食べられるなら。
最悪でも私の血で済むなら乗らない手はない。
「んじゃ、頑張れよ?」
「言われなくとも」
さっさと部屋を出ていく彼。
「さて、どう料理しようかな?」
というか、そもそもまずは調味料の確認をしないと。
最悪、酒と塩さえあれば……更にちょっと贅沢を言えば、胡椒があれば取り敢えず食べられるものは作れる……と、思う。
酒で蒸して臭み消しと旨みを引き出し、塩胡椒で味付け……。シンプル過ぎるけど、失敗も少ない。
料理人のレベルにまでなると、シンプルだからこそ腕が試される、なんて言われそうだけど。
「ここらの瓶が調味料かな?」
最低でも塩はあるはず。
……胡椒は……世界によってはかつての地球の様に、同じ重さの金貨と取引される様な高級品だったり、塩と同じ値段で売ってたりと振れ幅の大きな品の一つだったから、あまり過剰な期待は出来ない。
一番手前の瓶の蓋を捻って開ける。中身は白い粉。
これは多分……
「あ、良かった。やっぱりお塩だ」
人差し指にほんの少し取って舐めると、なかなか美味しい塩だった。
「これで最低でも塩焼きは作れる」
少なくとも味の無い肉を齧る必要は無くなった。
「塩すらないお肉は……不味いというより美味しくないからな」
かつて冒険中に、手持ちの塩が心許なくなって、節約と称して薄塩というのも憚られる塩加減の肉を食べた事があったけど。
……あれ以来、旅の持ち物の中で塩の残量の確認だけは忘れなくなったからなぁ。
「よし、次いこう」
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