117 / 497
3章 お爺ちゃんと古代の導き
099.お爺ちゃんと孫①
しおりを挟む
「い、今更ですよ、孫との関係修復だなんてっ!」
こんな風に土壇場になって駄々を捏ねているのはいい年をしたおじいさん。
それも今まで人の上に立って偉そうにしてきたおじいさんだというのだから世も末だ。
今回なぜこんな試みをしているのかと思えば単純な話である。
前回妻達と軽いスキンシップを兼ねたパーティを組めたのだから、『クラン共同』の名を掲げれば孫とのスキンシップも容易いのではないかと考え、実行した。
協力者である『漆黒の帝』さんも空中戦闘に非常に高い興味を示してくれたのもあって乗り気で孫であるケンタ君を送り出してくれた。
当然親御さんである金狼氏もご一緒に。
だと言うのに、今までどんな言葉をかけられてきたと言うのか、本人を前にしたら「足が竦む」と言い出すんだから参っちゃうよ。
やる気あるの、企画立案者?
ちなみにここまでジキンさんが落ち込んだ理由はケンタ君の放った言葉である「げ、じいじも居るの? 足引っ張んないでくれよな!」が原因だった。
どれだけスネに傷持ってるんでしょうかね、この人。
ま、それはさておいてメンバーを発表しましょうか。
まずは『桜町町内会AWO部』から私、ジキンさん、マリン。
『精錬の騎士』からオクト君。『漆黒の帝』から金狼氏、ケンタ君が揃い踏み。まるで家族面談の様ですね。
ちなみにケンタ君はマリンに気があるのか、さっきからチラ見し続けてます。
それを父親として見過ごせないと今回オクト君は出張ってきたようです。こういう子煩悩な所は娘を持つ父親のサガでしょうかね。
ニコニコしながらもすごい眼力を振りまいてますよ。
あの人本当に生産者なんでしょうか?
まあ、大切に育ててる娘に(特に懐かれてるうちは)粉かけようものなら斬り殺す覚悟さえ持てるのが父親という存在ですからね。
気持ちは分かります。
さあ、と柏手を一つ。注目を自分に集めて司会進行。
本来の進行役が完全に機能停止してるのでここはクランリーダーが場を持ちましょうかね。
「本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。空のフィールドが現れた今、同時に空へ滞空するエネミーの存在も確認された。そうだよね、マリン?」
「うん。ダッシュでもアクセル使っても助走をつけてのジャンプじゃ届かない」
皆一様に鎮痛な面持ちをしている。その上魔法だけはしっかり回避してくるんだから厄介極まりない。
「でも、とあるダンジョンの隠しイベントをクリアして手に入る特殊スキル『空歩』を使ったら?」
マリンはニンマリと笑う。それも獰猛に。普段の愛らしい笑みも彼女の魅力だが、野趣溢れる笑みも素敵だなぁと今更ながら思う。
「届いた。なんなら足蹴にできちゃうよ」
「「「おぉ!!」」」
オーディエンスは最高潮に盛り上がっている。
その端っこで一人だけ地面に棒で丸を描いてる犬獣人が一匹。
どんだけ相手してもらえなくて拗ねてるんですか。
ここで成功させて「じいじ、やるじゃん」の言葉をもらうんでしょ? まったく。
やってまいりましたセカンドルナのダンジョン。
よもやこんな手垢のつきまくった場所にそんな仕掛けがあるとは思えずに一同は狼狽えます。
「え、ここか? ここなら初期に嫌ってほど探索したがなんも出なかったぞ?」
ケンタ君のありがたいお言葉をいただきます。
第三世代ではきっとそうでしょうね。体験してないからこその想像力が弱い。
「ふむ、何かあるとは踏んでいるが、あらゆる持てる技術を駆使したが反応は得られなかったよ」
「同じくだ」
今度はオクト君と金狼氏からのお言葉。体力がないことを痛いほどに痛感してるからこその技術の総当たり戦。なお、この時あまり活動的に体は動かさない模様。
故に我々第一世代の体験と発想力が試される。
マリンは内訳は知ってるので今回黙ってもらって、私とジキンさんで他3人を引っ張る形です。
なんだかんだこの人そう言う分野得意ですからね。
戦闘は出来る人に任せればいいんですよ。
私なんて全部丸投げしてますから。
こんな風に土壇場になって駄々を捏ねているのはいい年をしたおじいさん。
それも今まで人の上に立って偉そうにしてきたおじいさんだというのだから世も末だ。
今回なぜこんな試みをしているのかと思えば単純な話である。
前回妻達と軽いスキンシップを兼ねたパーティを組めたのだから、『クラン共同』の名を掲げれば孫とのスキンシップも容易いのではないかと考え、実行した。
協力者である『漆黒の帝』さんも空中戦闘に非常に高い興味を示してくれたのもあって乗り気で孫であるケンタ君を送り出してくれた。
当然親御さんである金狼氏もご一緒に。
だと言うのに、今までどんな言葉をかけられてきたと言うのか、本人を前にしたら「足が竦む」と言い出すんだから参っちゃうよ。
やる気あるの、企画立案者?
