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旅は道連れ世は情け
撤退戦
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「攻略完了です!」
「――! 撤退、撤退しますよ!」
嶺仙の指示が飛ぶ。けど、魔物が入り乱れる中、私一人の力じゃ馬車まで無事には辿り着けそうにない。
「……和貴、力を貸して!」
こんな状況でプライドとか言ってる場合じゃないから。
「おうよ!」
彼の力を借りた炎で道をあける。
「悪ぃ、ついでに馬車の前の血路も拓いてくれ!」
馬車に飛び乗る寸前、聞こえた声。
「ああ、もう仕方ないわね!」
特大の火球を大玉転がしよろしく突き飛ばしてやる。
「おおっ、すげー。魔物だけじゃなく地面まで焼けて固まって……走り易そうだな」
「助かりました! さあ、乗って下さい、出しますよ!」
和貴が私を押し込むように共に車内に乗り込み扉を閉めるなり、ぐったり身体を投げ出した。
……元々極限状態に近かったのに、大量の魔物と前衛で戦い、私にも力を割いたのだから無理もない。
それでも。
「お前、力の使い方が上手いよな」
……私が戦う覚悟を決めた時から、彼らは優秀な教育係になった。――和貴は教え方は下手だけど、誉め上手だと思う。
まあ軽くてチャラい感じはそのままだけど、最初の頃の嫌な奴は今ここには居ない。――あれは本当に本人が言っていた通りの文句だけは一人前の怠惰な無能に対する彼の怒りがあったからなんだとようやく納得できた。
少なくとも戦闘面では大した仕事もしてない私を、この状況でも誉めようとするんだから。
「……傷痕が残らないからってあんまり派手に噛み付かないで下さいよ。血の汚れを落とすの大変なんですよ。こんな獣や魔物だらけの場所で血の臭いさせたままなんて有り得ないんですから」
「あー、悪い。――善処する」
身体を横たえたまま和貴は私の腕を取りやはり手首に噛み付く。
仰向けのままかじりつかれた手首から滴る血は重力に従い彼の口の中へと消えていく。
……ああ、身体がだるい。
なのにワクワクしてる。――こんなの、ただの副作用なのに。この状況を楽しんでいるようで……。
ああ、でもそれでも抗いきれないくらいに眠くて――。
意識が次第に遠退き薄れて――
「おい、大丈夫か? おい!」
何か、和貴が柄にもなく慌ててる様な幻聴が聞こえるけど……ダメだ。もう……
「おい、影家! 王都まで最短ルートを取れ、多少の事なら俺の炎でなんとかする!」
「大丈夫なの!?」
「気合いで何とか間に合わせるさ!」
「何でも気合いで解決するなら私達は今ここまで疲弊してませんよ! これだから脳筋は嫌なんです!」
「何ぃ!?」
「私もサポートします、影家、飛ばしなさい!」
「あはははは、了~解~!」
「では殿はお任せを!」
こうして馬車は夜通し駆け通し、翌日には人里へと辿り着いたのだった。
「――! 撤退、撤退しますよ!」
嶺仙の指示が飛ぶ。けど、魔物が入り乱れる中、私一人の力じゃ馬車まで無事には辿り着けそうにない。
「……和貴、力を貸して!」
こんな状況でプライドとか言ってる場合じゃないから。
「おうよ!」
彼の力を借りた炎で道をあける。
「悪ぃ、ついでに馬車の前の血路も拓いてくれ!」
馬車に飛び乗る寸前、聞こえた声。
「ああ、もう仕方ないわね!」
特大の火球を大玉転がしよろしく突き飛ばしてやる。
「おおっ、すげー。魔物だけじゃなく地面まで焼けて固まって……走り易そうだな」
「助かりました! さあ、乗って下さい、出しますよ!」
和貴が私を押し込むように共に車内に乗り込み扉を閉めるなり、ぐったり身体を投げ出した。
……元々極限状態に近かったのに、大量の魔物と前衛で戦い、私にも力を割いたのだから無理もない。
それでも。
「お前、力の使い方が上手いよな」
……私が戦う覚悟を決めた時から、彼らは優秀な教育係になった。――和貴は教え方は下手だけど、誉め上手だと思う。
まあ軽くてチャラい感じはそのままだけど、最初の頃の嫌な奴は今ここには居ない。――あれは本当に本人が言っていた通りの文句だけは一人前の怠惰な無能に対する彼の怒りがあったからなんだとようやく納得できた。
少なくとも戦闘面では大した仕事もしてない私を、この状況でも誉めようとするんだから。
「……傷痕が残らないからってあんまり派手に噛み付かないで下さいよ。血の汚れを落とすの大変なんですよ。こんな獣や魔物だらけの場所で血の臭いさせたままなんて有り得ないんですから」
「あー、悪い。――善処する」
身体を横たえたまま和貴は私の腕を取りやはり手首に噛み付く。
仰向けのままかじりつかれた手首から滴る血は重力に従い彼の口の中へと消えていく。
……ああ、身体がだるい。
なのにワクワクしてる。――こんなの、ただの副作用なのに。この状況を楽しんでいるようで……。
ああ、でもそれでも抗いきれないくらいに眠くて――。
意識が次第に遠退き薄れて――
「おい、大丈夫か? おい!」
何か、和貴が柄にもなく慌ててる様な幻聴が聞こえるけど……ダメだ。もう……
「おい、影家! 王都まで最短ルートを取れ、多少の事なら俺の炎でなんとかする!」
「大丈夫なの!?」
「気合いで何とか間に合わせるさ!」
「何でも気合いで解決するなら私達は今ここまで疲弊してませんよ! これだから脳筋は嫌なんです!」
「何ぃ!?」
「私もサポートします、影家、飛ばしなさい!」
「あはははは、了~解~!」
「では殿はお任せを!」
こうして馬車は夜通し駆け通し、翌日には人里へと辿り着いたのだった。
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