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俺は兄のそばを離れなかったらしい。どこに行くにもついて行き、
それは兄が結婚して家を出るまで続いていたそうだ。
兄が家を出る日母さんは心配していた。
兄の事ではなく俺のことでだ。
結婚は喜ばしいことだがあれだけついて回っていた大好きな兄が突然いなくなるのだ。暴れたり、泣き出したりするのではないかと不安だったらしい。
だがそれは杞憂に終わった。
俺は暴れもせず、泣きもせずただ黙って兄を見送ったのだ。
兄が見えなくなり母さんは俺の横顔を見た。
どこかほっとしたような安心した顔をしていたらしい。
その顔は一瞬のことで見間違いかもしれないと思い今まであまり気にしていなかったそうだ。
兄の話が出て急に思い出したのだろう。
今の俺ではあの時の心境はわからない。母さんも答えが欲しいわけでもないようで話し終えるとすぐ調理を再開した。聞かれたとしても答えられなかったのでほっとする。
猫の置物
それから俺がいない間のわずかな訪問
犯人は兄で間違い無いだろう。
それが分かったところでどうするべきか?
俺はコンビニで死んだ22歳の男であって兄の知っている佐藤翔では無い。
それを伝えたところで信じてもらえるわけがない。
それにしても兄は佐藤翔とどうなりたいのだろうかと言う疑問が残った。
弟の首筋を噛み、そして盗聴器を仕掛けると言うのは歪んだ愛なのでは無いだろうか。
それは兄が結婚して家を出るまで続いていたそうだ。
兄が家を出る日母さんは心配していた。
兄の事ではなく俺のことでだ。
結婚は喜ばしいことだがあれだけついて回っていた大好きな兄が突然いなくなるのだ。暴れたり、泣き出したりするのではないかと不安だったらしい。
だがそれは杞憂に終わった。
俺は暴れもせず、泣きもせずただ黙って兄を見送ったのだ。
兄が見えなくなり母さんは俺の横顔を見た。
どこかほっとしたような安心した顔をしていたらしい。
その顔は一瞬のことで見間違いかもしれないと思い今まであまり気にしていなかったそうだ。
兄の話が出て急に思い出したのだろう。
今の俺ではあの時の心境はわからない。母さんも答えが欲しいわけでもないようで話し終えるとすぐ調理を再開した。聞かれたとしても答えられなかったのでほっとする。
猫の置物
それから俺がいない間のわずかな訪問
犯人は兄で間違い無いだろう。
それが分かったところでどうするべきか?
俺はコンビニで死んだ22歳の男であって兄の知っている佐藤翔では無い。
それを伝えたところで信じてもらえるわけがない。
それにしても兄は佐藤翔とどうなりたいのだろうかと言う疑問が残った。
弟の首筋を噛み、そして盗聴器を仕掛けると言うのは歪んだ愛なのでは無いだろうか。
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