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114 彼の完璧な計画
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神経をすり減らしたこの成人の儀式…もとい結婚式?もこれで終わりだ。
全員で屋敷に戻ってこれから楽しいパーティーだ!って、…はぁ…テンション上がると思う?
「アッシュ君!これはどういうことだね。君がユーリウス君とけ、結婚などと…」
「ユーリに聞いて…」
「しかしだね!」
「だからユーリに聞いてってば。」
顔見知りの侯爵たちが詰め寄ってくるけど、僕に何を言えと?
「なんだアッシュ。お前ユーリウスの嫁になったのか。はははっ、これはどういう茶番、ひっ!」
「殿下、品のない物言いはおよしなさいませ。外へ出ればリッターホルムの領民達の目にも触れるのですよ。しゃんとなさい」
ケネスめ…、まるで鬼の首でも獲ったかのように…。いいぞノールさん、もっと言ってやって!じゃなくて。
「ノールさん、あとで色々聞かせてもらうから。それからケネス、ちょっと顔貸してよ?」
「なっ、何をする気だ!わ、私は無害だっ!」
人聞きの悪い…、何もしないよ。
この件をいつまでも引きずってたってしょうがない。婚姻は成立してしまったんだ。かわいい新妻として頑張るしかない。
それなら初志貫徹。ユーリとケネスが談笑してるところ、今こそ領民にまざまざと見せつけなければ…。え~、ユーリはどこに…
「うむ、ユーリウスよ。いささか驚いたが上出来だ。性別など問題にもならぬほどの手柄、これで公爵家は盤石と言えよう。だがあれは少々お転婆が過ぎる。手綱はしっかり握っておくのだ。そしていいか。何があろうとアッシュを手放すでないぞ」
「心得ております大叔父上。ですが、ふふ、アッシュの方こそ私を離さないのではないかと。これは大口ではありませんよ」
「これはこれは、ユーリウス君には敵いませんな。はっはっはっ」
ユーリってばダンディーたちに囲まれて何言ってるんだろう…。大公もコーネイン侯爵も上機嫌だけど…宴もまだだって言うのにもう酔ってんの?
「大公、コーネイン侯爵、少しユーリ借りてもいいですか?ケネスと領民の前練り歩いてこようかと思って」
「借りるも何も、ユーリウス君は君のご夫君だろう。好きに連れて行きたまえ。」
「アッシュよ。人前で余り殿下を呼び捨ててはならぬぞ。体裁と言うものがあるであろう」
「そうだよ。アッシュ、君は私の伴侶なんだ。軽々しく他の男を呼び捨てるなど、」
大公の言ってる意味はそうじゃないと思うんだが…、ウエディングハイのユーリの言う事は無視してさぁ、外へ行くか。
「ケネ、殿下殿下、王子様。僕とユーリを教会の外まで先導してくれない?それはもうにこやかに。それでお務めは終わりにするから」
「なるほど、そういう魂胆か。私の威光にぶら下がるつもりか。ふん、いいだろう。お前が私をあてにしていると思うと実に気分が良い。」
そう言われると実に気分が悪いが仕方ない。
少し眉を上げたユーリの手をしっかり握って王子の後ろに付いてゆく。僕に詰め寄ろうとしてた面識のない貴族の方たちも王子が居ては迂闊に近寄れまい。…虫除けにちょうどいいな。
スヴェンさんとヴィーゴさんによって開け放たれた教会の扉。そこから一歩外に出ると…、
「おめでとう~アッシュ~」
「おめでとうございます、公爵様ー!」
屋敷のボーイたちやナッツ。そして家の家族たちからのリーフシャワーの嵐…。これは…、オリーブか。平和と知恵を司る、夫婦の木と言われるオリーブ。結婚式にピッタリだ。そうか。やたらとナッツがオリーブの葉を摘んでたのはこのためか…。
「お義父様、アッシュをエスコートさせられず申し訳ない。私は構わないと言ったのだが、…さすがに教会に席を用意するのが精いっぱいで…なんと面倒な立場だ。」
「農夫が公爵様と並ぶわけには参りませんよ。それにあんなの緊張するばっかりなんで、やらなくてホッとしてます。お気になさらず。またマァの村に遊びに来てくださいね」
「ああ、もちろん」
ユーリはうちの父さんと少し言葉を交わすと王子の後に続いて川沿いへと向かっていく。お手振りタイムだ。
動きのないユーリに焦れてなんとケネスが自ら前に進み出た。
「リッターホルムの領民よ。私は実に素晴らしい瞬間に立ち会った。それは何か。其方らの領主である、この公爵ユーリウス・リッターホルムと平民アッシュの婚姻が今日ここに成立した。」
ざわ…
「なんと其方らの領主は農夫の子、それも同性であるアッシュに神の御前で真実の愛を誓ったのだ。」
ざわざわ…
「これぞ誠の愛ではないか!己の拠り所たるアッシュを、全ての障害を跳ね除け娶ったのだ。これを愛と呼ばず何と呼ぶ。喜べ!其方たちの領主はかように仁恵に充ちた主であるぞ」
わぁぁぁぁぁ!!!!
