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54.第三王子と公爵令嬢
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美しい花々が咲き誇る中での、賑やかな茶会も終盤に差し掛かった頃、アリスティアは一人会場から少し離れた場所にある、噴水が見えるガゼボへ来ていた。
ここは、ライラのお気に入りの場所で以前サフィーナとセルジオにも紹介していたらしく「とても美しいところだから、是非見てきてほしい!」と進められ、二人が挨拶回りに戻っていったタイミングで見に来たのだ。
美しい赤い薔薇のアーチに沿って導かれるように歩いて行くと、真っ白い石が敷き詰められた銀色に輝くガゼボが見えてくる。
それだけで、どこか神秘的な様子なのだが、その更に奥には複雑な彫刻が施された大きな噴水が、キラキラと水しぶきを上げながらそびえ立っていた。
ライラとサフィーナが、絶賛しているとおりその光景はあまりにも美しく、アリスティアは近づくこと無くその風景に暫し魅入っていた。
「座らないか?」
突然発せられた声に、アリスティアはビクッと肩を震わせた。
そして、声を掛けられた方へ視線を送る。
そこには、2脚のグラスを持ったジェイデンが立っていた。
そっと、手を差し出され流れるようなエスコートで、ガゼボまで案内される。
(何から何まで、所作が綺麗な人ね)
アリスティアは、最早尊敬の眼差しでジェイデンを見ていた。
そして、案内されたベンチに二人揃って腰を掛けると、ジェイデンが持っていたグラスをアリスティアに渡した。
「ここへは、ライラに進められたのかい?」
「はい、ライラ様のお気に入りの場所だと伺っております。
本当に、魅入ってしまう程美しい場所ですわね!」
そう答えるアリスティアの目は、今も目の前に広がる美しい景観を捉えたまま離さなかった。
その柔らかな横顔は、まるでガゼボに降り立った女神の様に美しかった。
「あぁ、とても美しいと思うよ」
ジェイデンはアリスティアから目を離せなかった。
暫くして、じぃーっと見つめる視線を感じ慌てて振り向くと、ジェイデンは愛おしそうにアリスティアに微笑んだ。
直ぐ側で、自分に向けられたその笑顔の破壊力は凄まじかった。
アリスティアは、自身の顔が赤くなるのを感じ慌てて顔を逸らしてしまった。
次の瞬間!
「どうした?」
アリスティアの零れ落ちた髪をすくようにして、ジェイデンが覗き込んできたのだ。
その姿は、まるで恋人同士が口付けを交わしているかのような距離だった。
その仕草に、アリスティアの頬は更に熱を帯びていく。
「アリスティア…このまま、私だけのものにならないか」
アリスティアの目を見つめたまま、掬い取られた一房の髪に口付けをするジェイデン。
アリスティアは驚きのあまり、目をまん丸にして固まっていた。
「初めて君を見た時から、この目はずっと君を探そうとするんだ。
あの日、あの場所で再び君に会えた時、私は初めて運命というものを信じたいと思った」
「まぁ、君は覚えてなかったようだけどね」
そう言って、フッと笑うジェイデンの姿にアリスティアは見覚えを感じた。
しかし、ハッキリとは思い出すことができなかった。
そして彼は、クイッとグラスの中身を飲み干すと、すっと手を差し出し「そろそろ戻ろうか」と言って、アリスティアをエスコートしながら何事もなかったかの様に会場に戻っていく。
そして、サフィーナを見つけたジェイデンは彼女の元までアリスティアを案内した。
そして、離れざまにアリスティアの耳元に囁いた。
「次は、書店で会おう!」と。
その瞬間、アリスティアの中でジェイデンとの出会いが走馬灯の様に思い出された。
ここは、ライラのお気に入りの場所で以前サフィーナとセルジオにも紹介していたらしく「とても美しいところだから、是非見てきてほしい!」と進められ、二人が挨拶回りに戻っていったタイミングで見に来たのだ。
美しい赤い薔薇のアーチに沿って導かれるように歩いて行くと、真っ白い石が敷き詰められた銀色に輝くガゼボが見えてくる。
それだけで、どこか神秘的な様子なのだが、その更に奥には複雑な彫刻が施された大きな噴水が、キラキラと水しぶきを上げながらそびえ立っていた。
ライラとサフィーナが、絶賛しているとおりその光景はあまりにも美しく、アリスティアは近づくこと無くその風景に暫し魅入っていた。
「座らないか?」
突然発せられた声に、アリスティアはビクッと肩を震わせた。
そして、声を掛けられた方へ視線を送る。
そこには、2脚のグラスを持ったジェイデンが立っていた。
そっと、手を差し出され流れるようなエスコートで、ガゼボまで案内される。
(何から何まで、所作が綺麗な人ね)
アリスティアは、最早尊敬の眼差しでジェイデンを見ていた。
そして、案内されたベンチに二人揃って腰を掛けると、ジェイデンが持っていたグラスをアリスティアに渡した。
「ここへは、ライラに進められたのかい?」
「はい、ライラ様のお気に入りの場所だと伺っております。
本当に、魅入ってしまう程美しい場所ですわね!」
そう答えるアリスティアの目は、今も目の前に広がる美しい景観を捉えたまま離さなかった。
その柔らかな横顔は、まるでガゼボに降り立った女神の様に美しかった。
「あぁ、とても美しいと思うよ」
ジェイデンはアリスティアから目を離せなかった。
暫くして、じぃーっと見つめる視線を感じ慌てて振り向くと、ジェイデンは愛おしそうにアリスティアに微笑んだ。
直ぐ側で、自分に向けられたその笑顔の破壊力は凄まじかった。
アリスティアは、自身の顔が赤くなるのを感じ慌てて顔を逸らしてしまった。
次の瞬間!
「どうした?」
アリスティアの零れ落ちた髪をすくようにして、ジェイデンが覗き込んできたのだ。
その姿は、まるで恋人同士が口付けを交わしているかのような距離だった。
その仕草に、アリスティアの頬は更に熱を帯びていく。
「アリスティア…このまま、私だけのものにならないか」
アリスティアの目を見つめたまま、掬い取られた一房の髪に口付けをするジェイデン。
アリスティアは驚きのあまり、目をまん丸にして固まっていた。
「初めて君を見た時から、この目はずっと君を探そうとするんだ。
あの日、あの場所で再び君に会えた時、私は初めて運命というものを信じたいと思った」
「まぁ、君は覚えてなかったようだけどね」
そう言って、フッと笑うジェイデンの姿にアリスティアは見覚えを感じた。
しかし、ハッキリとは思い出すことができなかった。
そして彼は、クイッとグラスの中身を飲み干すと、すっと手を差し出し「そろそろ戻ろうか」と言って、アリスティアをエスコートしながら何事もなかったかの様に会場に戻っていく。
そして、サフィーナを見つけたジェイデンは彼女の元までアリスティアを案内した。
そして、離れざまにアリスティアの耳元に囁いた。
「次は、書店で会おう!」と。
その瞬間、アリスティアの中でジェイデンとの出会いが走馬灯の様に思い出された。
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