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200 彼の神様 ー番外編ー
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大きな祭壇フィギュアの前、年の頃20代から50代までの4人の男は家人の後姿を見届けると、肩の力を抜き思い思いに話し始めた。
そして心からの供物を捧げると、順に彼に向って話掛けた。
サイト主は製本された真新しい本と手作りの分厚い番外編を角を合わせて丁寧に並べて置いた。
「ようやく形になったなり。喜んでくれるなりか?ミーミル殿。ミーミル殿は編集されたものしか知らないであろうが、あの膨大な設定を精査して投稿をまとめるのは本当に大変だったなりよ?吾輩死ぬかと思ったなり。おっと不謹慎であったなりな。だけどミーミル氏がいつも「神様、仏様、運営様」って言ってたの思い出して本当に頑張ったなり。本編で切り捨てた投稿、せっかくだからかなり番外に生かしておいたなりよ。ぶんがく氏の没投稿、毒公爵の裏に居る魔女の存在、本編では邪魔だったなりが番外にはもってこいだったなり。しかし心底バカであるなミーミル殿は。食わなきゃ死ぬのは自明であるのに。とは言え…本当に資産家だったとは…吾輩少々驚いたなり…。」
そして「名前を言ってはいけないあの人」は、捧げられた小説の表紙の上に、そっとトネリコの盆栽を置いた。
「バカで…そして良い奴でしたよミーミル氏は。まさか本当に出版資金を出してくれるなんて…。一文字いくらで投稿者全員に原稿料配ったんですよね?しかばねさんけっこう貰いました?投稿反映量、一番多いですもんね。僕なんか…小道具とかばっかりで…。世界観はかなり取り上げてもらえましたけど?みんな版権版権ってうるさ…んんっ!それにしても印税は後腐れなく全国の図書館に寄付するって事でみんな納得してくれて良かったですよね…。本好きでしたもんね…寝る間も惜しんで本読んでた…いつも…。…僕もぽっくり逝く前にあんなブラック企業辞めようかな…。ミーミル氏…あなたが主人公の番外小説、「神設定きたー!」って喜んでくれた毒の設定も呪いの設定も、より一層徹底的にとことん凝っときましたから。版権気にしなくていい分裏設定も満載にして、なんなら本編より凝ってますから。せいぜい手に汗握る異世界転生ヒロイックファンタジーの世界楽しんでください。これが僕からの餞別で…、…うっ!…うぅ…ううう…」
「ただのしかばね」は精魂込めて作り上げた、超絶イケメン毒公爵のフィギュアを一体そのトネリコの前に置いた。
「泣くなよヴォルデモート。ご家族に聞こえんだろ。それより番外の骨子、ほとんどお前とぶんがくに任せて悪かったな。いやぁ助かった。さすがに時間無くってな。見ろよこれ、最新毒公爵のフィギュアだ。以前もミルッちに頼まれて何体か作ってんだけどな、毎回ホント注文うるさくて何度手直しさせられたか。何だかんだで最後は「神ー!」「神来たー!」って褒めてくれたけどな。まあこだわるこだわる…。ほら新作、なかなかの出来だろ?趣向を変えて闇落ちしてないヴァージョンだ。これは合格か?合格だろ?全く…どうせなら元気なお前に渡したかったよ。ほんとに毒公爵が大好きだったよなミルっちは。しっかしなんであんな好きなんだ。ああっ、毒公爵のビジュアル創造したのミルッちだったか。熱量すごかったよな。しかし父親があの著名なフィギュア作家とはな、造形にうるさい訳だ。…ぜひ後でサインもらわないと…。…別にいいよな?」
「ぶんがく」は、何も言わずに、いつかチャット中に彼がポツリと「こんなキャラだったら生きるのも楽なのにね。友達100人出来たかな」そう言っていた何かのアニメの快活な主人公、その二頭身ねんどろいどを、彼のつもりで毒公爵の隣にチョコンと置いた。
その茶色の瞳の小さなねんどろいどは生気に溢れ活き活きと、空を見上げるように茶色の髪を跳ねさせていた。
白いシャツに半ズボンの、そのぷにっとしたねんどろいどは、ちょうど公爵のフィギュアを見上げる角度で能天気そうに笑っている。
「って、ぶんがく氏。それは少し等身がおかしいなりよ?」
「そうだよまったく。俺が作ったリアルフィギュアの隣にSDキャラって、そりゃないだろうが」
「ですけどミーミル氏は背が低い事をサラサラヘアーのチャラ男に揶揄われるのが嫌でせっかく行き始めた高校もやっぱり行くのやめたと言っていましたよ。ならこれで合ってるんじゃないですか?」
「そういやそんなこと言ってたな…」
「そうだったなり…」
「仕返し…じゃないですけど、番外の勇者、サラサラヘアーのチャラ男にして性格悪い侯爵令嬢に見初められて不幸になるよう裏設定つけときました!」
「おっ、いいなそれ。」
「あー…」
「なんだよマスター」
「吾輩うっかり旅に出た後の勇者にハーレムの裏設定つけてしまったなり…。いやはや失敬。仕返し無駄にして悪かったなり。けどどうせ本編とは違うし番外にも出てこないし良いかと思って、吾輩やりたい放題なり。ささやかな願望なりよ」
「…裏設定…僕も…」
「なんだよぶんがく。お前何入れたって?」
「…教授に裏設定を…。教授は全て終わった後インディみたいに発掘と冒険の旅を…。脇役だからいいかと…」
「あのなぁお前ら…」
ワイワイと語らう投稿者たちの話を聞きながら小説を台座にトネリコは茂る。
そしてその前では毒公爵の隣で小さな彼が幸せそうにその話を笑って聞いていた。
