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良子と優子
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「繰り返しますが、旦那様の事業が良い結果を出し続けたらの話です」
徳増が釘をさす。
「ふふ、それはご心配なく。私が夫の何に惹かれ結婚したと思ってるの?」
この時点だと一蹴したものの、徳増の採用が決まって数年経つと金に困らない生活するのがどれほど大変か、一家は味わう。
あれよあれよという間に財政が傾き、家長は妻に内密で資金繰りを頼む。徳増はいっかいの家庭教師が用立てられるとは思えない額を貸し付けたのだった。
妙齢になるまで徳増が側付きでいられた背景がここにあり、優子の為に両親への態度を変えないだけで、家庭内での立場の実情は徳増が上。そう、優子の家はいつしか徳増に乗っ取られてしまっていたのだ。
とある書物で悪魔というものは天使の顔をして現れると記され、律子は注意深く徳増の顔を見れば良かったのかもしれない。
何故、徳増が名家へ優子を紹介できるのだろうか。婚約条件を勝手に並べ、業績のみ念を押すのか。優子の成長過程を危惧しないのはどうしてか。正式なお披露目をしていない優子をどこで見つけたのか。
目先にとらわれず疑問と違和感をしっかり点と線で結べは悪魔の浸入を防げたやもしれないのに。
天使の顔した悪魔は無欲な構えで近付き、欲する対象を手中に収めるとも書いてある。悪魔が欲するものは様々で、手に入れるまで決して諦めないそうだ。
なにより人間の顔をした悪魔もいる。
徳増が釘をさす。
「ふふ、それはご心配なく。私が夫の何に惹かれ結婚したと思ってるの?」
この時点だと一蹴したものの、徳増の採用が決まって数年経つと金に困らない生活するのがどれほど大変か、一家は味わう。
あれよあれよという間に財政が傾き、家長は妻に内密で資金繰りを頼む。徳増はいっかいの家庭教師が用立てられるとは思えない額を貸し付けたのだった。
妙齢になるまで徳増が側付きでいられた背景がここにあり、優子の為に両親への態度を変えないだけで、家庭内での立場の実情は徳増が上。そう、優子の家はいつしか徳増に乗っ取られてしまっていたのだ。
とある書物で悪魔というものは天使の顔をして現れると記され、律子は注意深く徳増の顔を見れば良かったのかもしれない。
何故、徳増が名家へ優子を紹介できるのだろうか。婚約条件を勝手に並べ、業績のみ念を押すのか。優子の成長過程を危惧しないのはどうしてか。正式なお披露目をしていない優子をどこで見つけたのか。
目先にとらわれず疑問と違和感をしっかり点と線で結べは悪魔の浸入を防げたやもしれないのに。
天使の顔した悪魔は無欲な構えで近付き、欲する対象を手中に収めるとも書いてある。悪魔が欲するものは様々で、手に入れるまで決して諦めないそうだ。
なにより人間の顔をした悪魔もいる。
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