ざまぁ系ヒロインに転生したけど、悪役令嬢と仲良くなったので、隣国に亡命して健全生活目指します!

彩世幻夜

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私、ざまぁ系ヒロインに転生してしまったかも……!?

帰りの旅路で

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 「改めて、素晴らしい国でしたね、フライハイト王国は……」

 帰りの船の中、遠ざかる港の景色を甲板から眺めつつ溜息を吐く姿までロジーネお義姉様がやると実に絵になる。これ、スチル絵にしてばら撒いたら大きなお友だちに需要ありそうよね……。

 「あはは。ありがとう、そう言って貰えると僕も嬉しいですよ。
 ただ、あの街はフライハイト王国のいわば勝手口。
 その土間口を見ていただいただけですからね。
 本来なら、もっと驚かせられるはずなのに、と思うと少し焦れったくもありますね」

 「あれで、勝手口……」

 「ええ、サザーランド地方の各国との玄関口はエンデ運河を領地に有するミュラー候爵領が担っていますし、リオン帝国との玄関口はカフカ運河を領地に有するハワード候爵領が担っていますから。
 セイントランド聖国とも正式に、あそこが玄関口になるでしょうが、現状では……」

 「……まぁ、無理だろうな。自国のことながら恥ずかしい限りだが」

 「そうですわね……。
 町並みや文化もですが、何より食文化は我が国も真っ先に倣うべきと存じます。
 ほんの数日分とはいえ、出された食事はどれもとても健康的ながらとても美味でしたわ。
 帰った後のあの脂ぎった晩餐を思うと気が重くなりますわ……。
 いえ、フィリーネ様を思えばお腹いっぱい食べられるだけで贅沢なのは分かっているのですけれど……」

 「昨日のお買い物はフィリーネが一番楽しんでいましたものね?
 お洋服を買いに行っても宝石を買いに行ってもあまり喜ばない貴女にしては珍しい事と思っていたのですけれど。
 でも、思えば貴女の作るお菓子はどれも素朴ながらとても美味しかったですもの。
 貴女は貴族の後妻として贅の限りを尽くすより、そういった仕事をした方が似合いますわね」

 そりゃ、まぁ。元々そういう職を目指していましたからね、前世では。
 それに雇われ店長とはいえ一応飲食業界勤務だったんだし。
 切れ味の良さそうな良い包丁を見つければついつい欲しくなるってものよね?

 「でも、ジークリンデ様もお食事を楽しんでいたではありませんか」
 「え、ええ……、あの親子丼というもの……、食べるのが少々難しかったですが、味は申し分ありませんでした。
 あれが大衆料理とは恐れ入りますわ……」
 海鮮丼と悩みに悩み、生の魚よりは……とジークリンデ様が選んだ親子丼。
 とろとろ卵の上に刻みのりと漬物がトッピングされた、元日本人的には馴染みの一品だけど。
 日本の丼料理も、外国人はついついアタマばかりを先に食べてしまって後に白米ばかり残るという、子供の様な失敗がよくあると聞いたことがある。
 その失敗を、ジークリンデ様ももれなく経験するハメになったわけだ。

 ちなみに私は、久しぶりの海鮮丼の味に感激しつつキレイに完食し、
「初めてなのに食べ方が随分上手だね?」
とミヒャエルに感心されるという別のミスはあったんだけど。

 「なにもする事なくてゴロゴロしてるだけよりは仕事したいよね。
 ついでに言えば力仕事や書類仕事よりは料理してる方が好きだな」

 ま、料理も業務用レベルの仕事となると、結構な力仕事だったりするんだけどさ。
 最近じゃ器械を導入している厨房も多いとはいえ、やっぱり体が資本の仕事なのは確かだ。

 「私は……、体を動かす仕事がしたいな。……書類仕事は私もあまり好きではないのでな」
 「私は……教会でのご奉仕の様な、人の助けとなれる仕事がしたいですわね」
 マルグリット様とロジーネお義姉様が言う。

 「私は……、私はどうしたいのかしら。
 取り敢えず祖国を離れ、フリードリヒ様から離れるためにと受験勉強に励んできましたけれど。
 こうしてマルグリット様やロジーネ様の思いを聞くと自分が考えなしだったのでは、と……」

 「それは追々。学校で学ぶ中で見つけていけばよろしいのでは?
 そういう学生もそこそこ居りますよ?」
 「そうね。合格さえしていれば、少なくとも3年は時間が稼げますものね」

 そして、帰国後一月が経った頃。
 私達の下にフライハイト王国からの通達が届いたのだった。

 
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