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おうじさまがいっぱい
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さて。
さっきまで新宿で飲んでラーメン食べて、神社でお祭りを楽しんでいたはずだ。
が、今居るのは静まりかえった舞台の上。
こういうの、京都の伏見稲荷で見た事ある。
お神楽を奉納する舞台。
正方形の屋根付き舞台の上に立つ私の前に立つのは金髪に赤目の青年。
……金髪はともかく赤目って。充血した目の意味の赤目でなく、白兎の赤目のような瞳の色。
黄色の着物に黄色の袴、黄色の羽織を纏った男が、明らかな営業スマイルをたたえて、舞台の上へとやって来る。
その彼の背後にもう一人、黒髪の巨漢が立っているのが見える。
全身を金属鎧で固めた男が、恭しくその場に跪く。
その前を堂々と歩く金髪赤目の青年は私の前で立ち止まり、手を差し出した。
「私はこの龍の大地を女神より預かる皇帝『龍帝』を代々に繋ぐ皇家の第二皇子の位を授かりし者。名を中 公 天牙と申します」
そう名乗りながら。
「我らが女神より遣わされし勇者よ、あなた様の名をお教え下さいませんか?」
「……環、よ」
フルネームを教えるには懸念の多すぎる状況に、しかし偽名を名乗るにも何か鑑定系の力があって嘘を見破られでもすれば良くない結果を生みそうで。
取り敢えず名字だけを名乗ることにする。
「タマキ様、ですね。……一先ず屋内へ参りましょう。貴女にはして貰わなければならない事があるのですよ」
差し出された手はあれか、世に聞くエスコートってやつかな?
悪いけど、そう言うのいらない。……でもこの人さっき皇子って言ったよな。迂闊に断って無礼打ちなんてオチはちっとも面白くないんだけど。
判断に迷い視線を泳がせると、左右にも一人ずつ男性が跪いている事に気付く。
右には緑髪の、左には銀髪の――どちらもやけに整った顔立ちの男。
ハッとして振り返ればやはり私の後ろにも燃えるような赤髪の男が一人跪いていて。その頭髪の合間から黒光りする二本の鋭い角が生えている。
彼らは一様に髪色と同系統の色の着物を身に着けている。それも明らかに普段着とは思えない豪奢な物を。
「勇者よ、戸惑うのは当然と存じますが、どうぞまずは我が手をお取り下さいませんか?」
……仮にも皇子と名乗った者に言われたら断り難い。
私は仕方なくその手に触れ、舞台の先に建つ立派な平等院鳳凰堂風の装いの朱塗りの殿舎へと招かれた。
その中の一室、小規模な謁見室に誘導され、先の四人が一緒に入室して扉が閉められた。
ピカピカに磨かれた石のタイル床。朱塗りの円柱が何本も立ち並び、合間の壁面には豪奢な垂れ幕が下がる。
ほぼ正方形の部屋の前方に半円を描く段差。その上に据えられたこれまた豪勢な椅子。
ここまで私の手を引いてきた皇子様は部屋の半ばでその手を放し、自分だけ段の上の椅子に腰かけた。
私の後ろに一列横並びに立つ四人はそのタイミングで見事なまでにザッとその場に膝を付いた。
どうしていいか分からずキョロキョロしていてタイミングを外した私は慌ててそれに倣う。
「さて、ではまずタマキ殿に彼らの紹介をしなくてはな」
よく分からない名前の皇子が膝を付く四人を立たせ、私の前に並ばせた。
「さあ、各国選りすぐりの王子達よ、そなたらの勇者にその名を教えてやると良い」
……え、この人達も皇子様なの?
