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月が赤いから。今日だけは...、全部なかったことにしよう。(未完・5)
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何も考えたくない。
将人の膝枕って、気持ちいいんだった。
今は顔だって見れなくて、将人の太ももと腰骨にほっぺた押し付けて。
子供を宥めすかすように背中をさする将人の手が、やっぱりとても優しくて、
私の居場所はここなんだ、って今すごく思ってしまってる。
このまま、時間を止めてください...。
このまま、世界から二人だけを隔離してください...。
誰に祈っていいのかも分からないけれど。
背中をさする将人の手に、ギュッと力が入った。ちょっとだけ痛い。
なんか、将人の気持ちがね、背中からすっごく伝わるよ。
ごめんね、本当はいつだって、将人は、私のそばに居てくれたんだよね。
本当に失くしちゃってから、気付いた私は本当にバカなんです。
『里菜ー、このまま、どっか遠くに逃げちゃおうか。』
うわあぁぁぁぁぁ.... ううっ...
うわあぁぁぁぁぁ.... うわあぁぁぁぁぁ....
急に涙が止まらなくて、将人の太ももに顔をめいっぱい押し付けて。
だけど、もう気持ちがワケ分からなくなってきて、噛んだ。
将人の太もも、めいっぱい、噛んでやった!
『うわっ、いってぇー。里菜、いてぇーよ...。』
なのに、将人は髪の毛くしゅくしゅって、頭撫でるだけで。
余計に悲しいじゃん。悲しくなるじゃん。頭おかしくなるじゃん。
『里菜、まじでいてぇー。』
っはぁ~。
モヤモヤする。モヤモヤする。モヤモヤ、しかしない。
『あーー!まじで痛かったんだけど。すげぇ痛いけど。 ハァ... 変わんねぇな。
まぁ、俺もさっき噛んだから、おあいこか?』
っ!!そうだ。思い出した。噛まれた。めっちゃ噛まれた。
あぁぁぁ、絶対に痕になってる。
『うわっいってぇーー!』
むかついたから、噛んだところ、思いっきりグーパンしてやった!
「ぁははっ!」
『笑ってんじゃねーぞ。まじで痛いから。はぁ~~ぁ。』
起き上がった私に、すかさず、ほっぺたムニムニって。
その手の感触、気持ちいよ。溺れてしまいたい。
『あぁ~あぁ~~。あぁ~、だよ。ほんっと。』
おでこに、将人のおでこがくっついて。...あったかい。
将人が大事なこととか言いたいとき、いっつもこうだった。
『里菜と、すげぇいい景色見て、なんか、全部忘れられちゃうくらい、いい景色見て。
手ぇなんか繋がないで、頑張れよって、そう言って。
ちゃんと里菜を、家の近くまで送ってやろうって、思ってたんだけどなぁ。』
ほっぺたムニムニしていた手が、耳や首筋を触り始めて。
時々、将人の指に力が入って、痛いくらいに、なんか気持ちが、将人の気持ちが流れてくる。
ごめん、何を言っていいのか、全然分からないよ。
ごめん、今、私は、将人が好きな気持ちでいっぱいで、それをどうしていいのか分からないよ。
『...とりあえず、リカバリー、するわ。』
ギューーーッて、強く抱きしめて。首筋に、チロチロ舌で悪戯して。
私はこのまま、もう一度落ちてしまってもいいって、そんな気持ちなのに。
将人の気持ちは、きっと、もっと悲しい感じだね。
そっと私の身体から離れた将人は脱ぎ散らかしたパンツとズボンを履いて、
なんとなく乱れたシャツをさっと直して。
それから、子供の衣服でも整えるみたいに、ブラジャーのつけてくれて、ジャージ履かせて着せて。
ちょっと寂しい感じだけど、なんとなく、嬉しかった。そう、こういう人だったんだ。
『ちょっと戻るけど、コンビニ行こうかな。里菜、後ろにいていいよ。』
真ん中からそっと運転席に戻る姿が、なんか、昔のまんまだった。
懐かしくて、なんか、そんな姿が、愛おしく思えてしまった。
ごめん、将人を痛めつけているのは私だね。
半分寝転がっているからかな。さっきあの辺に見えていた月が、今は見えない。
ブロロ~ン とちょっと高級車風の始動音。その後はすぐに静かになって。
あはは、昔の車とは違いますねって、ちょっと笑えてきた。
簡単そうにユーターンをして。後ろから眺める将人の横顔と運転姿は、やっぱりカッコイイなぁ。
密着ドキュメンタリーでも撮っているかのように、私の目は釘付けで離せない。
将人が運転免許を取ってすぐ、私も追いかけるように免許を取って。
将人が車を買って、あの頃は無敵だったような気がしてたのかも。何処へでも行ける気がしてた。
たぶん、私の思考回路は破綻してた。
大好きだったから、この、将人の隣が大好きだったから、だから、一緒に居れなくなっちゃう。
将人はちゃんと、いつだって、ここに私の場所を作ってくれていたのにね。
そんなことを、失くしてから気付いたって遅いんだってことを、失くしてから気付いたから。
ふと視界に、月のようなものが映った気がしたけれど、真っ黒な雲に、隠れちゃったかもしれない。
目で必死に探してみるけれど、うん、いない、気がする。
ピーッピーッピーッ ロクサスが音を出して気付く。
『里菜、着いたけどコンビニ行く?トイレとか平気?』
「んー、大丈夫。ここにいる。」
『寒いしな。じゃ、適当に買ってくるからー。』
静かなエンジン音が響く車内。
後部座席がちょっと狭いなんて贅沢なこと思っていたけれど、
一人で座っていると、ずいぶんゆったりとしたチェアだと思い始めた。
将人の膝枕って、気持ちいいんだった。
今は顔だって見れなくて、将人の太ももと腰骨にほっぺた押し付けて。
子供を宥めすかすように背中をさする将人の手が、やっぱりとても優しくて、
私の居場所はここなんだ、って今すごく思ってしまってる。
このまま、時間を止めてください...。
このまま、世界から二人だけを隔離してください...。
誰に祈っていいのかも分からないけれど。
背中をさする将人の手に、ギュッと力が入った。ちょっとだけ痛い。
なんか、将人の気持ちがね、背中からすっごく伝わるよ。
ごめんね、本当はいつだって、将人は、私のそばに居てくれたんだよね。
本当に失くしちゃってから、気付いた私は本当にバカなんです。
『里菜ー、このまま、どっか遠くに逃げちゃおうか。』
うわあぁぁぁぁぁ.... ううっ...
