チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する

kozzy

文字の大きさ
79 / 277
連載

114 彼の完璧な計画

しおりを挟む
神経をすり減らしたこの成人の儀式…もとい結婚式?もこれで終わりだ。
全員で屋敷に戻ってこれから楽しいパーティーだ!って、…はぁ…テンション上がると思う?


「アッシュ君!これはどういうことだね。君がユーリウス君とけ、結婚などと…」
「ユーリに聞いて…」

「しかしだね!」
「だからユーリに聞いてってば。」


顔見知りの侯爵たちが詰め寄ってくるけど、僕に何を言えと?


「なんだアッシュ。お前ユーリウスの嫁になったのか。はははっ、これはどういう茶番、ひっ!」
「殿下、品のない物言いはおよしなさいませ。外へ出ればリッターホルムの領民達の目にも触れるのですよ。しゃんとなさい」

ケネスめ…、まるで鬼の首でも獲ったかのように…。いいぞノールさん、もっと言ってやって!じゃなくて。

「ノールさん、あとで色々聞かせてもらうから。それからケネス、ちょっと顔貸してよ?」
「なっ、何をする気だ!わ、私は無害だっ!」


人聞きの悪い…、何もしないよ。
この件をいつまでも引きずってたってしょうがない。婚姻は成立してしまったんだ。かわいい新妻として頑張るしかない。
それなら初志貫徹。ユーリとケネスが談笑してるところ、今こそ領民にまざまざと見せつけなければ…。え~、ユーリはどこに…




「うむ、ユーリウスよ。いささか驚いたが上出来だ。性別など問題にもならぬほどの手柄、これで公爵家は盤石と言えよう。だがあれは少々お転婆が過ぎる。手綱はしっかり握っておくのだ。そしていいか。何があろうとアッシュを手放すでないぞ」

「心得ております大叔父上。ですが、ふふ、アッシュの方こそ私を離さないのではないかと。これは大口ではありませんよ」

「これはこれは、ユーリウス君には敵いませんな。はっはっはっ」


ユーリってばダンディーたちに囲まれて何言ってるんだろう…。大公もコーネイン侯爵も上機嫌だけど…宴もまだだって言うのにもう酔ってんの?


「大公、コーネイン侯爵、少しユーリ借りてもいいですか?ケネスと領民の前練り歩いてこようかと思って」

「借りるも何も、ユーリウス君は君のご夫君だろう。好きに連れて行きたまえ。」

「アッシュよ。人前で余り殿下を呼び捨ててはならぬぞ。体裁と言うものがあるであろう」
「そうだよ。アッシュ、君は私の伴侶なんだ。軽々しく他の男を呼び捨てるなど、」


大公の言ってる意味はそうじゃないと思うんだが…、ウエディングハイのユーリの言う事は無視してさぁ、外へ行くか。


「ケネ、殿下殿下、王子様。僕とユーリを教会の外まで先導してくれない?それはもうにこやかに。それでお務めは終わりにするから」
「なるほど、そういう魂胆か。私の威光にぶら下がるつもりか。ふん、いいだろう。お前が私をあてにしていると思うと実に気分が良い。」


そう言われると実に気分が悪いが仕方ない。
少し眉を上げたユーリの手をしっかり握って王子の後ろに付いてゆく。僕に詰め寄ろうとしてた面識のない貴族の方たちも王子が居ては迂闊に近寄れまい。…虫除けにちょうどいいな。

スヴェンさんとヴィーゴさんによって開け放たれた教会の扉。そこから一歩外に出ると…、


「おめでとう~アッシュ~」
「おめでとうございます、公爵様ー!」

屋敷のボーイたちやナッツ。そして家の家族たちからのリーフシャワーの嵐…。これは…、オリーブか。平和と知恵を司る、夫婦の木と言われるオリーブ。結婚式にピッタリだ。そうか。やたらとナッツがオリーブの葉を摘んでたのはこのためか…。


「お義父様、アッシュをエスコートさせられず申し訳ない。私は構わないと言ったのだが、…さすがに教会に席を用意するのが精いっぱいで…なんと面倒な立場だ。」

「農夫が公爵様と並ぶわけには参りませんよ。それにあんなの緊張するばっかりなんで、やらなくてホッとしてます。お気になさらず。またマァの村に遊びに来てくださいね」

「ああ、もちろん」


ユーリはうちの父さんと少し言葉を交わすと王子の後に続いて川沿いへと向かっていく。お手振りタイムだ。
動きのないユーリに焦れてなんとケネスが自ら前に進み出た。

「リッターホルムの領民よ。私は実に素晴らしい瞬間に立ち会った。それは何か。其方らの領主である、この公爵ユーリウス・リッターホルムと平民アッシュの婚姻が今日ここに成立した。」

ざわ…

「なんと其方らの領主は農夫の子、それも同性であるアッシュに神の御前で真実の愛を誓ったのだ。」

ざわざわ…

「これぞ誠の愛ではないか!己の拠り所たるアッシュを、全ての障害を跳ね除け娶ったのだ。これを愛と呼ばず何と呼ぶ。喜べ!其方たちの領主はかように仁恵に充ちた主であるぞ」

わぁぁぁぁぁ!!!!


