双子の転生先は双子でした

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Chapter 1

34*気になる王弟と無関心な双子

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あまりの勢いで申出てくる双子に、一瞬驚いたものの…

「あぁ、頼む」

そう言って、柔らかく微笑んだ王弟アレキサンダーの表情は、この上なく色っぽかった。

そして、アシュリーである由佳は悔やんだ。

何故今ここに、紙とペンがないのかと!!

今なら、誰にも邪魔されず好みや好きな形を聞き出した上で、デザインに落とし込めるのに…
すでに、由佳アシュリーの頭の中では、いろいろなタイプのデザインが浮かんでいるのだ。

そう、今ならもれなくデザイン画が描き放題なのに…。

悔しくて堪らない。

そう思い、1人「う~ん」と唸り続けるアシュリーをよそに、ナタリーはアレキサンダー相手に色々と情報を聞き出していた。この辺は、流石接客業!と褒めてあげたい。

「伺いたいのですが、式典はいつ頃行われるのでしょうか?」

「あぁ、次の式典は急なものが開催されない限りは、恐らく半年後だろう。だが、もし早めに準備できそうなら…来月、隣国の王太子がいらした際の夜会で着用したいと思っているのだが‥間に合うか?」

「来月ですか…えぇ、大丈夫ですわ!間に合わせます!」

「ん!?それは、ではなく、か?」

「はい、そうです。衣装に関してはアシュリーに任せるのが一番ですから!」

「そ、そうか。では、君は何をするのだ?」

「もし、殿下がお許しいただけるのであれば、御髪を整えさせていただきます」

「ん?それは、メイドの仕事だろう?」

「えぇ、そうですけれど…本日の我々のヘアセットや、母や姉のヘアセットも、全て元は私が考えてメイド達に覚えさせました技術ですわ。でも、本当の事を申し上げますと、殿下の場合はヘアセットではなく、髪型を変えたいのですが…許可していただけますでしょうか?」

「髪型?それは、君が俺の髪を…「はい、切りたいです!」」

「・・・・・」

「あ!バッサリとかではないですよ?でも、今の髪は…切りっぱなし感が否めなくて‥」

「切りっぱなし?」


切りっぱなしとは、どのような意味だろうか?
アレキサンダーは、聞き覚えの無い表現に首を傾げた。
目の前の双子の片割れは、1人ブツブツと「もう少し全体的に軽くして…」だの「思い切って、ツーブロックでもカッコイイかも」などと喋っている。
その後ろでは、もう1人の片割れがこれまたブツブツと唱えながら、木の枝で地面に何かを書いていた。

(・・・・・)

正直に言って、今のこの2人からは貴族令嬢らしさが微塵も感じられない。
寧ろ、自分が"王弟"であることを一瞬忘れてしまいそうになるほど、自分に無関心な双子に興味すらわいてしまった。


王弟である、アレキサンダーの周りには、当然のごとく見目麗しい令嬢が常にはびこっていた。
それを"煩わしい"と思い始めたのは、王位継承に関する派閥が立ち上がったときだろう。
アレキサンダーは、元々王位には全く興味が無い。
幼い頃から、大好きな兄を支えるために勉学に励んできたのだ。その思いは、今も全く変わらない。
しかし、結婚適齢期に差し掛かった際、一部の配下から王弟である自分が王位に相応しいと持ち上げてくる者達が出始めたのだ。
そして、それを狙ったかのように女豹どもが動き始めた。
常に、自分の側につきまとい、時には豊満な胸をこれでもかと言うほどに押しつけてくる。
中には、薬でも使ったのではないかと疑うような、あられも無い姿で迫ってくる女達もいた。
その時点で、すでにアレキサンダーはうんざりしていたのだ。
そして、極めつけは彼の婚約者だった。
彼女は、あろうことかアレキサンダーに薬を盛り関係を強要した上で婚約者の座に納まったのだ。
アレキサンダーも複雑な思いではあったが、確かに彼女の初めてを散らしたのは自分だと認め、仕方なく彼女を婚約者として受け入れた。そして、始めはどうあれ今後は支え合う夫婦として、彼女を愛していこうと心に決めていた。だからこそ、婚約してからというもの彼女と愛し合うことは何度かあった。共に眠り、愛を語り始めた頃には、将来の話しやこの話しなどもするようになった。

しかし、王位継承について彼女にはっきりと告げた日を境に、何故か彼女は急にアレキサンダーへあれこれ言うようになっていった。
そして、ある日…遂に彼女は、アレキサンダーを説得し始めたのだ。

『アレン、貴方なら王位を継げるわ!』

『貴方には、王になれる器があるのよ?諦めてはダメ!』

『私がしっかりと支えますわ!だから、大丈夫よ…愛しているわアレン。
を王妃にしてくださらないの?』

…と。
この瞬間、アレキサンダーはすーっと熱が冷めるような、そんな感覚を覚えた。
そして、その王位を願う声をはっきりと拒絶した瞬間の彼女の表情…

アレキサンダーは、彼女のあの顔が今でも忘れられなかった。

全てに絶望したかのようで、尚且つ憎しみの込められた表情。

そして、兄が正式に王位を引き継いだ翌日。

婚約者であるはずの彼女は、まるで婚約など今までしていなかったかのように、隣国の公爵家へと嫁いでいったのである。

それ以来、アレキサンダーは徹底していた。
女を寄せ付けず、溜まったものは変装し身分を隠したうえで高級娼婦で処理をしていた。
その方が、彼的には楽なのだ。
兄である陛下に子が産まれ、もう王位に煩わされる心配がないと分かっていても、結婚する気にはなれなかった。
いくら勧められても、全く興味が沸かなかった。


だからこそ今、己の目の前でブツブツ言っている双子に対し、興味を持ち始めている自分自身に一番驚いている。
そして、久しぶりに異性に対してこんな感情をもった。



___あぁ、いいな。

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