なんか、緑の髪の人から名乗り始めたけど、やっぱりあの一人偉そうな皇子同様、名字なのか名前なのか分からない。
っていうか、なんであの人一人だけが偉そうなんだろう。
まあ同じ皇子とはいえ生まれの順とか後ろ盾とかで順位はあるんだろうけど、それにしても……だったらこの四人が同じ扱いなのもよく分からなくなってくる。
「私達は、切実に勇者の力を必要としている。――どうか、この世界を救って欲しいのだ」
さっきまで新宿で飲んでラーメン食べて、神社でお祭りを楽しんでいたはずだ。
が、今居るのは静まりかえった舞台の上。
こういうの、京都の伏見稲荷で見た事ある。
お神楽を奉納する舞台。
正方形の屋根付き舞台の上に立つ私の前に立つのは金髪に赤目の青年。
……金髪はともかく赤目って。充血した目の意味の赤目でなく、白兎の赤目のような瞳の色。
黄色の着物に黄色の袴、黄色の羽織を纏った男が、明らかな営業スマイルをたたえて、舞台の上へとやって来る。
その彼の背後にもう一人、黒髪の巨漢が立っているのが見える。
全身を金属鎧で固めた男が、恭しくその場に跪く。
その前を堂々と歩く金髪赤目の青年は私の前で立ち止まり、手を差し出した。
「私はこの龍の大地を女神より預かる皇帝『龍帝』を代々に繋ぐ皇家の第二皇子の位を授かりし者。名を中 公 天牙と申します」
そう名乗りながら。
「我らが女神より遣わされし勇者よ、あなた様の名をお教え下さいませんか?」
「……環、よ」
フルネームを教えるには懸念の多すぎる状況に、しかし偽名を名乗るにも何か鑑定系の力があって嘘を見破られでもすれば良くない結果を生みそうで。
取り敢えず名字だけを名乗ることにする。
「タマキ様、ですね。……一先ず屋内へ参りましょう。貴女にはして貰わなければならない事があるのですよ」
差し出された手はあれか、世に聞くエスコートってやつかな?
悪いけど、そう言うのいらない。……でもこの人さっき皇子って言ったよな。迂闊に断って無礼打ちなんてオチはちっとも面白くないんだけど。
判断に迷い視線を泳がせると、左右にも一人ずつ男性が跪いている事に気付く。
右には緑髪の、左には銀髪の――どちらもやけに整った顔立ちの男。
ハッとして振り返ればやはり私の後ろにも燃えるような赤髪の男が一人跪いていて。その頭髪の合間から黒光りする二本の鋭い角が生えている。
彼らは一様に髪色と同系統の色の着物を身に着けている。それも明らかに普段着とは思えない豪奢な物を。
「勇者よ、戸惑うのは当然と存じますが、どうぞまずは我が手をお取り下さいませんか?」
……仮にも皇子と名乗った者に言われたら断り難い。
私は仕方なくその手に触れ、舞台の先に建つ立派な平等院鳳凰堂風の装いの朱塗りの殿舎へと招かれた。
その中の一室、小規模な謁見室に誘導され、先の四人が一緒に入室して扉が閉められた。
ピカピカに磨かれた石のタイル床。朱塗りの円柱が何本も立ち並び、合間の壁面には豪奢な垂れ幕が下がる。
ほぼ正方形の部屋の前方に半円を描く段差。その上に据えられたこれまた豪勢な椅子。
ここまで私の手を引いてきた皇子様は部屋の半ばでその手を放し、自分だけ段の上の椅子に腰かけた。
私の後ろに一列横並びに立つ四人はそのタイミングで見事なまでにザッとその場に膝を付いた。
どうしていいか分からずキョロキョロしていてタイミングを外した私は慌ててそれに倣う。
「さて、ではまずタマキ殿に彼らの紹介をしなくてはな」
よく分からない名前の皇子が膝を付く四人を立たせ、私の前に並ばせた。
「さあ、各国選りすぐりの王子達よ、そなたらの勇者にその名を教えてやると良い」
……え、この人達も皇子様なの?
なんか、緑の髪の人から名乗り始めたけど、やっぱりあの一人偉そうな皇子同様、名字なのか名前なのか分からない。
っていうか、なんであの人一人だけが偉そうなんだろう。
まあ同じ皇子とはいえ生まれの順とか後ろ盾とかで順位はあるんだろうけど、それにしても……だったらこの四人が同じ扱いなのもよく分からなくなってくる。
「私達は、切実に勇者の力を必要としている。――どうか、この世界を救って欲しいのだ」
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