ざまぁ系ヒロインに転生したけど、悪役令嬢と仲良くなったので、隣国に亡命して健全生活目指します!

彩世幻夜

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私、ざまぁ系ヒロインに転生してしまったかも……!?

ルノーとルドルフ

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 「私、エンゲル辺境伯家にお仕えしております、洗濯メイドのアルマと申します。この度はお手数おかけして申し訳ございません」

 エンゲル家は辺境伯と言う事で、私兵を持つ事を許された家。……勿論本隊は領地に居るわけだが、タウンハウスにも中隊規模の軍が滞在している。

 「彼女はその訓練場付きの洗濯メイドでね」
 日々の訓練で泥だらけになる大量の衣服の洗濯……。そりゃ専任を雇わなきゃやってられないわな。
 「軍人だからね、日々の訓練で身体を作ってるから皆ガタイは良いし声もでかい。
 考え方も体育会系な者が大半だ。
 だから、荒っぽい男達への耐性は見極めて配属してはいたんだが」

 「はい、私は上にも下にも男兄弟が沢山居る家庭で育ちまして、殿方の扱いには慣れていたつもりだったのですが……」

 「我が軍の存在意義は国境警備だ。どこかと戦争をしている訳ではないのだから、敵といえば魔獣や賊だ。
 善良な一般市民をを守るのが役目なのに、それを脅かしては本末転倒だろう?
 だから我が軍では規律をかなり厳しくしていてね。
 荒っぽい者はいても、むやみに乱暴狼藉を働く者は居ないのだよ」

 しかし、マルグリット様の婚約者、ブルーノ様は違った。

 「国の軍とて、我が国は現在どことも戦争をしていないのだから、主な敵が魔獣や賊なのは変わらないはずだが、そのような敵は下々の者に任せておけば良く、自分達は来るフライハイト王国との戦争に備えて居るのだ、というのが信条だからな」

 洗濯メイドといえば、使用人の中でもかなり下の扱いだ。
 何が気に障ったかは知らないが、些細なことでも無礼討ちが許されてしまうこの国では命があるだけ儲けもの、と片付けられてしまってもおかしくない。

 「先に、謝っておきます。私はまだまだ未熟者ですので、必ず治すとは言えません。それでもよろしければ、治療させていただきます」
 「はい、少しでも症状が改善するなら、せめてもう少し夜に眠れるようになれば十分ですので……」

 前世の感覚で言えば、まだ女子高生くらいの年齢の女の子が目にクマを作って顔色を悪くしているのを見たら放ってはおけない。

 「ルノー、どうかな?」
 私は虚空に尋ねる。
 「フィリーネが人前で僕を喚ぶのは珍しいね」
 その声に答え、紫髪の小人が現れる。
 白いポンポンのついた三角帽子に、幼稚園のスモックみたいな服の色も紫色をしている。

 「この娘を治せば良いんだよね? うん、これならルドルフでもやれると思うよ、エーテル石さえあれば」

 「分かった。……ルドルフ!」
 名を喚べば今度は黒い子猫が現れる。
 ……普通の猫でないのは、背にある透明な翅のせいで一目瞭然なのだけど。
 ついでに日の当たる明るい場所で見ると、毛色が漆黒ではなく濃い紫なのが見て取れる。

 「ルノーは、エーテル石をお願い。ルドルフ、この娘さんの治療をお願いしたいの」

 「了解~♪」
 「にゃあ♡」
 「じゃ、エーテル魔力を貰うよ」

 ルノーが、私が手に集めた力を集めて石にする。
 その石をコクリと飲み込んだルドルフが「にゃあ」と、メイドのアルマさんの頭の上に乗って一声鳴く。

 「そうそう、そこに精神の淀みがあるだろ? それを上手く流してやるんだ、こんな風に」
 そのルドルフをサポートするルノー。

 小人と子猫の戯れは、端から見るだけでもかなりの癒やし効果があると思う。

 ああ、ほら。お義姉様もマルグリットさまも口を手で隠してぷるぷるしてるから……。

 「にゃあ~!」
 「よしよし、良くやった。フィリーネ、終わったよ」
 「わぁ、ありがとうルドルフ! ルノーもね」

 ああ、ルドルフ可愛い。
 たっぷりもふもふして褒めてやろう。

 「あ、ありがとうございます、ありがとうございます!」
 メイドさんはペコペコ頭を下げている。

 「私からも礼を言わせてほしい。ありがとう、フィリーネ嬢」
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