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168 彼と怪異
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今日は待ちに待った教授が来る日!
いやぁ~、教授の来訪はユーリの楽しみでもあるから張り切って準備しちゃったよ。
何を準備したかって言うと、…ふっふっふっ、開校間際のあのカレッジを肝試し会場にしちゃったのだ。一日限定だけど。
13階段とトイレに花子さんは定番だ。ピアノの鳴り響く無人の音楽室…に、図書室ではたくさんの本が空中遊泳を楽しんでいる。生物室では夜な夜な標本が動き回り、そのうえ美術室の絵画はユーリにまで手伝ってもらって目の動くモナリザを飾っておいた。どうよ?
これで6不思議だと思うじゃん?ちっちっちっ、7か所目は最終ゴール、学長室だ。その重厚な机の上には王宮の宝物庫からパクっ、いや、王子の許可のもと頂いてきた例の封印を施した箱が置かれている…。
お屋敷で参加者(脅かす方)を募ったところ、そこそこ人数も集まったので今日の夜それは決行される。
せっかくの歓迎会なのにノールさんとアレクシさんはこの件には頑としてノータッチだ。怖いものは怖い、まぁこればかりは仕方ない…。
エスターは脅す相手が父親だというのに嬉々として図書室の仕掛けを作っていたのにね…。
「ユーリ、ユーリは一時間ごとに音楽室でピアノを弾いてね。」
「座って演奏したら見えてしまうじゃないか」
「大丈夫。手品の要領で見えなくしてあるから」
そう、久々の出番となった『みんなびっくり!サルでも出来る手品の本 VOL.3 上級編』あれから抜粋した鏡を使った目の錯覚。これは今回大変お役立ちな装置となっている。今なら胴体切断だって出来る気がする。アシスタントはタキシードを着たユーリ一択だ!
ちなみにそのユーリは、教授が喜ぶ、そのためだけにピアノの演奏を引き受けてくれた。弾けるのユーリしか居ないしね。助かった~…
「ところでアッシュのそれは…?」
「花子さん…」
おかっぱ頭に赤いプリーツスカートの小学生、花子さんはユーリにより即却下され、その栄誉ある大役はリアルな子供、カイへと引き継がれた…。解せぬ…。
「君はその絵画から目を動かすだけで良い。分かったね。」
「ちぇ、他にもシーツかぶって教授の事追いかけまわしたかったのに…って、あ、ウソウソ、ウソだってば…。まぁいいや、僕もホントは怖いの得意じゃないし」
そして午後、ついにヴェストさんが教授の来訪を知らせてきた。
「ようこそ教授、今夜は教授の大歓迎パーティーを開催するからね。お楽しみに!」
「パーティーか…、私は夜会に興味は無いのだがな」
「分かってるって。大丈夫、教授が喜ぶタイプのパーティーだから。名付けて〝早春の怪 カレッジの七不思議”」
「早春の怪…なにやら面白そうな響きだな。いいぞアッシュ!」
「教授は今日、深夜のカレッジで6つの石を集めるんだよ。石のある場所では色々な怪奇現象が起きる。それらをかいくぐって石を探して6か所目に置いてある仕掛け箱に嵌めこんでね。そうすると仕掛け箱が開くからその中にある鍵を持って学長室に行ってもらう。そこにあるものが7つ目の不思議で、教授への手土産だよ。はいこれマップ」
「ほう…」
「実はこれ目くらましだったりする。教授が領都の近くで深夜ウロウロしてたって言うね。教授の行動を裏付ける噂があれば尚良いでしょ」
念には念を、これはいつでも僕のお約束。
たまたま王都を訪れた誰かの口からそれを聞く…。人伝…取るに足らない内容限定で、これほど信じてしまう話はない。人は利害を持たない第三者の言葉があればより真に受けやすいものなのだ。
「全くお前は小さいくせに抜け目がないな」
「ち、小さいは余計だから!僕だっていつかはもっと大きくっ」
「アッシュ、いつかって何時だい君?」
「うるさいエスター!あと少しだよっ!」
「いいやならぬよ。お前の成長は頭打ちだ。お前さんには成長阻害の呪いがかかっている」
「え…?」
「「「え?」」」
ちょっと待った!教授、真顔で何言うの…いやマジで…、みんなもドン引きしてるじゃないか…
「教授、それは以前から何度も仰っていましたが…冗談では無かったのですか?」
「冗談ではない。イェルドも同じことを言っておった。だが正確には呪いでは無いな。祈り…でもない。何というか…そういうものだとしか言えぬが…不思議な念を感じる」
「ち、父は何と?」
「アッシュの纏う念を鑑定したところ〝SD”と出たそうだ。二人で話し合ってみたがよく分からぬな…」
「SD…、教授、その呪い、いや、念はこのまま放置して大丈夫なものだろうか…」
「大丈夫だろう。悪いものでは無い。どうとは言えぬが温かさすら感じる。公爵様、恐らく心配は無用だ」
「温かさ…、ではアッシュを護るものなのか…」
いきなりおかしなことを聞いてしまった…。
SDってなんだ?念…?転生特典だろうか?神様、こういう事は事前に教えといてもらわないと!でもまぁ、悪いものでもないみたいだし、あれかな?守護霊…的な?そんな感じ?ご先祖様?どこの?疑問がいっぱいだ!
