54 / 114
乙女ゲームからエスケープ! 留学します!
フライハイト王国、途中下車の旅 〜出発地〜
しおりを挟む
先日と同様、ランチとお茶を楽しんだ後の到着。今日も順調な航海だった様で。
港に待機していた四頭立ての大きな箱馬車二台と荷馬車が八台。
荷物は荷馬車へと私達の荷物が詰め込まれていく。
しかし、私達はと言えば。
「今夜はこの港で一泊して、明日朝一番の列車に乗るよ」
「列車……、ですか。馬車ではない乗り物……、興味ありますね」
「うん、荷物はそのまま直通で先にあちらの寮に届く様手配してある。俺達は途中食事や宿泊に途中下車して、学園都市につくのは明後日の夕方になるかな」
流石にまだこの世界の列車の速度は日本の普通列車並のようで、基本各駅停車らしく、そのくらいの時間はかかるらしい。
「けど、車で全行程行こうと思えば三日はかかるから。エーテル石代も馬鹿にならないし。
馬車だともっとかかるしね」
この港から今晩泊まる宿――これも先日泊まったのと同じホテルだと言う――までは馬車で数分。
荷物は多いし重いからだけど、私達は正直歩いた方が早くない?
「ご希望ならホテルの夕食の時間まで自由行動にしようか?
治安は問題ないけど、方向音痴とかはないよね?」
「私は大丈夫だと思うが」
「私は……普段街歩きなど致しませんから……。見知った屋敷や王宮で迷ったことはございませんが、大概侍女や侍従が共におりますから……、自分一人だと自信をを持って大丈夫とは言い切れないですわ……」
「私は、時折教会での奉仕活動などで出歩く機会はありましたが……。それも教会の者がついておりましたし。
確かに一人だと……」
「なら、アタシが案内するよ。こういうのにオトコ連れて行ってもシラケるだけだしね!」
「おい……」
「あ、ミヒャエルはフィリーネちゃんのエスコートしとけ。後で港の屋台の塩バニラシュークリーム差し入れでチャラにしてやろう」
「う、ぐ……!」
「じゃ、お嬢さん方、まずはカワイイ雑貨屋さん覗きに行こうか。見た目だけじゃなく使い勝手も良い文具なんかを扱ってる店があるんだよ」
「あー、フィリーネ。何か見たいものとかある?」
「うーん、欲望のままに言えば調理器具の店が見てみたいけど、今そんなの買っても無駄に荷物になるだけだし……。食材も無駄になりそうだからなぁ。夕食もこれからだし……」
これはなかなかに難易度の高いわね……。
と、悩もうとしたところへ、船に乗るので一時的に姿を隠していたファロンとウォルターが現れた。
頭の上にはルノー、肩の上にはルドルフも鎮座している。
「なら、教会へ行ってくれないか? ……そろそろ俺達の牽制も限界でさ。いい加減契約させろって煩いのが多くてな……」
「お買い物なら、その後で宝飾店などいかがです? 我らのエーテル石を使ったアクセサリーなど、身に付けていただけると嬉しいですね」
「いやいや、人族の女にアクセサリーを贈るのはその番の役だと聞いたぞ? 自らの髪や瞳の色の服飾品を贈るのがおヤクソクだと」
「ふむ、ならば土台とメインとなる宝石をこの者に選ばせ、我々はそれを引き立てる石を用意すれば良いのでは?」
おっと、私達そっちのけで勝手に精霊さんの間で私達の予定が決まっていくぞ?
しかもやっぱりヒロインチートルートからはどうしても逃れられない運命なワケ!?
「アクセサリー、か。確かに良いな」
あれ、ミヒャエルも乗り気……?
いや、近世ではアクセサリーなんて気にしてる余裕ができたのつい最近で。
侯爵家で用意されるものは元庶民の感覚からすると恐れ多くてつい“お借りしている物”という意識が抜けなくて。
そりゃ女の子だから宝飾品に興味が無い訳じゃぁないけれど。
「ならばあちらに輸入物を扱う良い宝石店が……」
と、ミヒャエルがウキウキしながら歩き出す。
あ、これもう逃げられないやつだ。
……そしてその晩、ホテルの夕飯時には私の胸元には銀の台座に鎮座した真珠を取り囲む六色のエーテル石が輝くネックレスがありましたとさ。
港に待機していた四頭立ての大きな箱馬車二台と荷馬車が八台。
荷物は荷馬車へと私達の荷物が詰め込まれていく。
しかし、私達はと言えば。
「今夜はこの港で一泊して、明日朝一番の列車に乗るよ」
「列車……、ですか。馬車ではない乗り物……、興味ありますね」
「うん、荷物はそのまま直通で先にあちらの寮に届く様手配してある。俺達は途中食事や宿泊に途中下車して、学園都市につくのは明後日の夕方になるかな」
流石にまだこの世界の列車の速度は日本の普通列車並のようで、基本各駅停車らしく、そのくらいの時間はかかるらしい。
「けど、車で全行程行こうと思えば三日はかかるから。エーテル石代も馬鹿にならないし。
馬車だともっとかかるしね」
この港から今晩泊まる宿――これも先日泊まったのと同じホテルだと言う――までは馬車で数分。
荷物は多いし重いからだけど、私達は正直歩いた方が早くない?
