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相性最高だったらしい。3.

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 自分はなぜ、言い訳などしたくなるのか。初めて寝た女にこれほど心が揺さぶられるのか。聖人君子でもないのに「悪く思われたくない」と願ってしまうのか。

 船の上、オープンデッキの上で青姦に及んだばかり。互いに素っ裸なのだが、アレクシオスの煩悶をよそに、アナは大真面目に言っている。嫌味でもないらしい。

 「……」
 「とても、いい旅でした。そして、素敵な思い出。本当に……え?」
 「勝手に思い出にするな」
 
 気が付けば口走っていた。
 望まぬ言葉に脳が冷え、そして沸騰する。
 まだこうして、俺の腕の中にいるくせに、「思い出」だと?

 じろりと腕の中の女を見下ろすと、怯えたように揺れる黒い瞳に苛立ちを隠そうともしない自分が映りこんでいる。
 さっきまではあんなに蕩けていたのに、と、男は理不尽に憤慨しているが、女のほうこそ豹変した男の冷たい口調は理不尽そのもので、さぞかし恐ろしく感じていることだろう。

 怖がらせるのは本意じゃない。
 けれど、情事の余韻に浸る間もなく、終わりを見据えた女の物言いは腹立たしい。
 ショックを受けた、と言ってもよいほどだが、さすがのアレクシオスも、現時点でそこまで自分の感情を読み解いていない。

 「あの程度で終わると思うか?甘いな、アナ。男ってものをよく教えといてやる」
 「あ、あの、いえ、もう十分……っ、アレク、さん、ちょっと!?」
 
 彼は暴力的な衝動に駆られて、女を担ぎ上げた。
 じたばたとしているがアナは小柄だししょせん子供のような反応だ。痛くもかゆくもない。

 デッキに面した主寝室へ入ると、巨大なクイーンサイズベッドにどさりと下ろし、間髪を入れず抗えぬように細い手首を押さえつける。

 閉じようとする細い脚の間に自分の体を滑り込ませると、先ほどまで翻弄させられた柔肉の中に強引に指を捻じ込んだ。

 「アレ、ク、!ンむ、ふう、んん……っ」

 聞きたくない言葉を紡ぐ唇を塞ぎ、咥内を舐めまわしてとりあえず抵抗を封じ込めると、男はニヤリと笑った。
 凄絶な、色を纏った笑み。

 「まだ終わっていない、アナ。思い出づくりは後にするんだな」
 
 そんな、という弱々しい抗議の声は男の口中に飲み込まれた。
 先ほどまでの愛撫の名残か、まだ赤みのひかない胸の先を容赦なくつまみ、捻る。
 アレクシオスに唇を塞がれたまま呻き、喘ぐ貴奈に自らの唾液を飲ませてから、アレクシオスは鷲掴みにした柔らかな胸にむしゃぶりついた。
 ざらついた舌全体を使って舐めて、捏ねて、口いっぱいに頬張って強く吸い上げると、貴奈は小さくアレクシオスの名を呼ぶ。
 微かな、震える声で、なんども、なんども。
 その儚げな声にさらに煽られて、アレクシオスは痕が付くのも構わずに貴奈の細い首を、鎖骨のくぼみを、揺れる胸を吸っては舐め、甘噛みをする。
 蜜洞へ潜り込ませた指を二本から三本へと増やし、あからさまな水音が聞こえ始めるまでかき回してから、滾る楔を深々と突き立てる。 

 自分でも説明のできぬ激情に突き動かされるまま、アレクシオスは貪るようにアナを抱いた。
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