もう誰も愛さない

ルー

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内見

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次の日、午前中のうちに用事を済ませて宿屋で昼食を食べ終えたアメリアとルイは不動産屋に向けて歩いていた。

「アメリア、お前がいいと思ったのなら金に糸目はつけるな。義姉上がくれた白金貨があるだろう。」

ルイに言われてアメリアはうなづいた。

「うん。昨日資料で見せてもらった家、結構よかったと思うんだよね。」

昨日来た不動産屋に入るとカウンターにいた男性が立ちあがる。

「内見のお客様ですね。」

男性は資料をもってこちら側にやってきた。

「ご案内いたします。」

不動産屋を出て大通りを北に進んでいくとその家はあった。青色の屋根の外装はとてもおしゃれできれいな家だ。

「ここです。」

男性は鍵を開けると中に入っていく。2人はその後に続いた。

「ご自由に見てください。ご不明な点がございましたらお気軽にお申し付けください。」

そういって男性は一歩下がった。

「わ、結構広いんだね。」

中は広々とした空間とカウンターがあり、その奥に扉がある。扉を開けて中に入ったアメリアは目を見開いた。

「うわー。設備がちゃんと揃ってる。」

業務用の冷蔵庫やオーブンなど必要なものはほとんど揃っているような状況だった。

「ここは厨房か。それで先ほどの部屋がお店か。カウンターで会計をして・・・。店の壁際に商品を並べるのか。」

ルイは考え込む。

「2階もある!」

厨房の奥にはまた扉があり扉を開くと奥には階段があった。階段を登っていくと上は居住スペースだった。2階に部屋は3部屋あった。

「こっちが居住スペースか。この部屋は物置にできそうだな。」

アメリアは鼻歌を歌いながら見て回る。2階の奥にはトイレとお風呂、シャワー、洗面台があった。

「うわ、最高じゃん!」

一通り見て回ったアメリアは1階のお店用のスペースに戻ってくると待っていたルイに言った。

「私、ここがいいな。あ、でももしかしたら他にも物件があるかもしれないね。」

アメリアは男性に声をかけた。

「すみません、ここの他に条件にある物件ってありましたか?」

「いえ、残念ながらありませんでした。」

男性は首を振った。

「そうですか、それじゃあここにします。ええっといくらですか?」

アメリアが尋ねると男性は紙をアメリアに渡した。

「えー、今現在この家は我が店が所有権を有しております。この家を借りる場合金貨5枚、権利書ごと買う場合は金貨7枚となります。」

「権利書ごと買います。」

「かしこまりました。こちらが書類になります。」

男性に渡された書類に必要事項をかき込んでいく。

「ありがとうございます。」

男性は書類を確認するとうなづき、ファイルにしまった。

「代金に関しましてはお店の方に戻ってからでお願いします。後程家の鍵はお渡しいたします。」







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