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旅は道連れ世は情け
口論の末に
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きゃっきゃとはしゃぐ子供の声が聞こえる。それと――これは……牛、か? 分からないけど、動物の鳴き声にぱしゃぱしゃと泥を跳ねらかして動き回る足音と。
濃い土の匂いと獣の臭い。そして緑の香り。冬氷の国では寒さと雪で全てかき消されていたものが、心地よい暖かさと共に五感を伝って意識に届く。
……いつの間に眠ったんだっけ?
ああ、そうだ思い出した。和貴に血を吸わせている間に気を失ったんだ。貧血と疲労が原因だろうけど……しまったな。
出来れば彼らの前で不様を晒すのは避けたかったのに。
ぱっと目を開けると――
「お、気付いたか?」
「うひゃわぁ!」
ね、寝起きに男の顔のアップって。
「……随分と面白れぇ悲鳴だな。つーかヒトの顔見て悲鳴あげるとか失礼だろ」
「ね、寝てる女の顔覗きこむ無礼かつ危険な男に言われたくないわ!」
「はぁ!? おッ前この俺が直々に看病してやったってのにマジで失礼だな!」
「頼んだ覚えもないのに余計なお世話よ、看病なんて物心ついてからこっちされた事もないのに、この程度でそんなん必要ないし! 寝起きに男の顔見る方が精神衛生上よろしくないわ!」
「……お前、俺らが男だってだけで度々無礼な発言してるけどよ、俺がお前に何かしたかよ? ああ、召喚後の扱いについてはまあ悪かったと思うが――」
「……。そうね、あんた達に責任のある話じゃないから悪いと思う気持ちがないわけじゃないけど。でも、それで割りきれないくらいに、私の居た元の世界で男という生き物を嫌う理由になった色々があったのよ」
それに、最近少し見方を変えたのはあくまでこの四人だけ。皇帝や皇子、教会関係者には未だに怒りが鎮まらない。
「難儀な生き方をする奴だな、お前って」
奴は何かこちらを哀れむ眼差しを向けてくる。……失礼な。
「いや、だってよ。教会の偉いさんに暴言吐いて女神の悪口言って。そのせいで牢に入れられて飯抜きになっても、処刑されようとしても意見を曲げなかっただろ? そんだけ気が強くて意志も強い女にこれだけ嫌悪されるなんざお前の世界の男共ってのは一体どんなんだか逆に興味深いわ」
「……そうね。私の世界の全ての男が、奴等みたいな屑じゃないことを頭じゃ理解してても、それでもプライベートには絶対男を入れたくない。私の周りに居た男はそういう奴だったわね」
暴漢も、いじめッ子も見て見ぬふりどころか一緒になって私を虐めた先生も屑親父も……私の弟も。
和貴と言い合う内に買い言葉に売り言葉の流れとノリでぶちまけて。
「成る程、確かにそんなのが俺の隊に居たら間違いなくぶちのめしてるレベルの屑野郎共だ。つーか、お前の男運の悪さには同情を禁じ得ない……が……しかしだな、そんな男っつーかそもヒトとしてどうかしてる奴等と俺らをいっしょくたにされんのは不愉快だ」
「わ、分かってるから。だからこれでもかなり頑張って譲歩して――それでもこれなのよ」
「……お前の世界のお前の男嫌いに関係ねえ男達が哀れでならん」
「……」
正論なだけに言い返せないのが悔しい。
「ま、影家達にも気を付けるようには言っとくけどよ。――いや俺も知らなかったとはいえ少々心無い言い回ししてる自覚はあるから気を付ける。けど、まだ旅は続くんだ。信頼関係を築けないままのチームじゃ上手くいくモンも上手くいかなくなる。……もうちょい俺らをちゃんと見ろや」
和貴は言い合いで乱れていた息を整え、ため息をついて立ち上がり、部屋を出ていく。
「――飯、頼んでくるわ。……今回はギリギリで無理させて悪かったな。とにかく今は食って寝て体を休めとけ」
それはもう、あっさりと。
……それが。何だか凄く悪い事をしてしまったように感じるのは――気のせい……だよね?
