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第一章 転生しました。
魔法がある世界。
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青い猫型ロボットのマンガやアニメ所か、マンガもアニメも存在しない世界。
見たことは無いが、どうみたって大金持ち感がある室内。
メイド服っぽい衣装を着た女性の「姫様」呼び…
舌ったらずに質問した内容の答えを聞き、いろいろ考えた。
結果、うん、ココ、地球じゃないね?と。
“ヴァイデンライヒ帝国”
それが今居るこの国の名前らしいけど、地球にそんな名前の国は無かった。
ただ、豪華な室内の調度品を確認する限り、そんなに違和感はないのに。
ロココ調っていうの…?ロココだかバロックだか分からないけど。
昔のお貴族様の豪華なお屋敷または城って感じなんだよね。
なのに、国名だけ知らないのはおかしいよね?
アンナが話す言葉も日本語っぽく聞こえてるし。
アンナを質問攻めにしてしまったせいで、アンナが心配しだした。
「急にどうしたのですか?お加減は大丈夫ですか?」
オロオロと私の額や頬を触って体温を調べてる。
――――優しいアンナ。
アンナに心配かけてはなるまいと、舌っ足らずな子供っぽさを強調して、元気一点張りの態度でその場を濁した。
というか、アンナが諦めた。
それでも心配は継続中だったのだろう。
「今日はいつもよりもうんと早く寝ましょうね?」と、アンナに夜も早い時間に寝かしつけされる事になった。
――――アンナが薄暗くなりましたね。と、部屋の調光をしてくれる。
勿論、アンナの手には調光リモコンなどない。指でちょいちょいと明るさを調整してるし。
照明の方を向いてるけど、指の動きをセンサーで認識して調光する凄いタイプじゃない限り。
胸が全力疾走した時のようにドキドキする。
これは…まさか魔法というものなの?
今の私の目は、目玉が溢れんばかりに見開かれてるだろう。
…いや、でも…がいっぱい頭の中に浮かぶ。
固まった私を抱っこすると、アンナがそろそろお風呂にしましょうね。と言った。
そして連れて行かれた浴室は、私専用という割にはとんでもなく広い。
前世の私の部屋が3つは入るくらい無駄に広い。
濃いピンク色の大理石調バスタブは、猫脚付きでとっても可愛い。
四隅の猫足は金色の華美な装飾が施された金具がはめ込まれていた。
部屋といいお風呂といいテーマは「可愛い」の一言につきる。
猫足バスタブに乙女心をキュンキュンさせてると、まだ抱っこしたままのあたしを下ろす。
アンナが手を翳して「水よ」と一言呟いた。
(さっきの調光では無言で指ちょいだったのに、今は言葉を使ってる。違いはなんだろ?)
色々疑問は湧くが、今度まとめてアンナに聞くことにして、今は目の前の不思議な光景を見つめた。
空中に透明な蛇口でもある様に水が出てきた。浴槽にみるみる水が貯まる。
浴槽いっぱいに満たした所で、アンナが手を沈め一瞬で湯気が上がったのだ。
…すごい!あっという間だった。
あれ?でも今のは、黙ってしてた気がする。
聞こえなかったとかかな…この世界の魔法ってどんなのなんだろう?
私は心の中で「魔法だ魔法!!!凄い!!アニメみたい!」と騒いでいたけど、
アンナが私の世話をしてる中で魔法を使うのは日常的だったのに、今更はしゃいだら怪し過ぎる。
だから、怪しまれない様に見慣れてる風を装った。
お風呂の準備を済ませたアンナはテキパキと私の衣服を脱がした。
そして、丁寧に髪を洗って貰ったり、体を洗って貰ったりして、浴槽に入れられる。
気持ち良さに、思わずほぅ…っと声が出てしまった。
アンナに見守られながらぼーっとしていると、今度はこの幼い姫様らしい自分の事が気になり始めた。
記憶を探ってみても、この姫の記憶は断片的でハッキリせず、この世界に対する知識もほぼない。
幼い子どもの頭の中にはアンナと自分だけの世界しかないみたいだ。
母親の記憶もどんな顔だったかくらいはボンヤリとあるものの、一緒にいた記憶もなかった。
王家の家族関係ってこんな冷たいものなの、めっちゃ寂しいーーー!!と思う。
使用人と自分の二人しか居ない世界だ。
アンナの方が母親みたいだよ。
「さぁ、寝る時間ですよ。」とベッドルームに手を引かれて連れて来られる。
私としては考える事が色々ありすぎて、睡魔なんて全く来ませんが。
天蓋付きの豪華なベッドに寝させられる。
就寝の挨拶をした後、静かに退室していくアンナ。
それを寂しい気持ちで見送る私。
扉が閉まり、ぽつんと1人になった。
「これってさ、異世界転生ってヤツよね」
私の子供特有の幼さの残る高い声が、広い室内に響く。
色々見たり聞いたりした結果、間違いないと確信した。
私の前世では有り得ない魔法という代物をアンナが使ったのを見て、異世界確定だった。
前世の私はどうなったんだろう。
最期の記憶が私の中にもない。
転生なんだし、もう死んじゃったのかな……
私、ひとりっ子だったから、親には申し訳なかったな。
大学2年生だった私は、全然親孝行出来なかった…。
大学を卒業して就職した後、私のお金で家族旅行をプレゼントしようと思ってたのに。
もう会えない両親を思い出し涙が出た。
絶対寝れないよ!無理!と思ってたのに、めそめそと泣いてるうちに、いつの間にか寝てしまったのだった。
とんでもなく早い時間に就寝した私は、何となく目が醒めてしまい…何時だろう?と目を開けて固まった。
見たことは無いが、どうみたって大金持ち感がある室内。
メイド服っぽい衣装を着た女性の「姫様」呼び…
舌ったらずに質問した内容の答えを聞き、いろいろ考えた。
結果、うん、ココ、地球じゃないね?と。
“ヴァイデンライヒ帝国”
それが今居るこの国の名前らしいけど、地球にそんな名前の国は無かった。
ただ、豪華な室内の調度品を確認する限り、そんなに違和感はないのに。
ロココ調っていうの…?ロココだかバロックだか分からないけど。
昔のお貴族様の豪華なお屋敷または城って感じなんだよね。
なのに、国名だけ知らないのはおかしいよね?