うわあぁぁぁぁぁ.... うわあぁぁぁぁぁ....
急に涙が止まらなくて、将人の太ももに顔をめいっぱい押し付けて。
だけど、もう気持ちがワケ分からなくなってきて、噛んだ。
将人の太もも、めいっぱい、噛んでやった!
『うわっ、いってぇー。里菜、いてぇーよ...。』
なのに、将人は髪の毛くしゅくしゅって、頭撫でるだけで。
余計に悲しいじゃん。悲しくなるじゃん。頭おかしくなるじゃん。
『里菜、まじでいてぇー。』
っはぁ~。
モヤモヤする。モヤモヤする。モヤモヤ、しかしない。
『あーー!まじで痛かったんだけど。すげぇ痛いけど。 ハァ... 変わんねぇな。
まぁ、俺もさっき噛んだから、おあいこか?』
っ!!そうだ。思い出した。噛まれた。めっちゃ噛まれた。
あぁぁぁ、絶対に痕になってる。
『うわっいってぇーー!』
むかついたから、噛んだところ、思いっきりグーパンしてやった!
「ぁははっ!」
『笑ってんじゃねーぞ。まじで痛いから。はぁ~~ぁ。』
起き上がった私に、すかさず、ほっぺたムニムニって。
その手の感触、気持ちいよ。溺れてしまいたい。
『あぁ~あぁ~~。あぁ~、だよ。ほんっと。』
おでこに、将人のおでこがくっついて。...あったかい。
将人が大事なこととか言いたいとき、いっつもこうだった。
『里菜と、すげぇいい景色見て、なんか、全部忘れられちゃうくらい、いい景色見て。
手ぇなんか繋がないで、頑張れよって、そう言って。
ちゃんと里菜を、家の近くまで送ってやろうって、思ってたんだけどなぁ。』
ほっぺたムニムニしていた手が、耳や首筋を触り始めて。
時々、将人の指に力が入って、痛いくらいに、なんか気持ちが、将人の気持ちが流れてくる。
ごめん、何を言っていいのか、全然分からないよ。
ごめん、今、私は、将人が好きな気持ちでいっぱいで、それをどうしていいのか分からないよ。
『...とりあえず、リカバリー、するわ。』
ギューーーッて、強く抱きしめて。首筋に、チロチロ舌で悪戯して。
私はこのまま、もう一度落ちてしまってもいいって、そんな気持ちなのに。
将人の気持ちは、きっと、もっと悲しい感じだね。
そっと私の身体から離れた将人は脱ぎ散らかしたパンツとズボンを履いて、
なんとなく乱れたシャツをさっと直して。
それから、子供の衣服でも整えるみたいに、ブラジャーのつけてくれて、ジャージ履かせて着せて。
ちょっと寂しい感じだけど、なんとなく、嬉しかった。そう、こういう人だったんだ。
『ちょっと戻るけど、コンビニ行こうかな。里菜、後ろにいていいよ。』
真ん中からそっと運転席に戻る姿が、なんか、昔のまんまだった。
懐かしくて、なんか、そんな姿が、愛おしく思えてしまった。
ごめん、将人を痛めつけているのは私だね。
半分寝転がっているからかな。さっきあの辺に見えていた月が、今は見えない。
ブロロ~ン とちょっと高級車風の始動音。その後はすぐに静かになって。
あはは、昔の車とは違いますねって、ちょっと笑えてきた。
簡単そうにユーターンをして。後ろから眺める将人の横顔と運転姿は、やっぱりカッコイイなぁ。
密着ドキュメンタリーでも撮っているかのように、私の目は釘付けで離せない。
将人が運転免許を取ってすぐ、私も追いかけるように免許を取って。
将人が車を買って、あの頃は無敵だったような気がしてたのかも。何処へでも行ける気がしてた。
たぶん、私の思考回路は破綻してた。
大好きだったから、この、将人の隣が大好きだったから、だから、一緒に居れなくなっちゃう。
将人はちゃんと、いつだって、ここに私の場所を作ってくれていたのにね。
そんなことを、失くしてから気付いたって遅いんだってことを、失くしてから気付いたから。
ふと視界に、月のようなものが映った気がしたけれど、真っ黒な雲に、隠れちゃったかもしれない。
目で必死に探してみるけれど、うん、いない、気がする。
ピーッピーッピーッ ロクサスが音を出して気付く。
『里菜、着いたけどコンビニ行く?トイレとか平気?』
「んー、大丈夫。ここにいる。」
『寒いしな。じゃ、適当に買ってくるからー。』
静かなエンジン音が響く車内。
後部座席がちょっと狭いなんて贅沢なこと思っていたけれど、
一人で座っていると、ずいぶんゆったりとしたチェアだと思い始めた。
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