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就活成功させて亡命しよう!
慣れないと大変です
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ツン、と。
窓も開けていないのに、扉の僅かな隙間からその臭いは馬車の中に侵入してきた。
前世で日本人をしていた私には馴染みのある臭いとはいえ、地元は普通の都会で温泉地等ではなく、硫黄泉の湧く温泉地でなければ嗅がない臭いだから、やはり最初は悪臭と感じてしまう。
私はそれでもすぐに慣れたけど、ミヒャエルはそうではなく。
馬車に乗ってすぐは、まだお試し感覚が強いながらも彼氏彼女の肩書きを得てほくほくしていたミヒャエルも、この臭いが車内に充満してからこっち、どんどんグロッキーになる。
勿論濃度が濃すぎれば害にもなるが、まだ温泉地で嗅いだ事のあるものより臭いは薄いから、直接健康に害はないはず。
けど、悪臭寄りの臭いなのは確かだし、私も良い匂いとは思わないからなぁ。
人によっては香水とか化粧の匂いで気分を悪くする人も居るみたいだし。
その臭気が強くなってくると、次第にあちらこちらで水蒸気がもくもく吹き出ている光景が見られ、水たまりがあちこちに散見され、馬車はそれを避けて進むため、速度ががぜん落ちる。
正直歩く方が早い気もするが、足元は泥濘んでぐちゃぐちゃ。
一応汚れても良い格好で、動きやすい靴を履いてきてはいるけれど、私が購入予定の土地はもう少し先。
汚れはともかく体力の消耗はなるべく減らしたい。
前世も今世も庶民育ちの私は貴族のお嬢様よりは体力はあるつもりだけど、同時に舗装されているのが当たり前の街育ちでもあるから、こういう道には慣れていない。
人と待ち合わせをしているのもあって、今は大人しく馬車に揺られて――いや、揺れが酷くて大人しくはしていられないのだけど。
あまり大きな馬車でもなく、ただでさえキツキツの席に二人横に並んで座っているのだけど、ガタガタ揺れるたび当たり前に肩が触れ合う。
慣れない、年頃の男の子の身体の硬さが直に感じられる。
ドキドキするけど、ちょっとミヒャエルの状況からそんな事を言ってる場合じゃないよね。
「もう、いっそ割り切ってこっち寄りかかっちゃいなよ。
幸いにして狭いから、私が逆に倒れるなんてことも無いんだし」
逆の肩は馬車壁に触れているので、引っくり返りようもない。
「う……、ごめん。あぁー……、カッコ悪い情けない……」
ミヒャエル的には忸怩たる思いがある様だけど。
いつも飄々と余裕な態度がデフォの彼としては珍しい。
私的にはちょっとレアなものを見れた様でむしろ嬉しいんだけどね。
そんなこんなで些細なトラブルはあったものの、概ねスムーズな旅路のまま、私達は目指した土地へとたどり着く。
まぁ、件の土地は囲ってある訳でもなく、線引きされている訳でもなく、ほぼ平地が広がる場所で、おおよそにしか分からないのだけど。
先に着いた馬車が一台見えてくる。
どうやら頼んだ建築家さんは私達より早く着いていたらしい。
「お待たせして済みません」
「いえいえ、この様な道ですからね。
私も念のためと少し早く出て来過ぎました。
土地の様子など好きに見て回る時間も取れましたし、お気になさらず」
そう微笑むのは、インテリ系美女。
流石に足元こそ運動靴にパンツ姿であるが、上下揃いのデザインのスーツをパリッと着こなしている。
フレームの目立たないメガネに短くまとめたポニーテール。
生真面目が服を着て歩いている。
そんな彼女は。
「改めて。私建築デザイナーのドリスと申します」
名刺を差し出した。
敢えてファストネームのみの名乗りを上げながら。
窓も開けていないのに、扉の僅かな隙間からその臭いは馬車の中に侵入してきた。
前世で日本人をしていた私には馴染みのある臭いとはいえ、地元は普通の都会で温泉地等ではなく、硫黄泉の湧く温泉地でなければ嗅がない臭いだから、やはり最初は悪臭と感じてしまう。
私はそれでもすぐに慣れたけど、ミヒャエルはそうではなく。
馬車に乗ってすぐは、まだお試し感覚が強いながらも彼氏彼女の肩書きを得てほくほくしていたミヒャエルも、この臭いが車内に充満してからこっち、どんどんグロッキーになる。
勿論濃度が濃すぎれば害にもなるが、まだ温泉地で嗅いだ事のあるものより臭いは薄いから、直接健康に害はないはず。
けど、悪臭寄りの臭いなのは確かだし、私も良い匂いとは思わないからなぁ。
人によっては香水とか化粧の匂いで気分を悪くする人も居るみたいだし。
その臭気が強くなってくると、次第にあちらこちらで水蒸気がもくもく吹き出ている光景が見られ、水たまりがあちこちに散見され、馬車はそれを避けて進むため、速度ががぜん落ちる。
正直歩く方が早い気もするが、足元は泥濘んでぐちゃぐちゃ。
一応汚れても良い格好で、動きやすい靴を履いてきてはいるけれど、私が購入予定の土地はもう少し先。
汚れはともかく体力の消耗はなるべく減らしたい。
前世も今世も庶民育ちの私は貴族のお嬢様よりは体力はあるつもりだけど、同時に舗装されているのが当たり前の街育ちでもあるから、こういう道には慣れていない。
人と待ち合わせをしているのもあって、今は大人しく馬車に揺られて――いや、揺れが酷くて大人しくはしていられないのだけど。
あまり大きな馬車でもなく、ただでさえキツキツの席に二人横に並んで座っているのだけど、ガタガタ揺れるたび当たり前に肩が触れ合う。
慣れない、年頃の男の子の身体の硬さが直に感じられる。
ドキドキするけど、ちょっとミヒャエルの状況からそんな事を言ってる場合じゃないよね。
「もう、いっそ割り切ってこっち寄りかかっちゃいなよ。
幸いにして狭いから、私が逆に倒れるなんてことも無いんだし」
逆の肩は馬車壁に触れているので、引っくり返りようもない。
「う……、ごめん。あぁー……、カッコ悪い情けない……」
ミヒャエル的には忸怩たる思いがある様だけど。
いつも飄々と余裕な態度がデフォの彼としては珍しい。
私的にはちょっとレアなものを見れた様でむしろ嬉しいんだけどね。
そんなこんなで些細なトラブルはあったものの、概ねスムーズな旅路のまま、私達は目指した土地へとたどり着く。
まぁ、件の土地は囲ってある訳でもなく、線引きされている訳でもなく、ほぼ平地が広がる場所で、おおよそにしか分からないのだけど。
先に着いた馬車が一台見えてくる。
どうやら頼んだ建築家さんは私達より早く着いていたらしい。
「お待たせして済みません」
「いえいえ、この様な道ですからね。
私も念のためと少し早く出て来過ぎました。
土地の様子など好きに見て回る時間も取れましたし、お気になさらず」
そう微笑むのは、インテリ系美女。
流石に足元こそ運動靴にパンツ姿であるが、上下揃いのデザインのスーツをパリッと着こなしている。
フレームの目立たないメガネに短くまとめたポニーテール。
生真面目が服を着て歩いている。
そんな彼女は。
「改めて。私建築デザイナーのドリスと申します」
名刺を差し出した。
敢えてファストネームのみの名乗りを上げながら。
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本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。
大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
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