アンナが話す言葉も日本語っぽく聞こえてるし。
アンナを質問攻めにしてしまったせいで、アンナが心配しだした。
「急にどうしたのですか?お加減は大丈夫ですか?」
オロオロと私の額や頬を触って体温を調べてる。
――――優しいアンナ。
アンナに心配かけてはなるまいと、舌っ足らずな子供っぽさを強調して、元気一点張りの態度でその場を濁した。
というか、アンナが諦めた。
それでも心配は継続中だったのだろう。
「今日はいつもよりもうんと早く寝ましょうね?」と、アンナに夜も早い時間に寝かしつけされる事になった。
――――アンナが薄暗くなりましたね。と、部屋の調光をしてくれる。
勿論、アンナの手には調光リモコンなどない。指でちょいちょいと明るさを調整してるし。
照明の方を向いてるけど、指の動きをセンサーで認識して調光する凄いタイプじゃない限り。
胸が全力疾走した時のようにドキドキする。
これは…まさか魔法というものなの?
今の私の目は、目玉が溢れんばかりに見開かれてるだろう。
…いや、でも…がいっぱい頭の中に浮かぶ。
固まった私を抱っこすると、アンナがそろそろお風呂にしましょうね。と言った。
そして連れて行かれた浴室は、私専用という割にはとんでもなく広い。
前世の私の部屋が3つは入るくらい無駄に広い。
濃いピンク色の大理石調バスタブは、猫脚付きでとっても可愛い。
四隅の猫足は金色の華美な装飾が施された金具がはめ込まれていた。
部屋といいお風呂といいテーマは「可愛い」の一言につきる。
猫足バスタブに乙女心をキュンキュンさせてると、まだ抱っこしたままのあたしを下ろす。
アンナが手を翳して「水よ」と一言呟いた。
(さっきの調光では無言で指ちょいだったのに、今は言葉を使ってる。違いはなんだろ?)
色々疑問は湧くが、今度まとめてアンナに聞くことにして、今は目の前の不思議な光景を見つめた。
空中に透明な蛇口でもある様に水が出てきた。浴槽にみるみる水が貯まる。
浴槽いっぱいに満たした所で、アンナが手を沈め一瞬で湯気が上がったのだ。
…すごい!あっという間だった。
あれ?でも今のは、黙ってしてた気がする。
聞こえなかったとかかな…この世界の魔法ってどんなのなんだろう?
私は心の中で「魔法だ魔法!!!凄い!!アニメみたい!」と騒いでいたけど、
アンナが私の世話をしてる中で魔法を使うのは日常的だったのに、今更はしゃいだら怪し過ぎる。
だから、怪しまれない様に見慣れてる風を装った。
お風呂の準備を済ませたアンナはテキパキと私の衣服を脱がした。
そして、丁寧に髪を洗って貰ったり、体を洗って貰ったりして、浴槽に入れられる。
気持ち良さに、思わずほぅ…っと声が出てしまった。
アンナに見守られながらぼーっとしていると、今度はこの幼い姫様らしい自分の事が気になり始めた。
記憶を探ってみても、この姫の記憶は断片的でハッキリせず、この世界に対する知識もほぼない。
幼い子どもの頭の中にはアンナと自分だけの世界しかないみたいだ。
母親の記憶もどんな顔だったかくらいはボンヤリとあるものの、一緒にいた記憶もなかった。
王家の家族関係ってこんな冷たいものなの、めっちゃ寂しいーーー!!と思う。
使用人と自分の二人しか居ない世界だ。
アンナの方が母親みたいだよ。
「さぁ、寝る時間ですよ。」とベッドルームに手を引かれて連れて来られる。
私としては考える事が色々ありすぎて、睡魔なんて全く来ませんが。
天蓋付きの豪華なベッドに寝させられる。
就寝の挨拶をした後、静かに退室していくアンナ。
それを寂しい気持ちで見送る私。
扉が閉まり、ぽつんと1人になった。
「これってさ、異世界転生ってヤツよね」
私の子供特有の幼さの残る高い声が、広い室内に響く。
色々見たり聞いたりした結果、間違いないと確信した。
私の前世では有り得ない魔法という代物をアンナが使ったのを見て、異世界確定だった。
前世の私はどうなったんだろう。
最期の記憶が私の中にもない。
転生なんだし、もう死んじゃったのかな……
私、ひとりっ子だったから、親には申し訳なかったな。
大学2年生だった私は、全然親孝行出来なかった…。
大学を卒業して就職した後、私のお金で家族旅行をプレゼントしようと思ってたのに。
もう会えない両親を思い出し涙が出た。
絶対寝れないよ!無理!と思ってたのに、めそめそと泣いてるうちに、いつの間にか寝てしまったのだった。
とんでもなく早い時間に就寝した私は、何となく目が醒めてしまい…何時だろう?と目を開けて固まった。
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