双子の転生先は双子でした

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Chapter 2

71*怒り

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セザールの発言に、真っ先に牙を剥いたのは…
ナタリー本人ではなくアシュリーだった。

「それは、どう言った意味なのでしょう?」

感情を一切見せずに、問いかけたアシュリーに対し、セザールはやや節目がちに少し強張った口調で答えた。

「そのままの意味ですよ。
彼が、大変優秀であり将来有望であることは兄君であるダニエル殿もご存知ですし、それに、彼ならナタリー嬢の側にいても遜色ないですからね…」

そう言って、少しぎこちなく微笑むセザールを見て、ナタリーが小さく問いかける。

「私には、お慕いしている方がいます。その方をとおっしゃりたいのですか?」

ナタリーの言葉に、僅かだがセザールの肩がピクっと揺れた。そんな、セザールを真っ直ぐと見つめたまま、ナタリーは静かに彼の返事を待った。

目と目が合う。

先ほどまで、幸せを噛み締めながら抱き合い、口付け、見つめ合っていた時とは違う目がそこにはあった。

セザールの返事を聞くまでもない。
その目が、語っているのだから…

ナタリーの目には、自然と涙が溜まっていった。溢れんばかりに溜まった涙で、視界がどんどん歪んでいく。

聞きたくない…
聞きたくない…
聞きたくない…

そればかりが、ナタリーの思考を覆い始めた時、セザールの落ち着いた声が、ナタリーの胸に鋭い刃となって突き刺さった。

「ええ、その方のことは、もう忘れた方がいいでしょう。こんなにも素晴らしいご縁は、なかなかありませんからね」

「__っ!」


セザールの答えに、ナタリーは溢れ出た涙を止めることはできなかった。
そして、そっと「わかりました」と返事をし、逃げ出すようにその場を後にした。

去っていくナタリーの後姿すら、まともに見ることもできず、きつく目を伏せていたセザール。
そんな彼の前に進み出てきたのは、全く同じ顔でありながら、怒りを滲ませたアメジストの瞳で睨むアシュリーだった。

彼女は、何の躊躇いもなくセザールの胸ぐらを掴んでこう言った。

「ふざけるな!」

と。

おっとりとした可愛らしい見た目とは裏腹に、前世を全面に押し出したアシュリーの怒気に、セザールをはじめその場に居合わした使用人たちも皆驚き固まってしまう。
しかし、そんなことを気にもかけないアシュリーは、セザールに対し多くを語らず、ただただ睨みつけていた。
そして、セザールの胸ぐらを離し、現世こちら側の人には絶対にわからない言葉を中指を突き立てて放った。



「ヘタレ!」




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