知らないとは言わせません

ルー

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番外編 エリーナの結婚式

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婚約破棄から半年後、王国のはずれの街の中にある小さな教会でエリーナの結婚式が開かれた。両親は盛大にお祝いしようと言ったがそれをエリーナが断った。結婚相手であるシオンは平民で、貴族が行うような大々的な結婚式になれていない。また一定以上の作法が必要で、エリーナはシオンに対しありのままでいてもらいたいと2人で相談し身内だけでの結婚式に決めた。

「エリーナ、綺麗よ。」

花嫁の控室で待っていると不意に母、シェリーナが言った。純白の花嫁衣装に身を包んだエリーナは首を傾げた。少し前にも同じことを言われていた。

「どうしたの、突然。」

「いいえ、もう結婚するのねと思って。あっという間だったわ。あなたが産まれてから。本当に好きな人とあなたが結婚することができてよかった。どうか幸せにね。」

シェリーナは懐かし気に目を細めて微笑んだ。本当に嬉しそうに微笑んでいた。

「うん。」

エリーナはやってきた父、エミリオのエスコートで花嫁の控室から出て会場まで歩いて行った。

エリーナは結婚したら侯爵家の籍から外れる。今とは違い平民として好きな人と生きていくことをエリーナは選んだ。エリーナ自身は籍を離れるも、侯爵家からの後ろ立てはあるため商売で困ることはないだろう。エリーナは商会を今まで通り運営することになる。エリーナは母から送られたネックレスに触れた。どうか幸せに、と言われ手渡された。

エリーナは会場につくまでの間、婚約破棄後の半年を思い出していた。シオンからはアランと婚約中にすでに想いを伝えられていた。エリーナもシオンに対して自らの想いを打ち明け、互いに一緒になることを望んでいた。そんなときに起こった婚約破棄だった。すぐにエリーナはシオンを連れて侯爵邸を訪れ、結婚したいと言った。すぐに認められて、結婚の日取りなどとんとん拍子に決まっていった。そして今日を迎えた。

思い出しているうちに会場についた。

「エリーナ。」

名前を呼ばれエリーナは横に立つエミリオを見た。

「お前が幸せになれればなんだってよかったんだ。なにかあったら侯爵家を頼れ。」

「ありがとう、お父様。」

そして扉が開かれ、両側の席に座っている学院の友人たち、シオンのご家族に友人たち・・・。

彼らの姿を目に焼き付けながら、エリーナは歩いた。そしてシオンの横に並んだ。

「きれいだよ、エリーナ。」

「ありがとう、シオン。あなたもかっこいいよ。」

互いに笑いあった2人は前を向いた。








2人の門出を祝うようにその日は1日快晴だった。
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