とても満足そうに、まるでここは自分の場所だと主張するかのように、いつまでもいつまでも夢見た場所で…
そして心からの供物を捧げると、順に彼に向って話掛けた。
サイト主は製本された真新しい本と手作りの分厚い番外編を角を合わせて丁寧に並べて置いた。
「ようやく形になったなり。喜んでくれるなりか?ミーミル殿。ミーミル殿は編集されたものしか知らないであろうが、あの膨大な設定を精査して投稿をまとめるのは本当に大変だったなりよ?吾輩死ぬかと思ったなり。おっと不謹慎であったなりな。だけどミーミル氏がいつも「神様、仏様、運営様」って言ってたの思い出して本当に頑張ったなり。本編で切り捨てた投稿、せっかくだからかなり番外に生かしておいたなりよ。ぶんがく氏の没投稿、毒公爵の裏に居る魔女の存在、本編では邪魔だったなりが番外にはもってこいだったなり。しかし心底バカであるなミーミル殿は。食わなきゃ死ぬのは自明であるのに。とは言え…本当に資産家だったとは…吾輩少々驚いたなり…。」
そして「名前を言ってはいけないあの人」は、捧げられた小説の表紙の上に、そっとトネリコの盆栽を置いた。
「バカで…そして良い奴でしたよミーミル氏は。まさか本当に出版資金を出してくれるなんて…。一文字いくらで投稿者全員に原稿料配ったんですよね?しかばねさんけっこう貰いました?投稿反映量、一番多いですもんね。僕なんか…小道具とかばっかりで…。世界観はかなり取り上げてもらえましたけど?みんな版権版権ってうるさ…んんっ!それにしても印税は後腐れなく全国の図書館に寄付するって事でみんな納得してくれて良かったですよね…。本好きでしたもんね…寝る間も惜しんで本読んでた…いつも…。…僕もぽっくり逝く前にあんなブラック企業辞めようかな…。ミーミル氏…あなたが主人公の番外小説、「神設定きたー!」って喜んでくれた毒の設定も呪いの設定も、より一層徹底的にとことん凝っときましたから。版権気にしなくていい分裏設定も満載にして、なんなら本編より凝ってますから。せいぜい手に汗握る異世界転生ヒロイックファンタジーの世界楽しんでください。これが僕からの餞別で…、…うっ!…うぅ…ううう…」
「ただのしかばね」は精魂込めて作り上げた、超絶イケメン毒公爵のフィギュアを一体そのトネリコの前に置いた。
「泣くなよヴォルデモート。ご家族に聞こえんだろ。それより番外の骨子、ほとんどお前とぶんがくに任せて悪かったな。いやぁ助かった。さすがに時間無くってな。見ろよこれ、最新毒公爵のフィギュアだ。以前もミルッちに頼まれて何体か作ってんだけどな、毎回ホント注文うるさくて何度手直しさせられたか。何だかんだで最後は「神ー!」「神来たー!」って褒めてくれたけどな。まあこだわるこだわる…。ほら新作、なかなかの出来だろ?趣向を変えて闇落ちしてないヴァージョンだ。これは合格か?合格だろ?全く…どうせなら元気なお前に渡したかったよ。ほんとに毒公爵が大好きだったよなミルっちは。しっかしなんであんな好きなんだ。ああっ、毒公爵のビジュアル創造したのミルッちだったか。熱量すごかったよな。しかし父親があの著名なフィギュア作家とはな、造形にうるさい訳だ。…ぜひ後でサインもらわないと…。…別にいいよな?」
「ぶんがく」は、何も言わずに、いつかチャット中に彼がポツリと「こんなキャラだったら生きるのも楽なのにね。友達100人出来たかな」そう言っていた何かのアニメの快活な主人公、その二頭身ねんどろいどを、彼のつもりで毒公爵の隣にチョコンと置いた。
その茶色の瞳の小さなねんどろいどは生気に溢れ活き活きと、空を見上げるように茶色の髪を跳ねさせていた。
白いシャツに半ズボンの、そのぷにっとしたねんどろいどは、ちょうど公爵のフィギュアを見上げる角度で能天気そうに笑っている。
「って、ぶんがく氏。それは少し等身がおかしいなりよ?」
「そうだよまったく。俺が作ったリアルフィギュアの隣にSDキャラって、そりゃないだろうが」
「ですけどミーミル氏は背が低い事をサラサラヘアーのチャラ男に揶揄われるのが嫌でせっかく行き始めた高校もやっぱり行くのやめたと言っていましたよ。ならこれで合ってるんじゃないですか?」
「そういやそんなこと言ってたな…」
「そうだったなり…」
「仕返し…じゃないですけど、番外の勇者、サラサラヘアーのチャラ男にして性格悪い侯爵令嬢に見初められて不幸になるよう裏設定つけときました!」
「おっ、いいなそれ。」
「あー…」
「なんだよマスター」
「吾輩うっかり旅に出た後の勇者にハーレムの裏設定つけてしまったなり…。いやはや失敬。仕返し無駄にして悪かったなり。けどどうせ本編とは違うし番外にも出てこないし良いかと思って、吾輩やりたい放題なり。ささやかな願望なりよ」
「…裏設定…僕も…」
「なんだよぶんがく。お前何入れたって?」
「…教授に裏設定を…。教授は全て終わった後インディみたいに発掘と冒険の旅を…。脇役だからいいかと…」
「あのなぁお前ら…」
ワイワイと語らう投稿者たちの話を聞きながら小説を台座にトネリコは茂る。
そしてその前では毒公爵の隣で小さな彼が幸せそうにその話を笑って聞いていた。
とても満足そうに、まるでここは自分の場所だと主張するかのように、いつまでもいつまでも夢見た場所で…
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