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3章 お爺ちゃんと古代の導き
115.お爺ちゃんと赤の禁忌②
赤の禁忌は天空人の住む街。
うん、まぁ規模としては街だが、規模が街というだけで基本的には吹きさらしの遺跡群とでも言うべきか。
案内係として任命されたNPCは、置いてきてしまったので今はいない。後であの船の仕組みも聞いてみたいところだ。
きっと飛行部にいい土産話ができるはずだ。
それはそれとして風景を楽しむ。
いったいいつの時代に建てられた物なのかとスクリーンショットを傾ける。すると──
[ーーをーんーーあーーす。]
まるで意味がわからない。これでは……
「まるで海底の宮殿と似ている仕掛けだ」
『何かあったんですか?』
「うーむ、なんて説明すれば良いのか。私はイベントを踏んだ経緯で古代言語を解析できるのだが、この街の地面と人物、背景から文字が浮かぶのを確認した。しかしそのまま翻訳しても意味がない文字足らずの言葉で終わる。だから文字が完成するには何かイベントを起こす必要があると思ったんだ」
『俺、アキカゼさんが何言ってるか全然わかんねー』
『そうだね、僕もさっぱりだ』
「こればかりは場数がものを言うものだ。ただ、その先はだいたいシークレットクエストが潜んでることがあるんだよ。君たちも探すといい」
『『シークレット!?』』
それを聞いて二羽は喜びその場で羽ばたく。
シークレットクエストとは無縁の生活を送っていたらしく、興奮気味だ。でも私の踏むシークレットのほとんどは古代系。
二人のやる気が散ってしまわなければ良いのだけど。
「おや、あれはなんだろうね?」
シークレットの条件を満たすべく、街を歩くと私たちの前には何かが封印されてるっぽい装いの遺跡があった。
入り口の前には門番が侵入を防ぐ様に立っており、入るのには許可が必要そうだ。
私は前回ログイン時に頂いた腕輪を見せながら話しかける。
「少しすまない、私はこういう者だがこの先には何があるんだい?」
「ここから先はお通し出来ません!」
「せめて何があるかだけでも教えてくれないかな?」
「ここから先はお通し出来ません!」
何を言っても定型文で返された。
これはこちらの準備不足だったかな?
過去からの統計上、この手のNPCは何かしらの役割を持っていることが多い。ファストリアの門番さんもそうだったし、これは探りがいがあるぞ。
『ここは通常NPCって感じだね。それかまだ踏んでないイベントがあるのかも?』
「だろうね。もっと他の場所も見てみようか」
『だな。俺も上空から空撮して見るわ』
「頼むね」
『無理だけはしない様に』
バン・ゴハン氏が華麗に飛び立ち、私達は散歩を続ける。
「しかし凄いね。彼は」
『ゴハン君ですか?』
「うん。彼の探究心は私と張り合えるレベルだ」
『あはは、まあ僕たちは強すぎるソレをマップ作成に当ててる人種なので。逆に人間の身でやれてるアキカゼさん程が凄いですよ』
「そんなものかな?」
『そうですよ。雲を突き抜けてきた時はびっくりしました』
それは申し訳ないね。
まさか雲の向こう側にプレイヤーが居るなんて知らなかったんだもの。
「まあ、それはお互い様さ。私だって鳥が雲の上を飛んでるのなんて初めて見たからさ」
『一応周囲の警戒はしてたつもりなんですけどね。まあ、概ねはウチのリーダーが仰ってた通り、僕らはアキカゼさんの発見した天空ルートに非常に深い興味があります。その為の先遣隊が僕と彼と言うわけです』
なるほど。どうやら私は彼らのマップ制作にかける熱意を過小評価していた様だ。
しばらくして噂の彼が帰ってくる。
「やぁ、何か進捗はあったかい?」
『どうだろうなぁ、一応データは送っときますが、これといって珍しい形のモノはわかんなかったな。ムッコロさんから見てどう思います?』
『うーん、そうだね。鯨の背中って感じだ』
『やっぱそうなりますよね』
先に情報をもらったムッコロ氏がピィーーと甲高い音を発して唸る。唸る? これは何かを警戒してる時の鳴き声にも聞こえるけど……何に反応して鳴き声を発してるのかわからないな。
ただ、プレイヤー同士だと会話が成り立つのが唯一の救いだね。
『アキカゼさんはどう思います?』
少し遅れて私の方にデータが送られてきた。
彼らが意味のないと思えるものを、解読するのが私の役目。
私はその画像を見やり、すぐに浮かび上がった文字を解析する。
そこに浮かび上がった文字を見て納得する。
ああ、そう言う事かと。
どうやらこのルート。
海底の様にただ待ってれば良いと言うものではない様だ。
「取り敢えず案内人の元に帰ろう」
『そうですね』
『そういや入り口の方で俺らを探してたぜ』
『ゴハン君、そういうのは先に言って』
『悪い、うっかり』
「大丈夫さ、取り敢えず戻って合流しよう」
『何か読み解けたんですか? あの画像から』
私はムッコロ氏からの質問に頷き、解読した言葉を紡いだ。
「【鍵を求めよ】と解読できた。君達はこれをどう捉える?」
『またエラく抽象的ですね』
「古代言語なんて読み解けてもクイズ形式の様なもんさ」
『読み解けるだけでもすごいですって。僕らはうんうん唸ってる事しかできませんでしたから』
『そうだぜー』
ムッコロ氏とバン・ゴハン氏が私の両肩に乗り。私は案内人と合流する。
「あ、探しましたよ! 勝手に動かないでください」
案内してくれるのはどうも一人らしい。
やや困り顔で、私を叱ってくる。
「ごめん、ごめん。私は知らないものがあると、それを解明したくてウズウズしてしまうんだ。だから空の上にもいくし、空を駆ける術も見つけた」
「地上人でそれをできてしまうのはとてもすごい事だと思いますけど。もっと案内役の私のことも考えてくださいよ。船から降りたら対象がいなくなってたんですよ?」
「まあ、こうして合流出来たんだ。万事OKとしようじゃないか」
「むぅ、何か言いくるめられた気もしますが。まあ良いです。では案内しますね」
「あ、待って」
気を持ち直して案内を果たそうとする彼女を呼び止める。
振り返ってきた笑顔は、笑っているものの、どこか怒気を含んだ雰囲気を醸し出す。
「ま だ な に か?」
「ああ、いや。君たちの扱ってる船があったろう?」
「ええ」
少し諦めた様な表情で、天空人の少女は話に合わせてくれた。
「私は何故船が浮いたり沈んだりできるのか、それが知りたい」
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