「どうだアッシュ。私にかかればこんなものだ。見直したであろう」
「王太子の名は伊達じゃないって事か。よし!これであの時の非礼はチャラって事で。」
「非礼を働いたのはお前だろうがっ!」
まだなんかワーワー言ってる王子様はヘンリックさんによって回収されていった。
貴族家のパーティーは合コンも同然、ガーデンパーティー、いわゆる披露宴にはお嬢様方も顔を出すはず。
ちゃっかり王子も参加してから帰るようだ。まったく…色ボケ王子め。
「父さん母さんも領主邸のパーティーにおいでよ。すごいご馳走だよ」
「いやねぇ。あんな立派な方々が居るところ行けないわよ。それよりケインさんとエルゼさん夫妻が領都でお祝いしてくれるって言うのよ。母さんたちはそっちで楽しんでくるわ。」
「それでは使用人に食事を運ばせましょう。ですが帰る前にはぜひお立ち寄りを。アッシュが私のために整えてくれた愛の花園をお見せしたい。アッシュの私への愛がそれはもうそこら中に溢れて、そして」
「も、いいから」
ユーリ…絶好調だな…。
こうしてようやく、僕たちは領主邸へと戻っていった。そのころ王宮で何が起こっているかなんて一瞬たりとも考えもしないで…。
---------------------------
「うぅ!お、お父様、お母様、胸が、胸が苦しい!はぁっ、はぁっ、こ、これは何?息が…息が出来ない…苦しい…ああぁ…」
「どうしたというのシグリット!しっかりおし!これはまさか…まさかっ!いやぁぁぁ!」
「おお…シグリット…、王妃も気を確かに持つのだ!だ、誰か!侍医を!宮廷博士を呼べ!は、早く姫を寝台に運ぶのじゃ…、ついに…、ついに恐れていたこの日が来てしまった…。」
「陛下…おわかりでしょう?これは始まりにすぎませぬ。先代の王妃様を侍女であったわたくしはよく覚えております。月日と共にその苦しみは強く激しくなり、そして…、ああそんなっ!私たちはこれからどうすれば…」
「先王の最愛であった王妃は他でもないわしの母じゃ!忘れたくても忘れられぬ!だからこそわしはこの日を恐れたのだ。そなたと姫、どちらを失うことも耐えられぬと…。ミーミル様のお告げは真実であった…。なればこそ病を抑えることは出来ると言ったミーミル様のあの言葉もまた真実であろう。そしてかの人はこう言ったのだ。「呪いを解くことは出来ない、…仮初の姿では」と。」
「では陛下…あの方に?」
「リッターホルムに今王太子が滞在しておる。急げ手紙をしたため王子に申し付ける!姫、大丈夫である。わしはミーミル様にすべての過ちを詫び恭順を誓ったのだ…。心配はいらぬ。何も心配はいらぬからな…」
全員で屋敷に戻ってこれから楽しいパーティーだ!って、…はぁ…テンション上がると思う?
「アッシュ君!これはどういうことだね。君がユーリウス君とけ、結婚などと…」
「ユーリに聞いて…」
「しかしだね!」
「だからユーリに聞いてってば。」
顔見知りの侯爵たちが詰め寄ってくるけど、僕に何を言えと?
「なんだアッシュ。お前ユーリウスの嫁になったのか。はははっ、これはどういう茶番、ひっ!」
「殿下、品のない物言いはおよしなさいませ。外へ出ればリッターホルムの領民達の目にも触れるのですよ。しゃんとなさい」
ケネスめ…、まるで鬼の首でも獲ったかのように…。いいぞノールさん、もっと言ってやって!じゃなくて。
「ノールさん、あとで色々聞かせてもらうから。それからケネス、ちょっと顔貸してよ?」
「なっ、何をする気だ!わ、私は無害だっ!」
人聞きの悪い…、何もしないよ。
この件をいつまでも引きずってたってしょうがない。婚姻は成立してしまったんだ。かわいい新妻として頑張るしかない。
それなら初志貫徹。ユーリとケネスが談笑してるところ、今こそ領民にまざまざと見せつけなければ…。え~、ユーリはどこに…
「うむ、ユーリウスよ。いささか驚いたが上出来だ。性別など問題にもならぬほどの手柄、これで公爵家は盤石と言えよう。だがあれは少々お転婆が過ぎる。手綱はしっかり握っておくのだ。そしていいか。何があろうとアッシュを手放すでないぞ」
「心得ております大叔父上。ですが、ふふ、アッシュの方こそ私を離さないのではないかと。これは大口ではありませんよ」
「これはこれは、ユーリウス君には敵いませんな。はっはっはっ」
ユーリってばダンディーたちに囲まれて何言ってるんだろう…。大公もコーネイン侯爵も上機嫌だけど…宴もまだだって言うのにもう酔ってんの?
