転生したら血塗れ皇帝の妹のモブでした。

iBuKi

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第二章 皇帝はシスターコンプレックス。

女子会再び…?

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見た目が5才児というのはこういう時に楽でいいと思う。
メソメソ泣いていたって「まだ幼いから仕方ない」が適用される。
これが元々の年齡だったら
「皇女としての覚悟が足りない。皇帝が前線で戦っているというのに泣き暮らしてばかり。」
と、確実に眉を顰められるだろう。
それくらい、わあわあ煩かった自覚はある。

5才児と大差ない心の弱さは、戦争が身近にない日本人としてのメンタルが激弱だったという事だろう。
泣いて戦争が終わるのならいつまでも泣くが、当たり前だけど、泣いても戦争は終わらない。
なら、いい加減メソメソするのは止める!


――戦争で消耗しているシュヴァリエを元気付ける妹になるのだ!


小さな胸の前で握り拳を作り、フン!と気合いを入れるクラウディアの姿をアンナは嬉しそうに見た。

「姫様、何かいい事でもありましたか?」
「うん!アンナにも皆にも心配かけちゃいましたね。もう大丈夫ですから。」


今、月の宮にある庭園でお茶をしていた。
テーブルには三人娘とアンナ。
いつものメンバーだ。
テーブルには居ないけど、少しだけ離れた所に護衛が二人ついているので安心だ。

無いとは思うけど、戦争中だし一応皇女だしね。
皇女としての力はないけど、シュヴァリエを揺さぶる人質か何かには利用出来るだろう。
平時であったとしても、各国の間者くらいは潜んでる可能性だって無くはない。
流石に王族専用エリアに潜めるのは中々骨が折れるだろうし…
無いとは思うけど。
何かがあってからじゃ遅いから、先手先手で行かないと護衛にはならない。


――ということで、女子会中に戦争や間者の話はおいておいて。


恋バナ報告でもしてもらいましょうかね!
ウッキウキしながら、4人を見つめる。

「スザンヌ、モニカ、バーバラ、護衛の方達とは打ち解けたかしら?」

私がメソメソしてる間
「姫様大丈夫かしら…」
「姫様が元気になる様に私達で何が出来るか相談しないか」
「ええ…そうですわね。」
「じゃあ、明日非番だから市井で流行ってるカフェでお茶でもしながら考えないか?」
「まぁ素敵!いい考えが浮かびそうですわね!」

…的な流れを期待して問いかける。

「ええ、皆さん熱心に職務を全うされて居ますので、有り難い事ですわ。」

――打ち解けたかどうかの話だけど…真面目なモニカだし仕方ない。

「姫様の護衛として責任と誇りを持ってらっしゃる姿は、護衛として申し分ないですわ。
流石、陛下が選ばれた方達ですわね。」

――査定の話ではないのだけれど。スザンヌにはまだ打ち解けるには早いのかも。

「そ、そう……。素晴らしい護衛を付けて貰って、私は幸せ者ですわね…。」

少し遠い目になりつつ、一番何か有りそうでちょっと毛色の違いそうなバーバラに聞こう。

「バーバラは、どうかしら…?」

「はい。カーティス様は切れ長の目で睨む様な方ではありませんでしたわ…。
とても穏やかな方で非常に残念です。
それでしたら、一度しかお逢い出来ませんでしたが、クライド様の方が素養がありました。」

――何の報告なんですか。ドSの鬼畜系をご所望という事でしょうか。
ごめんなさい、ドSは好物だけど鬼畜は遠慮します。護衛にはドSも鬼畜もいりません…。

「クライド様は一度しか対面出来ませんものね。後は非常時以外は接触は出来ません。」
アンナが冷静に話す。

いや、よく見ると若干イラッとしている。
アンナと長い付き合いの私なら分かる程度だけど、バーバラを見る目が冷たい。

「アンナはどう?打ち解けた?」

アンナは恋バナなどとは遠い位置に居たいタイプだろうからなー…

「そうですね。まだ経験が足りない気が致します。本当は完成された護衛の方がいいのでしょうが、
近衛騎士選出までの基準の高さを考えますと、絶対数が少ないのは否めません。
よって、今いる近衛騎士を鍛えに鍛え、姫様の護衛として完成させなければならないと思っています。
私が直に訓練してもいいのですが、そこは副団長のカルヴィン様に頑張って貰わねばなりませんので。」


「……………」

――アンナがわからない。どこを目指しているの…というか、近衛騎士に訓練付けれる程強いのアンナ…


今の発言の突っ込み所はあるし、色々疑問は沸くが、そこには触れないで置こうと思ったクラウディアだった。


「アンナは熱心ね。」
というだけ精一杯だった。


「じゃあ、他に無ければお兄様が凱旋して来た時のおもてなしを考えましょうか。」


「そういえば、今回の戦地には聖女様が同行したそうですわね。」

――聖女?それは、良くラノベとかに出てくる癒やしの魔法使えるとかそういう方かな?
でも、この世界の癒やしの魔法は、適正さえあれば使えるし…適正する人もそこそこいるから珍しくないしな。
どんな事をする職業の人だろう?

「ええ、枢機卿のご息女“ヴィヴィアーナ・アンブロジーン”様ですわね。
陛下がすげなく断ったにも関わらず、無理矢理同行を願い出たとか。
陛下は「戦地に赴くというのに強行突破するのであれば、身の保証などはしない。それで構わないなら勝手にするがいい。」
と仰ったらしいですわ。」

――えぇぇ…皇帝が断ってるのに強行突破とか出来るの?出来たとして、凄い根性だわ…。

「戴冠式で陛下の王笏を運ぶ役を任されてから、付き纏っているとお聞きしましたわ…。
枢機卿のご息女だなんて、厄介な方に気に入られましたわね、陛下も。」

――えっ、あの可憐で清楚な雰囲気のあの子?見た目詐欺!シュヴァリエ気に入られちゃったんだ…ふぅん。

フィナンシェの様なスィーツもくもくと食べる。
バターの香りが鼻を抜け、何とも香ばしい香り。
前世でも大好物だったけど、こっちの世界でも存在して嬉しい。

喉を潤す為にカモミールティーをこくこくと飲んだ。
きっと食べる姿も飲む姿もアンナの厳しいチェックが入っているだろうから、出来るだけ優雅に。


「どんなに陛下に縋り付いても、枢機卿のご息女は皇妃には成れないでしょうね。
国と教会が繋がる事を良しとしませんから。
貴族は勿論、民も反対する婚姻など結べませんわ。」


アンナが厳しく言い渡す。
それに三人娘が同意した。

「「「そうですわね。」」」

――そうなんだ。あの可憐な子はどんなにシュヴァリエに執着しようとも婚姻は出来ないのね…。
周囲の反対を押し切るにはシュヴァリエは皇帝だし無理だろう。


「姫様、陛下のおもてなしの件について、お話しましょうか。」

アンナの提案で話はおもてなしへと移った。

――シュヴァリエってまだ十歳だけど、この世界は王家や貴族でこの年から続々と婚約者が決まるんだよなあ。
私に意地悪しないお姉さまが欲しいな…。
シュヴァリエの妹だから虐めないとは思いたいけど、シュヴァリエの私への態度から嫉妬はされそうだ。

もやもやっとする心を無視して、おもてなしの案に集中した。
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