私、独立します〜妹には婚約者を取られ、馬鹿王子に追放され、殺されかけた宮廷調教師に国中の魔物と最強騎士がついてきた〜

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11、望まぬ再会(王子ざまぁ)

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「「「グルルルル」」」

「……ふぁ……どうしたんだろ、外が騒がしいな」

ハルの止まらない要求に付き合っている内、いつの間にか寝てしまった私達、座ったまま寝てしまったので体がダルい。

「貴様ら!!、こんな所に居たのか!!、早く捕まえろ!!!」

「グルァッッッ!!!」

「だ、ダメです殿下!!、動きが速く、連携も上手いです!!」

「くぅ、さすが元Sランクモンスター達だ、これは十三騎士でも連れてこなければダメか………」

窓を覗くと誰かが狼達を捕まえようと追いかけ回していた。

「ーーちょ、な、何をしてるんですか!!!!」

狼達はこともなげに凌いでるが、問題はそういう事ではない、私は急いで外に出る。

「んん?、おお、殺されてなかったか、何という幸運だ!!!」

「ーーーッッッッアンゼル・ガルシア殿下??」

そこにいたのは、私を解雇したアンゼル王子だった。

「いやぁ~狼どもの足跡を追ってきただけなのだが、これは思わぬ収穫だ、まぁ盗賊達の死体があって、貴様の死体がなかったから生きているとは分かっていたが、まさかこんな近くにいるとは………」

「………収穫?」

「ああ、お前にとっても幸運だ、喜べ、もう一度ガルシア国の宮廷調教師にしてやる」

「………はい?」

「全く、頭が悪い女だな、俺がお前をまた宮廷調教師に就かせてやると、そう言ってるのだ、泣いて喜ぶが良い」

「…………」

……推測だが、狼達がいなくなったことで国の機能が一部麻痺してしまっているのだろう、そして急いで追跡してきたのだろう、しかし、分かったのはそこまで、なぜ殺そうとした自分に会えたことが『収穫』というのか、疑問に思って聞き返すと、何と私をまた宮廷調教師にしてやると上から目線で宣ってくる、自分の聞き間違いかと思ったが、何度聞いてもそういう意味にしか聞こえない………勝手にクビにして、国外追放して、殺しかけて………やっぱり必要になったから謝罪も無しに上から目線で戻ってこい?、あまりの身勝手さに言葉を失い、無言で押し黙り続けることしかできない私。

「……………」

「お前にとっても悪い話ではないだろう?、そんな汚い小屋に住むより、宮廷に住めるようになった方がーーー」

「ーー断ります」

「ーーーーな、何だと?」

私の無言をどう受け取ったのかわからないが、まだ戯言を吐く王子に我慢出来ず、言葉の途中に拒否を挟み込む。

「聞こえませんでしたか?、断ります」

「な、何だと貴様、俺の折角の厚意を無駄にするというのか?」

「フッッッ、笑わせないでくださいよ、大方、手懐けてた魔物や動物がいなくなって困ってるから私に戻ってきてほしいだけでしょ?、それを厚意?、面の皮が厚いにも程がありますよ」

「な、何だと貴様ァ、優しくしていたらつけ上がりおって……………お前ら、こいつを斬れ!!!」

今度は王子が私の言葉を何度も聞いてくる、私は懇切丁寧に拒否をする、それが気に入らなかった王子は護衛の騎士達に私を斬るように命令する。


「で、殿下?、良いのですか?」

「お前らも聞いてただろ?、こいつは言う事を聞く気はないらしい、殺さぬ程度に多少痛めつけてやれば意見も変わるだろう」

「な、なるほど………」

王子の命令で剣を構える騎士達。

(……か、カッとなってつい断ってしまったけど、どうしよう……)