「どうだアッシュ。私にかかればこんなものだ。見直したであろう」
「王太子の名は伊達じゃないって事か。よし!これであの時の非礼はチャラって事で。」

「非礼を働いたのはお前だろうがっ!」


まだなんかワーワー言ってる王子様はヘンリックさんによって回収されていった。
貴族家のパーティーは合コンも同然、ガーデンパーティー、いわゆる披露宴にはお嬢様方も顔を出すはず。
ちゃっかり王子も参加してから帰るようだ。まったく…色ボケ王子め。



「父さん母さんも領主邸のパーティーにおいでよ。すごいご馳走だよ」

「いやねぇ。あんな立派な方々が居るところ行けないわよ。それよりケインさんとエルゼさん夫妻が領都でお祝いしてくれるって言うのよ。母さんたちはそっちで楽しんでくるわ。」

「それでは使用人に食事を運ばせましょう。ですが帰る前にはぜひお立ち寄りを。アッシュが私のために整えてくれた愛の花園をお見せしたい。アッシュの私への愛がそれはもうそこら中に溢れて、そして」

「も、いいから」

ユーリ…絶好調だな…。


こうしてようやく、僕たちは領主邸へと戻っていった。そのころ王宮で何が起こっているかなんて一瞬たりとも考えもしないで…。






---------------------------


「うぅ!お、お父様、お母様、胸が、胸が苦しい!はぁっ、はぁっ、こ、これは何?息が…息が出来ない…苦しい…ああぁ…」

「どうしたというのシグリット!しっかりおし!これはまさか…まさかっ!いやぁぁぁ!」

「おお…シグリット…、王妃も気を確かに持つのだ!だ、誰か!侍医を!宮廷博士を呼べ!は、早く姫を寝台に運ぶのじゃ…、ついに…、ついに恐れていたこの日が来てしまった…。」

「陛下…おわかりでしょう?これは始まりにすぎませぬ。先代の王妃様を侍女であったわたくしはよく覚えております。月日と共にその苦しみは強く激しくなり、そして…、ああそんなっ!私たちはこれからどうすれば…」

「先王の最愛であった王妃は他でもないわしの母じゃ!忘れたくても忘れられぬ!だからこそわしはこの日を恐れたのだ。そなたと姫、どちらを失うことも耐えられぬと…。ミーミル様のお告げは真実であった…。なればこそ病を抑えることは出来ると言ったミーミル様のあの言葉もまた真実であろう。そしてかの人はこう言ったのだ。「呪いを解くことは出来ない、…姿」と。」

「では陛下…あの方に?」

「リッターホルムに今王太子が滞在しておる。急げ手紙をしたため王子に申し付ける!姫、大丈夫である。わしはミーミル様にすべての過ちを詫び恭順を誓ったのだ…。心配はいらぬ。何も心配はいらぬからな…」






しおりを挟む
感想 392

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰
BL
アーバスノイヤー公爵家の次男として生誕した僕、ルナイス・アーバスノイヤーは日本という異世界で生きていた記憶を持って生まれてきた。 アーバスノイヤー公爵家は表向きは代々王家に仕える近衛騎士として名を挙げている一族であるが、実は陰で王家に牙を向ける者達の処分や面倒ごとを片付ける暗躍一族なのだ。 そんな公爵家に生まれた僕も将来は家業を熟さないといけないのだけど…前世でなんの才もなくぼんやりと生きてきた僕には無理ですよ!! え? 僕には暗躍一族としての才能に恵まれている!? ※すべてフィクションであり実在する物、人、言語とは異なることをご了承ください。  色んな国の言葉をMIXさせています。 本作は皆様の暖かな支援のおかげで第13回BL大賞にて学園BL賞を受賞いたしました! 心よりお礼申し上げます。 ただ今、感謝の番外編を少しずつ更新中です。 よければお時間のある時にお楽しみくださいませ

余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない

上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。 フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。 前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。 声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。 気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――? 周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。 ※最終的に固定カプ

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。