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告白

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 ーー沖縄から帰ってきて数週間後。わたしは鬼月学園のグラウンドに来ていた。
 今日は延期となっていた葉月高校との練習試合が行われている。

「やぁ、桜子ちゃん」

 四鬼さんがわたしを見付け、手を上げた。生徒会長である彼は両校の交友に一役買い、観戦にきた生徒達の案内をする。相変わらず白い制服が似合っていて笑顔も眩しい。

「こんにちは、四鬼さん」

 わたしは頭を下げる。その際、片膝を引き腰を曲げるのも忘れない。鬼月学園では礼儀作法が厳しく、上級生にはこうして挨拶するのだ。

「まぁまぁ、そんな畏まらなくてもいいよ。桜子ちゃんのペースで学園生活に慣れていこう」

「でも……」

「それに僕等は畏まる間柄じゃないでしょ? 四鬼桜子さん」

 にっこり微笑む四鬼さん。そう、わたしは彼の妹として鬼月学園に通う運びとなる。

「四鬼さんではなく千秋と呼んでくれてもいいんだよ? もしくはお兄様でもいいな。こんなに可愛い妹ができるなんて僕は嬉しいよ」

「いや、それはーー」

 ずいっと顔を近づけられ、仰け反った。
 と、何かにぶつかる。

「兄妹の仲が良いのは何よりですが、距離感は必要ですよ?」

 白衣を着た柊先生が背後で呆れた声を出す。

「あまり妹を構いすぎると私みたくなってしまいますからね。今朝は電話ではなくメールで体調を聞いたのですが、ほら」

 ポケットから携帯電話を取り出し、メールのやりとりを披露。先生が一方的にメッセージを送っており、美雪さんは基本既読スルーしていた。
 何10回に1回程度、単語もしくはスタンプを返していても、会話が成り立っているようには見えない。

「美雪さんはまだ退院出来なそうですか?」

 鬼になる薬を飲み倒れた美雪さんは命に別状は無かったものの、入院している。

「夏休み前には退院するでしょう。美雪はあなたに謝りたがってました」

「謝るなんて、そんな。わたしが美雪さんを追い込んでしまって」

「だとしても当主にそそのかされ、あなたを沖縄に行かせた美雪が悪い。いや、手慰みであんな薬を作った私が一番悪いのですがね。申し訳ありませんでした」

 柊先生はこの話題になると真剣な謝罪を繰り返す。

「あ、あの、もうこの話は何度も謝って貰いましたから! 顔を上げてください!」

「無論、薬を飲んで苦しむ美雪を放って置けなかった僕も悪い事をしてしまったと反省しているよ」

 続けて四鬼さんまで謝り始める。
 当主の策略にはまり、沖縄へ駆け付けられなかったのを2人はとても悔いてくれた。

「わたしが今ここに居られるのは2人が色々配慮してくれたからです! もしも美雪さんをそのままにして沖縄に来られたら、わたしは自分を許せなかったと思います! 結果論と言われてしまうだろうけど、これで良かった!」

「その最善策をとって僕は君を失ったけどね」

 わたしの言葉が何も失っていないと響いたらしく、四鬼さんが眉を顰める。

「四鬼さん……」

「美雪の介抱をすると自分で決めたんだ。後悔はしてないし、桜子ちゃんの選択を尊重するよ」

「ごめんなさい」

 ついにわたしも詫びて、場の空気に気まずさが漂う。
 学園の王子様、その王子様に突如現れた妹、イケメンカウンセラーが集まり、何やら語り合っているとなれば周囲の好奇心を煽る。
 しかも今日は葉月学園の生徒もいて注目度も増す。

「桜子!」

 更にここにきて彼ーー涼くんが割り込んできた。
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