双子の転生先は双子でした

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Chapter 1

30*夜の庭園は双子の好奇心を掻き立てる

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夜会も後半に差し掛かったところで、双子はエスコート役と離れ、2人で宮殿外の庭に出ていた。

宵涼みである。

あれから、王族が入場し挨拶を終えた後、エスコート役の知り合いと会うたびに、挨拶と紹介、そして双子の変化に驚く…と、いったローテーションを永遠かと思うほど繰り返したのち、ようやく美味しそうなお料理にありつけた。
しかし、アシュリーの相手は近衛隊長の兄であり、ナタリーにいたっては王宮の財務を担うトップのセザールなのだ。
兄やセザールが、放っておいても下のものは放ってはおかない。
食べようと、手を伸ばせば声をかけられ…
ようやく去ったかと思えば、次が来る…

そして、いい加減双子は悟ったのだ。

"この相手といたら夜会が終わるまで何も食べられないのでは!?"と…

これを、母が聞いたら驚くだろう。

"貴女達、そんなに食い意地を張るなんて…"と。

そして、姉が聞いたら呆れるだろう。

"夜会で食事しようと思う方が間違っているわ"と。


それでも、双子は諦めきれなかったのだ。
もはや、直談判である。
兄にも、セザールにも、『1人にはさせたくない!』と強く言われた為、結局お互いがお互いを探して、いつも通り双子ふたりでいる事で納得してもらった。
兄のダニエルだけは、最後まで渋っていたのだが、そこはアシュリーが一言で諦めさせた。

「お兄様、いざとなれば!」


だから、声が聞こえたら助けに来てくれるでしょっ?と、いう意味だ。
もちろん、双子大好きな兄にはしっかりと伝わった様で…

「わかった。何かあればすぐに呼べよ?」

と、少し心配そうに離れていった。

そして、邪魔者がいなくなった双子は食事を再開。
好きなものも気になるものを、取ってきては食べ♪取ってきては食べ♪を続けた結果、消化と言うなの散歩に出たのである。

会場から一歩外に出れば、暗闇にも関わらずライトアップがされた庭は幻想的で大変美しかった。
会場内が無駄に白統一されている分、庭の色とりどりの花が光に照らされている様子は、気持ちを明るくさせてくれる。
夜なのに、明るくて楽しい。
単に双子の気持ちの現れなのかもしれないが、そんな不思議な感覚だった。

ちょっとだけ、ふわふわとした気分に浸りながら、2人は足の赴くまま庭の奥へ奥へと進んでいった。

会場から漏れ出す音楽が、心地よい。

そんな中、アシュリーがふと視線をずらした先に、良く知った人物が目に入った。

それと同時に、やっと会えた喜びと、まだ芽吹く前に儚く散っていく淡い恋心が、アシュリーの中で渦巻いていた。
思わず立ち止まり凝視するアシュリーに、ナタリーが声をあげた。

「うわ~、もうあれガッツリ舌入ってるじゃん!?まぁ、ここ雰囲気あるもんね~」

そうなのである。

確かに、ここの雰囲気は恋人達にはぴったりすぎて可能性がありそうなほどムードがあった。

と、すれば…

やはり今、目の前で舌を絡ませながらキスをしていると言うことは…

なのだろうか?

あの2人は恋人なのか?


アシュリーが、目を逸らせないまま、悶々と考え込んでいると、ナタリーはようやくその人物に気づいたらしく驚きに目を見張っていた。

「え!?あれって…
オズモンド家のライオネル様?」

「・・・・・」


そうなのである。

せっかくなので、目の前の様子をしっかりと実況中継させてもらおう。


現在、双子の位置からみて左横には大きな噴水がある。その周りを小さな青い花が取り囲んでいた。
その花達をライトアップさせる為の照明により、2人の男女と思われる影が双子の足元まで伸びていた。
その影を辿り行き着く先には、お互いに舌を絡ませ合っている男女の姿が見える。
静まり返った庭には、遠くに聞こえる音楽と共に小さなリップ音までもが双子の元へと届けられた。
次第に、激しさを増していくリップ音は荒い呼吸を生み出し、とうとう男の手が女の腰を撫でまわし始めた。そして、いよいよその手が、腰から更に下へ下へと降りてゆき行き着く先には…


「あら、ごきげんよう。ライオネル様?」

「「「「!!!」」」」 

おっと…
ここでまさかの、第三者の乱入が発生した。

流石に、後半ノリノリで実況していたアシュリーでさえ、この展開は想定外である。
双子は咄嗟に、少し後ろにある大きめの幹に隠れてみた。
こういう時の、とっさの行動は双子ならではだろうか。何も言わずとも、息ぴったりに潜むことができるだ。
そして、前世でいう"野次馬根性"である。
ナタリー的には、完全に楽しんでいるのだが…
アシュリーとしては、婚約者候補にあげていたライオネルの修羅場を目撃していることになるのだ。
ナタリーは、少し心配そうにしてアシュリーを振り返った。

(…うん。絶対大丈夫だな)

ナタリーは、大きく頷くと静かに視線を3人に戻した。

だって、振り返ったら目をキラキラさせたアシュリーがいたのだ。
いや、あれは完全にそのものだと言っていい。
あれは、この展開を面白がっている顔だった。

由佳は、とにかく切り替えが早い。
それは、仕事をはじめ私生活や物事、恋愛に関しても…全部だ。

それが、いいか悪いかは人それぞれだと思う。

でも、間違いなくそれがいいタイミングだと思う。


それでは、せっかくなので…
アシュリーによる実況中継を続けてもらいましょうか♪





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