「大公、コーネイン侯爵、少しユーリ借りてもいいですか?ケネスと領民の前練り歩いてこようかと思って」
「借りるも何も、ユーリウス君は君のご夫君だろう。好きに連れて行きたまえ。」
「アッシュよ。人前で余り殿下を呼び捨ててはならぬぞ。体裁と言うものがあるであろう」
「そうだよ。アッシュ、君は私の伴侶なんだ。軽々しく他の男を呼び捨てるなど、」
大公の言ってる意味はそうじゃないと思うんだが…、ウエディングハイのユーリの言う事は無視してさぁ、外へ行くか。
「ケネ、殿下殿下、王子様。僕とユーリを教会の外まで先導してくれない?それはもうにこやかに。それでお務めは終わりにするから」
「なるほど、そういう魂胆か。私の威光にぶら下がるつもりか。ふん、いいだろう。お前が私をあてにしていると思うと実に気分が良い。」
そう言われると実に気分が悪いが仕方ない。
少し眉を上げたユーリの手をしっかり握って王子の後ろに付いてゆく。僕に詰め寄ろうとしてた面識のない貴族の方たちも王子が居ては迂闊に近寄れまい。…虫除けにちょうどいいな。
スヴェンさんとヴィーゴさんによって開け放たれた教会の扉。そこから一歩外に出ると…、
「おめでとう~アッシュ~」
「おめでとうございます、公爵様ー!」
屋敷のボーイたちやナッツ。そして家の家族たちからのリーフシャワーの嵐…。これは…、オリーブか。平和と知恵を司る、夫婦の木と言われるオリーブ。結婚式にピッタリだ。そうか。やたらとナッツがオリーブの葉を摘んでたのはこのためか…。
「お義父様、アッシュをエスコートさせられず申し訳ない。私は構わないと言ったのだが、…さすがに教会に席を用意するのが精いっぱいで…なんと面倒な立場だ。」
「農夫が公爵様と並ぶわけには参りませんよ。それにあんなの緊張するばっかりなんで、やらなくてホッとしてます。お気になさらず。またマァの村に遊びに来てくださいね」
「ああ、もちろん」
ユーリはうちの父さんと少し言葉を交わすと王子の後に続いて川沿いへと向かっていく。お手振りタイムだ。
動きのないユーリに焦れてなんとケネスが自ら前に進み出た。
「リッターホルムの領民よ。私は実に素晴らしい瞬間に立ち会った。それは何か。其方らの領主である、この公爵ユーリウス・リッターホルムと平民アッシュの婚姻が今日ここに成立した。」
ざわ…
「なんと其方らの領主は農夫の子、それも同性であるアッシュに神の御前で真実の愛を誓ったのだ。」
ざわざわ…
「これぞ誠の愛ではないか!己の拠り所たるアッシュを、全ての障害を跳ね除け娶ったのだ。これを愛と呼ばず何と呼ぶ。喜べ!其方たちの領主はかように仁恵に充ちた主であるぞ」
わぁぁぁぁぁ!!!!
「どうだアッシュ。私にかかればこんなものだ。見直したであろう」
「王太子の名は伊達じゃないって事か。よし!これであの時の非礼はチャラって事で。」
「非礼を働いたのはお前だろうがっ!」
まだなんかワーワー言ってる王子様はヘンリックさんによって回収されていった。
貴族家のパーティーは合コンも同然、ガーデンパーティー、いわゆる披露宴にはお嬢様方も顔を出すはず。
ちゃっかり王子も参加してから帰るようだ。まったく…色ボケ王子め。
「父さん母さんも領主邸のパーティーにおいでよ。すごいご馳走だよ」
「いやねぇ。あんな立派な方々が居るところ行けないわよ。それよりケインさんとエルゼさん夫妻が領都でお祝いしてくれるって言うのよ。母さんたちはそっちで楽しんでくるわ。」
「それでは使用人に食事を運ばせましょう。ですが帰る前にはぜひお立ち寄りを。アッシュが私のために整えてくれた愛の花園をお見せしたい。アッシュの私への愛がそれはもうそこら中に溢れて、そして」
「も、いいから」
ユーリ…絶好調だな…。
こうしてようやく、僕たちは領主邸へと戻っていった。そのころ王宮で何が起こっているかなんて一瞬たりとも考えもしないで…。
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「うぅ!お、お父様、お母様、胸が、胸が苦しい!はぁっ、はぁっ、こ、これは何?息が…息が出来ない…苦しい…ああぁ…」
「どうしたというのシグリット!しっかりおし!これはまさか…まさかっ!いやぁぁぁ!」
「おお…シグリット…、王妃も気を確かに持つのだ!だ、誰か!侍医を!宮廷博士を呼べ!は、早く姫を寝台に運ぶのじゃ…、ついに…、ついに恐れていたこの日が来てしまった…。」
「陛下…おわかりでしょう?これは始まりにすぎませぬ。先代の王妃様を侍女であったわたくしはよく覚えております。月日と共にその苦しみは強く激しくなり、そして…、ああそんなっ!私たちはこれからどうすれば…」
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……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
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