奴隷と過ごす毎日

宝。

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8話朝食は焼きたてトーストで

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その後もう一眠りし、ハルトより早く起きたわたしは、横で眠るハルトを起こさないようベッドを抜け出し洗面所に向かう。寝ぼけ眼の上、まだ部屋を全て覚えたわけではないので、わたしの足取りは実にたどたどしかった。
歯を磨いて顔を洗う。歯ブラシや洗顔料はハルトが用意してくれていたみたい。……つくづくハルトは優しい。
顔を拭いて頬を軽く叩く。
「……よし!」
小さい声で気合いを入れてキッチンへ。
朝食はパンにしよう。
食パンの上にモッツァレラチーズ、バジリコ、切ったミニトマトをのせ、トースターにセット。因みにトースターは飛び出るタイプではなく、オーブントースターという種類だった。
……なんで食材と調理器具は豊富なんだろう?
そんなこんなで出来たトーストを皿にのせていると
「ふぁ~」
大きな欠伸をしながらハルトが起きて来た。
「おはよう…ございます」
「ん、おはよ。シロナ」
挨拶をしたら笑顔で挨拶を返された。それより…
「あの、寝癖がすごい…です」
「ん?ん~」
くしゃくしゃと自分の髮をかきながら適当な返事をするハルト
「朝ごはん…もうすぐできる…ので、顔を洗っ…て、歯を磨いて来て…ください」
「ん~」
間延びした返事をしながら洗面所の方へ、ゆったり歩いてくハルト
その間わたしは朝食の準備をする
トーストが出来て、コーヒーを入れたところでハルトが戻って来る。
「・・・」
…まだ寝ぼけているらしい。
虚ろな目で食卓を眺めるハルト
「朝食出来た…ので、食べま…しょう」
「……ん」
ゆっくり自分の席につくハルト
目の前には湯気が上がっているマルゲリータ風トーストとコーヒー。
「では、いただき…ます」
「…いただきます」
サクッとしたパンの食感にチーズの濃厚な旨み、さらにトマトの酸味とバジリコが絡み、我ながら美味しく出来たと思い、ハルトをみると、
「ん~」
伸びたチーズをゆっくり咀嚼していた。
もぐもぐと擬音が聞こえてきそうな食べ方だった。
ひとくちが小さいわたしがトーストを半分程食べ終えた頃、ハルトにこんな話を聞いてみる。
「あの、ハルト…はどうしてわたしを…その、買ったんです…か?」
「……」
さすがに目が覚めたらしいハルトが、神剣な目でこちらを見る。
「…偶然っちゃ偶然なんだけどさ、シロナを見た時」
そこで一旦言葉を区切り、一瞬躊躇ったが言葉を続けた
「寂しそうだなって…思ったんだ」
寂しい…
「他の子もそうなんだけど、とりわけ君が寂しそうだったから…」
今まで気になっていた質問の答えがあまりにも曖昧で、少し気が抜けてしまった。でも、そんな曖昧な理由だったとしても、わたしが救われたのは事実で…
「もう1つ…いい…ですか?」
「…うん」
実はこっちの方が気になっている。
「ハルトは、料理出来ない…のに、なんで食材…とか、調理器具…とか…揃ってるん…ですか?」
「あぁ、それは…」
ハルトが理由を話そうとした時、
ガチャッ‼
と勢いよく扉の開く音がした。
ここに来て初めて見た、あの落ち着いた木の扉…玄関の扉の音だった……


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