【完結】浮気した婚約者を捨てた公爵令嬢は想いを寄せられていた男達に溺愛される

52.半信半疑

あの日、お茶会の経緯を聞いたライラはアストロ家に戻ると直ぐさまセルジオとサフィーナへ相談を持ちかけた。

"あの兄が、結婚式でアリスティアに一目惚れしたようだと！"

少し大げさにも聞こえるかもしれないが、それ程までに兄であるジェイデンが女性に興味を示した試しがないのだ。
お茶会の経緯や、ジェイデンの話しを聞くに、一目惚れまではいかないにしろ確実にアリスティアへ興味を示したことは伺うことができた。

しかし、ジェイデンが相当女性に苦労させられていることを知るセルジオとサフィーナは、ライラの話に半信半疑だった。

確かに、アリスティアはとても綺麗で実際に一目惚れする男も多く、婚約破棄した後は求婚者が後をたたないらしい。
しかし、相手があのジェイデンであっても当てはまるのか？と、思うと素直に頷けなかった。

それに、アリスティアは二人にとって大切な従姉妹である。
憶測で、アリスティアを傷つけることだけは避けたかった。

しかし、ライラは間違いない！と言い張った。
そして、「お兄様は、自分が一目惚れしたことに気づいていないのよ！」と、主張した。

ライラは、是非ともアリスティアに自分から兄を紹介させて欲しい！と、セルジオとサフィーナに頼み込むものの、二人からは色良い返事はもらえなかった。

結局、最後までセルジオとサフィーナは半信半疑のまま、ジェイデン主催のお茶が開催された。




___そして、今。

サフィーナは目の前の光景に、只々驚いていた。

従姉妹である、アリスティアがサフィーナの姿を見つけて声をかけにやってきたと同時に、サフィーナの視界には、まるでたった今＂恋に落ちた＂かの様な顔で従姉妹を見つめるジェイデン殿下の姿が映っていたのだ。

その姿に、サフィーナはようやくライラの言葉が真実だと実感した。

あれは、間違いなく一目惚れだと。

本当に、本人は気づいていないのだろうか？

あんなにも、一人の令嬢を愛おしそうに見つめている自分に…

他の令嬢達と会話を交わしながら、チラッと横目でアリスティアの位置を確認し、確実に距離を縮めている事に…


アリスティアと話しながら、視線の先に見え隠れするジェイデン殿下の動きに、サフィーナは思わず吹き出してしまった。

そして、急に笑いだした従姉妹に驚いているアリスティアを連れて挨拶に周っているライラの元へと連れて行く。


「ライラ！貴女の言う通りだったわ！
是非、アリスティアを紹介してあげてちょうだい！」