ちなみにここまでジキンさんが落ち込んだ理由はケンタ君の放った言葉である「げ、じいじも居るの? 足引っ張んないでくれよな!」が原因だった。
どれだけスネに傷持ってるんでしょうかね、この人。
ま、それはさておいてメンバーを発表しましょうか。
まずは『桜町町内会AWO部』から私、ジキンさん、マリン。
『精錬の騎士』からオクト君。『漆黒の帝』から金狼氏、ケンタ君が揃い踏み。まるで家族面談の様ですね。
ちなみにケンタ君はマリンに気があるのか、さっきからチラ見し続けてます。
それを父親として見過ごせないと今回オクト君は出張ってきたようです。こういう子煩悩な所は娘を持つ父親のサガでしょうかね。
ニコニコしながらもすごい眼力を振りまいてますよ。
あの人本当に生産者なんでしょうか?
まあ、大切に育ててる娘に(特に懐かれてるうちは)粉かけようものなら斬り殺す覚悟さえ持てるのが父親という存在ですからね。
気持ちは分かります。
さあ、と柏手を一つ。注目を自分に集めて司会進行。
本来の進行役が完全に機能停止してるのでここはクランリーダーが場を持ちましょうかね。
「本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。空のフィールドが現れた今、同時に空へ滞空するエネミーの存在も確認された。そうだよね、マリン?」
「うん。ダッシュでもアクセル使っても助走をつけてのジャンプじゃ届かない」
皆一様に鎮痛な面持ちをしている。その上魔法だけはしっかり回避してくるんだから厄介極まりない。
「でも、とあるダンジョンの隠しイベントをクリアして手に入る特殊スキル『空歩』を使ったら?」
マリンはニンマリと笑う。それも獰猛に。普段の愛らしい笑みも彼女の魅力だが、野趣溢れる笑みも素敵だなぁと今更ながら思う。
「届いた。なんなら足蹴にできちゃうよ」
「「「おぉ!!」」」
オーディエンスは最高潮に盛り上がっている。
その端っこで一人だけ地面に棒で丸を描いてる犬獣人が一匹。
どんだけ相手してもらえなくて拗ねてるんですか。
ここで成功させて「じいじ、やるじゃん」の言葉をもらうんでしょ? まったく。
やってまいりましたセカンドルナのダンジョン。
よもやこんな手垢のつきまくった場所にそんな仕掛けがあるとは思えずに一同は狼狽えます。
「え、ここか? ここなら初期に嫌ってほど探索したがなんも出なかったぞ?」
ケンタ君のありがたいお言葉をいただきます。
第三世代ではきっとそうでしょうね。体験してないからこその想像力が弱い。
「ふむ、何かあるとは踏んでいるが、あらゆる持てる技術を駆使したが反応は得られなかったよ」
「同じくだ」
今度はオクト君と金狼氏からのお言葉。体力がないことを痛いほどに痛感してるからこその技術の総当たり戦。なお、この時あまり活動的に体は動かさない模様。
故に我々第一世代の体験と発想力が試される。
マリンは内訳は知ってるので今回黙ってもらって、私とジキンさんで他3人を引っ張る形です。
なんだかんだこの人そう言う分野得意ですからね。
戦闘は出来る人に任せればいいんですよ。
私なんて全部丸投げしてますから。
2
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる