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プロローグ
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ぽかぽかの陽気に、時折り走る風が緩く束ねた髪をさらって頬をくすぐる。
それまで読んでいた綺麗な挿絵の入った心踊る冒険譚が綴られている絵本を閉じると、ぐぐーっと背伸びをした。
するとすかさず私の膝の上に上半身を預けていた子供が「あーっ!」と声をあげて続きは?続きは?とせがんでくるのを頭を撫でて宥める。
「続きはまた後で。ほら!」
「えーっ…ん?あっ!ヨハンが僕達のこと呼んでる!」
「ふふ、おやつが出来たんだよ、きっと」
「おやつ!三時!」
少し離れた所に現れた長身の男が片手を大きく振りながら名前を呼んでいる。
子供は器用に自身の小さな手で3の形を作ると跳ねるように立ち上がり、早く早くと目を輝かせて急かすようにぐいぐいと私の腕を引く。
その様子に自然と笑みがこぼれる。「ああ、なんて穏やかで温かい時間なんだろう」と。
よっこいせ、と小さく呟いて背を預けていた巨木の根本から立ち上がると引かれる腕のままに駆け出す。
「レイチ!早く早く!」
そんなに急がなくっても、望んでいた幸福は逃げていかない。
分かっているのに、まるで幼い子供のように軽やかに駆ける自分の両足がおかしくって笑みがこぼれた。
それまで読んでいた綺麗な挿絵の入った心踊る冒険譚が綴られている絵本を閉じると、ぐぐーっと背伸びをした。
するとすかさず私の膝の上に上半身を預けていた子供が「あーっ!」と声をあげて続きは?続きは?とせがんでくるのを頭を撫でて宥める。
「続きはまた後で。ほら!」
「えーっ…ん?あっ!ヨハンが僕達のこと呼んでる!」
「ふふ、おやつが出来たんだよ、きっと」
「おやつ!三時!」
少し離れた所に現れた長身の男が片手を大きく振りながら名前を呼んでいる。
子供は器用に自身の小さな手で3の形を作ると跳ねるように立ち上がり、早く早くと目を輝かせて急かすようにぐいぐいと私の腕を引く。
その様子に自然と笑みがこぼれる。「ああ、なんて穏やかで温かい時間なんだろう」と。
よっこいせ、と小さく呟いて背を預けていた巨木の根本から立ち上がると引かれる腕のままに駆け出す。
「レイチ!早く早く!」
そんなに急がなくっても、望んでいた幸福は逃げていかない。
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