ざまぁ系ヒロインに転生したけど、悪役令嬢と仲良くなったので、隣国に亡命して健全生活目指します!

彩世幻夜

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乙女ゲームからエスケープ! 留学します!

フライハイト王国の候爵家

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 フライハイト王国に到着してから五日、寮に到着してから二日。

 「何しろ世界中から人が来るからね。フライハイト王国内の交通機関のダイヤはかなり正確だけど、フライハイト王国に来るまでの手段は色々だからね。
 入寮期間は余裕を持って設定されているんだよ」

 それ故、入寮式とそれに付随するオリエンテーション的な催しが明日行われるのだとアナウンスがあった。

 因みに入学式はさらにその二日後との事。
 それに入寮式と言ったって、前世で流行った某魔法学校物語の様な儀式張った大層なものでも、前世の学校あるあるなお偉い方のやたらと長ったらしいお話を聞くだけの会でもないそうで。

 「食堂でご馳走を食べつつ、寮での決まりや注意点を軽く説明されて、後は各自で交流、ってのが主な流れ。
 寮の施設やその使い方なんかは後のオリエンテーションで説明されるよ」

 との事。……だが。

 「ミヒャエル、やけに事情通よね?
 フライハイト王国の事についてはあなたの祖国なのだからと納得しようと思ったんだけど、学校のことについては……。
 表向きの情報だけならともかく、まるで在校生からのアドバイスみたいなのが何故出てくるのかしら?」

 寮の食事形式なんて、学校案内のパンフレットには載ってなかった。

 在校生に聞いたにしろ、ここはミヒャエルも言った通りの国際学校で、生徒の九割方がフライハイト王国以外の国から来た留学生で、その大半は卒業後は祖国なりフライハイト王国以外の国へと巣立って行くと言う。
 私の知る限りはここ数年をセイントランド聖国で過ごしていたミヒャエルが、何でこんなに情報通なのか。

 「あはは、それはね。私達がハワード候爵家枠での入学だからだよ!」

 その答えはミヒャエル自身ではなくジョゼフィーネさんがニコニコと口にした。
 「侯爵家枠? ……そう言えば入寮した日に事務室の受付の人も確かそんな事を言っていたわね」

 「おぉ、よく覚えてるね!
 そ。この学校に予め設けられてる侯爵家枠はね、ハワード候爵家傘下の関係者が入学はいれるよう予め設けられているの。
 知ってるよね、この国の六候制度。そのハワード家の役割を」

 六候制度というのは。
 この国の侯爵家は六家あり、それは建国時より変わらず、おそらく今後も変わることはないだろう。

 ホーキンス侯爵家は行政を。
 ミュラー候爵家は宗教を。
 マーヴィン侯爵家は法を。
 マルクス侯爵家は教育を。
 ブラッドレイ侯爵家は軍事を。
 ハワード候爵家は外交を。

 それぞれにまつわる事項を管轄、及び管理する役目を負い、この国の大半の貴族家はこの六家のどれかの傘下にある。

 因みにこの国の王族は完全実力主義であり、母親の身分や後ろ盾がいくらあろうとも、本人の能力が伴わなければ王太子に選ばれる事はない。
 王太子に――ひいては王になれなかった王子・王女は能力に応じて六候爵家かそれに近い分家に婿入り、或いは降嫁され、逆に王太子は必ず六候爵家から順繰りに正妃を得る決まりになっている。
 六候爵家は国中の優秀な血を積極的に取り込み、王家の血にそれを混ぜて王家の血を濃くしすぎず薄め過ぎもせぬよう整えられているわけだ。

 因みにこの国の公爵家は婿入りや降嫁しなかった元王子・王女に一代限りで与えられる爵位であり、それ自体はあくまで名誉しかなく――最低限貴族として恥ずかしくない生活が可能な年金は出るらしいが――実権などありはしない。
 権力が欲しければ自力で何某かの役職を得るしかない。

 そして、この国の人々の気質と言うのか、のんべんだらりと食っちゃ寝生活が、性に合うという人は少数派らしく、歴代の公爵様はもれなく何かの役職につくか新たな事業を起こしたりと精力的に動く。
 六家に入らなかったのは単にその家の気質や仕事に適性がなかったとか、丁度良い歳周りの相手が居なかったりなどの理由であり……。

 ……うん、そりゃ国力も上がるわけですよね。
 セイントランド聖国が太刀打ちできるはずないわ。

 「で、私達アンデルセン家とグリム家はハワード候爵家の傘下。
 外交を担う家だからね。
 ま、私達は能力を買われた養子だけど。
 ここで国際交流というものを覚えなさいってのと、まだ国としては信用しきれない相手の監督要員を兼ねてるんだよね」

 故に、事前に学校の情報は家にある程度蓄積されていたらしい。

 「でも、百聞は一見に如かずって言うでしょ?
 私も色々楽しみなのは一緒だよ!」

 と。ジョゼフィーネはニカッと笑った。
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