濃い土の匂いと獣の臭い。そして緑の香り。冬氷の国では寒さと雪で全てかき消されていたものが、心地よい暖かさと共に五感を伝って意識に届く。
……いつの間に眠ったんだっけ?
ああ、そうだ思い出した。和貴に血を吸わせている間に気を失ったんだ。貧血と疲労が原因だろうけど……しまったな。
出来れば彼らの前で不様を晒すのは避けたかったのに。
ぱっと目を開けると――
「お、気付いたか?」
「うひゃわぁ!」
ね、寝起きに男の顔のアップって。
「……随分と面白れぇ悲鳴だな。つーかヒトの顔見て悲鳴あげるとか失礼だろ」
「ね、寝てる女の顔覗きこむ無礼かつ危険な男に言われたくないわ!」
「はぁ!? おッ前この俺が直々に看病してやったってのにマジで失礼だな!」
「頼んだ覚えもないのに余計なお世話よ、看病なんて物心ついてからこっちされた事もないのに、この程度でそんなん必要ないし! 寝起きに男の顔見る方が精神衛生上よろしくないわ!」
「……お前、俺らが男だってだけで度々無礼な発言してるけどよ、俺がお前に何かしたかよ? ああ、召喚後の扱いについてはまあ悪かったと思うが――」
「……。そうね、あんた達に責任のある話じゃないから悪いと思う気持ちがないわけじゃないけど。でも、それで割りきれないくらいに、私の居た元の世界で男という生き物を嫌う理由になった色々があったのよ」
それに、最近少し見方を変えたのはあくまでこの四人だけ。皇帝や皇子、教会関係者には未だに怒りが鎮まらない。
「難儀な生き方をする奴だな、お前って」
奴は何かこちらを哀れむ眼差しを向けてくる。……失礼な。
「いや、だってよ。教会の偉いさんに暴言吐いて女神の悪口言って。そのせいで牢に入れられて飯抜きになっても、処刑されようとしても意見を曲げなかっただろ? そんだけ気が強くて意志も強い女にこれだけ嫌悪されるなんざお前の世界の男共ってのは一体どんなんだか逆に興味深いわ」
「……そうね。私の世界の全ての男が、奴等みたいな屑じゃないことを頭じゃ理解してても、それでもプライベートには絶対男を入れたくない。私の周りに居た男はそういう奴だったわね」
暴漢も、いじめッ子も見て見ぬふりどころか一緒になって私を虐めた先生も屑親父も……私の弟も。
和貴と言い合う内に買い言葉に売り言葉の流れとノリでぶちまけて。
「成る程、確かにそんなのが俺の隊に居たら間違いなくぶちのめしてるレベルの屑野郎共だ。つーか、お前の男運の悪さには同情を禁じ得ない……が……しかしだな、そんな男っつーかそもヒトとしてどうかしてる奴等と俺らをいっしょくたにされんのは不愉快だ」
「わ、分かってるから。だからこれでもかなり頑張って譲歩して――それでもこれなのよ」
「……お前の世界のお前の男嫌いに関係ねえ男達が哀れでならん」
「……」
正論なだけに言い返せないのが悔しい。
「ま、影家達にも気を付けるようには言っとくけどよ。――いや俺も知らなかったとはいえ少々心無い言い回ししてる自覚はあるから気を付ける。けど、まだ旅は続くんだ。信頼関係を築けないままのチームじゃ上手くいくモンも上手くいかなくなる。……もうちょい俺らをちゃんと見ろや」
和貴は言い合いで乱れていた息を整え、ため息をついて立ち上がり、部屋を出ていく。
「――飯、頼んでくるわ。……今回はギリギリで無理させて悪かったな。とにかく今は食って寝て体を休めとけ」
それはもう、あっさりと。
……それが。何だか凄く悪い事をしてしまったように感じるのは――気のせい……だよね?
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