17 / 38
17
イルヴァは侍女二人と王宮から寄越された家紋の無い馬車で王城へ向かっている。
転生者の可能性があるとして、身分の高さから秘密裏に行うつもりのようだ。
真偽はともかくとして。
流れる景色を見るでもなく物思いに耽っていた。
昨晩のアンドレ様の取り乱した姿…あの時は「浮気がバレて慌てているのだろう」と決めつけ、必死に言い募る姿に自業自得だと仄暗い思いを抱いた。
でも…愛してもいない女、それも妊娠の有無を心配する必要の無い白い結婚の女に、あそこまで泣きそうな程顔を歪めて言い募り縋り付くだろうか?
アンドレ様の部屋で話すまでは、私が提案する離縁は歓迎されると思っていた。
候補だった女と再婚を喜び、すぐにでもあの女を屋敷に呼ぶくらいはするんじゃないかとさえ。
だけど、全く違った。
「どこからが浮気になるんだ?」だなんて。
馬鹿な質問をされた気がして頭に血が昇りキャンキャンと吠えてしまった自覚はある。
可能性は薄いが、私と同じ“夫婦だけが夜伽をする”にあれだけ共感したアンドレ様だから、最悪愛人を持つ事を許してくれの提案か懇願はされるのでは?とも思った。
ムカムカする話しではあるが、その時はアンドレ様とは白い結婚になるだろう。
アンドレ様とお互いを知るには、まだ時間が足りなかった。
公爵家が所持する領地や領民の事。
皇太子付きのアンドレ様はたまに外交に一緒に行かれる時の話など会話はしたが…
――――アンドレ様の事、私の事、二人の事は話さなかった。
好きな物も嫌いな物も、普通の恋人同士ですら話してそうな内容は何も知らない。
自分の事を話すのは私は恥ずかしかった。
アンドレ様が「私はこれが好きだけど君は?」があれば話すのに。
もしかしたら、アンドレ様も?
私達はお互いの事、全てこれからだったものね…。
もう一度、アンドレ様としっかりと会話した方がいいのかもしれない。
…でも、今から私王家に囲われに行くのよね…?
逃げようにも王宮が用意した馬車だ。
そして、馬車の中には侍女の他にも護衛の騎士が1人同乗している。
――――詰んだわ。
陽の光が頭上から降り注ぐこの時、アンドレが昨夜話した様に冷静になった。
前世の格言を思い出す。
昨日までの自分は“思い立ったが吉日”と思って動いた。
正直イルヴァは、昨日までの自分を正気に返らせ「石橋を叩いて渡れ」と言い聞かせたい。
“覆水盆に返らず”となる前に、アンドレ様と話したい。
私が転生者である事も含めて全部話したい。
アンドレ様の浮気の話も、この寂しかった数ヶ月のアンドレ様の事も全部話して貰いたい。
全てが分かってそれでもダメなら離縁して、王家に囲われてもいい。
でも、分かりあえて違ったら、アンドレ様の傍に居たい。
何を差し出せば室長をうまく丸め込めるかと悩むイルヴァを乗せた馬車が止まる。
――――とうとう王城に到着したのだ。
転生者の可能性があるとして、身分の高さから秘密裏に行うつもりのようだ。
真偽はともかくとして。
流れる景色を見るでもなく物思いに耽っていた。
昨晩のアンドレ様の取り乱した姿…あの時は「浮気がバレて慌てているのだろう」と決めつけ、必死に言い募る姿に自業自得だと仄暗い思いを抱いた。
でも…愛してもいない女、それも妊娠の有無を心配する必要の無い白い結婚の女に、あそこまで泣きそうな程顔を歪めて言い募り縋り付くだろうか?
アンドレ様の部屋で話すまでは、私が提案する離縁は歓迎されると思っていた。
候補だった女と再婚を喜び、すぐにでもあの女を屋敷に呼ぶくらいはするんじゃないかとさえ。
だけど、全く違った。
「どこからが浮気になるんだ?」だなんて。
馬鹿な質問をされた気がして頭に血が昇りキャンキャンと吠えてしまった自覚はある。
可能性は薄いが、私と同じ“夫婦だけが夜伽をする”にあれだけ共感したアンドレ様だから、最悪愛人を持つ事を許してくれの提案か懇願はされるのでは?とも思った。
ムカムカする話しではあるが、その時はアンドレ様とは白い結婚になるだろう。
アンドレ様とお互いを知るには、まだ時間が足りなかった。
公爵家が所持する領地や領民の事。
皇太子付きのアンドレ様はたまに外交に一緒に行かれる時の話など会話はしたが…
――――アンドレ様の事、私の事、二人の事は話さなかった。
好きな物も嫌いな物も、普通の恋人同士ですら話してそうな内容は何も知らない。
自分の事を話すのは私は恥ずかしかった。
アンドレ様が「私はこれが好きだけど君は?」があれば話すのに。
もしかしたら、アンドレ様も?
私達はお互いの事、全てこれからだったものね…。
もう一度、アンドレ様としっかりと会話した方がいいのかもしれない。
…でも、今から私王家に囲われに行くのよね…?
逃げようにも王宮が用意した馬車だ。
そして、馬車の中には侍女の他にも護衛の騎士が1人同乗している。
――――詰んだわ。
陽の光が頭上から降り注ぐこの時、アンドレが昨夜話した様に冷静になった。
前世の格言を思い出す。
昨日までの自分は“思い立ったが吉日”と思って動いた。
正直イルヴァは、昨日までの自分を正気に返らせ「石橋を叩いて渡れ」と言い聞かせたい。
“覆水盆に返らず”となる前に、アンドレ様と話したい。
私が転生者である事も含めて全部話したい。
アンドレ様の浮気の話も、この寂しかった数ヶ月のアンドレ様の事も全部話して貰いたい。
全てが分かってそれでもダメなら離縁して、王家に囲われてもいい。
でも、分かりあえて違ったら、アンドレ様の傍に居たい。
何を差し出せば室長をうまく丸め込めるかと悩むイルヴァを乗せた馬車が止まる。
――――とうとう王城に到着したのだ。
あなたにおすすめの小説
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。
三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。
だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。
レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。
イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。
「子供の親権も放棄しろ!」と言われてイリスは戸惑うことばかりで、どうすればいいのか分からなくて混乱した。
異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない
木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。
生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。
ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。
その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。
【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました
よどら文鳥
恋愛
ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。
ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。
ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。
更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。
再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。
ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。
後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。
ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。
王女殿下のモラトリアム
あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」
突然、怒鳴られたの。
見知らぬ男子生徒から。
それが余りにも突然で反応できなかったの。
この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの?
わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。
先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。
お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって!
婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪
お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。
え? 違うの?
ライバルって縦ロールなの?
世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。
わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら?
この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。
※設定はゆるんゆるん
※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。
※明るいラブコメが書きたくて。
※シャティエル王国シリーズ3作目!
※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、
『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。
上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。
※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅!
※小説家になろうにも投稿しました。
世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました
由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。
——皇子を産めるかどうか。
けれど私は、産めない。
ならば——
「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」
そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。
毒を盛られても、捨てられず。
皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。
「お前は、ここにいろ」
これは、子を産めない女が
ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。
そして——
その寵愛は、やがて狂気に変わる。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。