「ご希望ならホテルの夕食の時間まで自由行動にしようか?
治安は問題ないけど、方向音痴とかはないよね?」
「私は大丈夫だと思うが」
「私は……普段街歩きなど致しませんから……。見知った屋敷や王宮で迷ったことはございませんが、大概侍女や侍従が共におりますから……、自分一人だと自信をを持って大丈夫とは言い切れないですわ……」
「私は、時折教会での奉仕活動などで出歩く機会はありましたが……。それも教会の者がついておりましたし。
確かに一人だと……」
「なら、アタシが案内するよ。こういうのにオトコ連れて行ってもシラケるだけだしね!」
「おい……」
「あ、ミヒャエルはフィリーネちゃんのエスコートしとけ。後で港の屋台の塩バニラシュークリーム差し入れでチャラにしてやろう」
「う、ぐ……!」
「じゃ、お嬢さん方、まずはカワイイ雑貨屋さん覗きに行こうか。見た目だけじゃなく使い勝手も良い文具なんかを扱ってる店があるんだよ」
「あー、フィリーネ。何か見たいものとかある?」
「うーん、欲望のままに言えば調理器具の店が見てみたいけど、今そんなの買っても無駄に荷物になるだけだし……。食材も無駄になりそうだからなぁ。夕食もこれからだし……」
これはなかなかに難易度の高いわね……。
と、悩もうとしたところへ、船に乗るので一時的に姿を隠していたファロンとウォルターが現れた。
頭の上にはルノー、肩の上にはルドルフも鎮座している。
「なら、教会へ行ってくれないか? ……そろそろ俺達の牽制も限界でさ。いい加減契約させろって煩いのが多くてな……」
「お買い物なら、その後で宝飾店などいかがです? 我らのエーテル石を使ったアクセサリーなど、身に付けていただけると嬉しいですね」
「いやいや、人族の女にアクセサリーを贈るのはその番の役だと聞いたぞ? 自らの髪や瞳の色の服飾品を贈るのがおヤクソクだと」
「ふむ、ならば土台とメインとなる宝石をこの者に選ばせ、我々はそれを引き立てる石を用意すれば良いのでは?」
おっと、私達そっちのけで勝手に精霊さんの間で私達の予定が決まっていくぞ?
しかもやっぱりヒロインチートルートからはどうしても逃れられない運命なワケ!?
「アクセサリー、か。確かに良いな」
あれ、ミヒャエルも乗り気……?
いや、近世ではアクセサリーなんて気にしてる余裕ができたのつい最近で。
侯爵家で用意されるものは元庶民の感覚からすると恐れ多くてつい“お借りしている物”という意識が抜けなくて。
そりゃ女の子だから宝飾品に興味が無い訳じゃぁないけれど。
「ならばあちらに輸入物を扱う良い宝石店が……」
と、ミヒャエルがウキウキしながら歩き出す。
あ、これもう逃げられないやつだ。
……そしてその晩、ホテルの夕飯時には私の胸元には銀の台座に鎮座した真珠を取り囲む六色のエーテル石が輝くネックレスがありましたとさ。
7
あなたにおすすめの小説
虐殺者の称号を持つ戦士が元公爵令嬢に雇われました
オオノギ
ファンタジー
【虐殺者《スレイヤー》】の汚名を着せられた王国戦士エリクと、
【才姫《プリンセス》】と帝国内で謳われる公爵令嬢アリア。
互いに理由は違いながらも国から追われた先で出会い、
戦士エリクはアリアの護衛として雇われる事となった。
そして安寧の地を求めて二人で旅を繰り広げる。
暴走気味の前向き美少女アリアに振り回される戦士エリクと、
不器用で愚直なエリクに呆れながらも付き合う元公爵令嬢アリア。
凸凹コンビが織り成し紡ぐ異世界を巡るファンタジー作品です。
【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!
くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。
ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。
マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ!
悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。
少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!!
ほんの少しシリアスもある!かもです。
気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。
月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?
桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。
だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。
「もう!どうしてなのよ!!」
クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!?
天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?
小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜
みかん桜
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。
ここは、乙女ゲームが舞台の小説の世界だった。
悪役令嬢が主役で、破滅を回避して幸せを掴む——そんな物語。
私はその主人公の姉。しかもゲームの妹が、悪役令嬢になった原因の1つが姉である私だったはず。
とはいえ私はただのモブ。
この世界のルールから逸脱せず、無難に生きていこうと決意したのに……なぜか第一王子に執着されている。
……そういえば、元々『姉の婚約者を奪った』って設定だったような……?
※2025年5月に副題を追加しました。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた
nionea
恋愛
ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、
死んだ
と、思ったら目が覚めて、
悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。
ぽっちゃり(控えめな表現です)
うっかり (婉曲的な表現です)
マイペース(モノはいいようです)
略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、
「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」
と、落ち込んでばかりもいられない。
今後の人生がかかっている。
果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。
※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。
’20.3.17 追記
更新ミスがありました。
3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。
本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。
大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる