お一人様大好き30歳、異世界で逆ハーパーティー組まされました。

彩世幻夜

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異世界へ

廃村

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    魔物が出る。
    途中立ち寄った町や村ではマナ不足に不安そうな人々が多く居た。
    けれど、少なくともつい最近までは何不自由なく栄えていたとすぐに分かる。大きな街だけでなく小さな農村でも、まだ目立って困った事になっている様子は見かけなかったし、町並みは荒れた様子もなく民も疲れた様子は見せても不健康と言う程酷い者の噂は聞かない。
    ――なのに。
   「ここは……」
    その街だけは、既に街としての機能を失った〝廃墟〟と呼ぶべき姿を晒していた。
   農村……と言うには周囲に農地だったらしい様な土地は見当たらないが、街と言うには住宅ばかりで店屋や公的施設の様な建物も無い。
   建物は人が居なくなった空き家らしくどれも寂れ汚れている。辛うじてまだ崩れそうな建物は無いけれど、タイルで舗装されていたらしい道は隙間から雑草が生えてひび割れたり凸凹になっていたりと荒れ放題だし、本当に人の気配がない。
    その住宅も、これまで見てきた日本の田舎の古民家みたいだった農村らしい屋敷ではなく、街で見かけたレトロなお家に近いものだし……。
    何だか随分とちぐはぐな感じのする町だ。
    「この近くは小さな農村ばかりだからな。ここは人は居ねぇが一応堀と壁はある。……門扉は開きっぱなしだが、それでも何の守りもねぇ外で野宿するよりは、適当に間借りして雨風も凌げる。知る人ぞ知る夜営スポットなんだよ」
    と、雇い主は比較的損傷の軽い家屋を選んで車を止めた。
   「ここはな、あるとき突然お偉いさんの鶴の一声で作られ、けどいつの間にか全部引き上げられてたってぇ曰く付きの街だったんだよ。人の居た頃にゃどうも近づきがたい街ってんでここらじゃよく噂されてたが、無人の廃墟になった今じゃ無料の自炊宿さ」
    「うわー、何かお役人さんのスキャンダル的な怪しさ満載じゃないの。……何かねちっこい恨み持った幽霊とか出そうだけど、そっち系の噂は無いの?」
    「さぁなぁ。飯の種になりそうな噂は気にして仕入れても、夢物語やお伽噺の類いは信じねぇからなぁ。夢じゃ腹は膨れねぇし、お伽噺じゃ商売で金稼ぎは出来ねぇよ」
   「オバケより、獣や同業の競合のが俺らにとっちゃ怖いからなぁ」
   「いや、お宅らが強くて助かってるよ」
    ……。
   「――後でちっと探索してみるか」
   「だったら嶺仙と僕で行ってくるよ。塀の中とはいえ入り口はフリーパス状態だしね。護衛として同行してるんだから彼らを完全に放り出しては行けないし」
   「確かに、探索任務ならお前ら二人が適任だな」
   「……それ、私も付いて行って良い?」
   「構わないけど……、いいの、休んでなくて?」
   「私は殆ど馬車に乗ってるだけだし。むしろ少し身体を動かしたい」
    ……てのは建前だけどね、勿論。
    怪しい街。――何も無いかもしれないけど。
    私は自分の目で確かめずにはいられなかった。
    「まぁ、恐らく危険もないでしょうし……良いでしょう。でもあまり離れないで下さいよ」
    そして。探索に乗り出した私が目にした物。
    それは――
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