今更ながら危険を感じ始める私。

「………お前ら、それ以上一歩でもリフィルに近づいたら斬る」

「あ……ハル」

後ろから殺気を纏って出てきたのはハル、彼に怯える王子達。

「ーーーなッッッッ??!!!、なぜ貴様がここにいる??!、黒機士ハル・リエマ??!!」

「…………」

喚き散らす王子、無言で剣を構えるハル。

「ま、まさか貴様、任務を放棄したのではないだろうな?」

「………だったら何だよ」

「馬鹿か貴様??!!、確か今回の任務はかなり重要だったはず、重要任務を放棄した貴様は十三騎士を除名されることは確実だぞ??!!、分かっているのか??!!」

「それがどうした、好きに除名してくれ」

「こ、後悔するなよ………何をボケっと見てるお前ら!!、あの裏切り者を早く切り捨てろ!!!」

「で、ですが、殿下、我々では彼には………」

「ウルサイ!!、いいから行け!!、いかないのなら家族もろとも処刑だぞ!!!」

「ーーークソッッッッ!!」

顔を真っ赤にして命令するアンゼル王子、渋る護衛の騎士達だが、王子の脅しに退路はたたれ、ハルに突っ込んでいく。

「ーーーシッッッッ」

「ーーー痛ッッッ??!!」

目にも止まらぬ速さとはまさにこの事か、彼らとハルがすれ違った瞬間、騎士達は膝から崩れ落ち、地に倒れる。

「………お前達も大事な人がいるみたいだからな、手加減はしておいた」

ハルの呟きを聞いて、注意深く騎士達の様子を見たところ、まだ息はある、どうやら気絶させただけのようだ。

「なッッッッーーーこの役立たずどもがッッッ!!!」

「………さてと」

「ーーーヒッッッッ??!!」

倒れた騎士達に喚き散らすアンゼル王子、その耳障りな声がハルの視線を引き寄せる、彼に視線を向けられた瞬間にアンゼル王子は怯える。

「ち、近づくなッッッッ!!、わ、分かっているのかッッッッ!!!、お、俺は王子なんだぞッッッッ??!!!、お、俺に何かしたらどうなるかッッッッ」

「お前がどこの誰だろうが、リフィルを傷つける奴は叩っ斬るだけだ」

アンゼル王子なりの命乞いをするも、むしろそのせいでハルの怒りが増しているように見えるので、逆効果にしか見えない。

「死ねーーーー」

「ま、待ってハル!!!」

「ーーー?」

「ーーーかひゅッッッッ??!!」

ハルがアンゼル王子に剣を振り下ろす直前、待ったをかける私、顔の真前で停止する剣に恐怖するアンゼル王子、奇妙な声を漏らす。

「リフィル、何で止める?」

「……王子様を殺したら流石にまずいよ、それに言いたかったこともあるし」

「………分かった」

私はハルを説得する、流石に王子を殺したら面倒な事にしかならないと、少し冷静になった彼は不服な顔をしながらも剣を収める。

「は、ハハハ………そうだよなァ!!、俺を殺す事など出来ないよなァ!!、このーーー」

「殿下、一つだけ忠告しておきます」

「あ?」

「………今回の狼がいなくなるのは序章に過ぎません、次々にガルシア国から動物達や魔物達がいなくなったり、言う事を聞かなくなるでしょう、それを招いたのは紛れもなく貴方ということをお忘れなきよう」

「ーーーッッッッ、な、何だと貴様!!、誰に向かってそんな偉そうなッッッッーーー」

「スッキリした、ハル、鞘なら良いよ………もちろん殺さないでね」

「了解」

「ーーコトブッッッッッ??!!!」

言いたい事を言えてスッキリした、騒音を撒き散らすアンゼル王子を黙らせるため、ハルに殺さない程度の鞘の打撃なら良いと許可を出し、待ってましたと言わんばかりにハルは彼の頭を剣を収めた鞘で殴打、奇妙な断末魔を上げたアンゼル王子はそのまま気絶する。
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