…で、でもまぁいいか。何も聞かなかったことにしよう。僕の身長がこれ以上伸びないって事以外とくに支障ないみたいだし…
………
とんでもなく重大な支障じゃないかっ‼
おかしいと思ったんだよ、成長期になってもちっとも伸びないから!ホントだったらもっとすらっとしたユーリにも負けないイケメンになるはずだったのに…。だれだ‼ 僕にこんな念を掛けたのは!いくら守護とは言え許すまじ!…いや、守護なんだし…守護…だよね…、守護、やっぱりここは感謝すべきか…。祖母もご先祖様は大事にしなさいって言ってたことだし…。守護か…
どこかのご先祖様ありがとう。きっといいおまじないだと思う事にします。…非常~に不本意ながら…。とにかくこれからもどうか僕を守ってください。ナムナム…
いやぁ~、教授の来訪はユーリの楽しみでもあるから張り切って準備しちゃったよ。
何を準備したかって言うと、…ふっふっふっ、開校間際のあのカレッジを肝試し会場にしちゃったのだ。一日限定だけど。
13階段とトイレに花子さんは定番だ。ピアノの鳴り響く無人の音楽室…に、図書室ではたくさんの本が空中遊泳を楽しんでいる。生物室では夜な夜な標本が動き回り、そのうえ美術室の絵画はユーリにまで手伝ってもらって目の動くモナリザを飾っておいた。どうよ?
これで6不思議だと思うじゃん?ちっちっちっ、7か所目は最終ゴール、学長室だ。その重厚な机の上には王宮の宝物庫からパクっ、いや、王子の許可のもと頂いてきた例の封印を施した箱が置かれている…。
お屋敷で参加者(脅かす方)を募ったところ、そこそこ人数も集まったので今日の夜それは決行される。
せっかくの歓迎会なのにノールさんとアレクシさんはこの件には頑としてノータッチだ。怖いものは怖い、まぁこればかりは仕方ない…。
エスターは脅す相手が父親だというのに嬉々として図書室の仕掛けを作っていたのにね…。
「ユーリ、ユーリは一時間ごとに音楽室でピアノを弾いてね。」
「座って演奏したら見えてしまうじゃないか」
「大丈夫。手品の要領で見えなくしてあるから」
そう、久々の出番となった『みんなびっくり!サルでも出来る手品の本 VOL.3 上級編』あれから抜粋した鏡を使った目の錯覚。これは今回大変お役立ちな装置となっている。今なら胴体切断だって出来る気がする。アシスタントはタキシードを着たユーリ一択だ!
ちなみにそのユーリは、教授が喜ぶ、そのためだけにピアノの演奏を引き受けてくれた。弾けるのユーリしか居ないしね。助かった~…
「ところでアッシュのそれは…?」
「花子さん…」
おかっぱ頭に赤いプリーツスカートの小学生、花子さんはユーリにより即却下され、その栄誉ある大役はリアルな子供、カイへと引き継がれた…。解せぬ…。
「君はその絵画から目を動かすだけで良い。分かったね。」
「ちぇ、他にもシーツかぶって教授の事追いかけまわしたかったのに…って、あ、ウソウソ、ウソだってば…。まぁいいや、僕もホントは怖いの得意じゃないし」
そして午後、ついにヴェストさんが教授の来訪を知らせてきた。
「ようこそ教授、今夜は教授の大歓迎パーティーを開催するからね。お楽しみに!」
「パーティーか…、私は夜会に興味は無いのだがな」
「分かってるって。大丈夫、教授が喜ぶタイプのパーティーだから。名付けて〝早春の怪 カレッジの七不思議”」
「早春の怪…なにやら面白そうな響きだな。いいぞアッシュ!」
「教授は今日、深夜のカレッジで6つの石を集めるんだよ。石のある場所では色々な怪奇現象が起きる。それらをかいくぐって石を探して6か所目に置いてある仕掛け箱に嵌めこんでね。そうすると仕掛け箱が開くからその中にある鍵を持って学長室に行ってもらう。そこにあるものが7つ目の不思議で、教授への手土産だよ。はいこれマップ」
「ほう…」
「実はこれ目くらましだったりする。教授が領都の近くで深夜ウロウロしてたって言うね。教授の行動を裏付ける噂があれば尚良いでしょ」
念には念を、これはいつでも僕のお約束。
たまたま王都を訪れた誰かの口からそれを聞く…。人伝…取るに足らない内容限定で、これほど信じてしまう話はない。人は利害を持たない第三者の言葉があればより真に受けやすいものなのだ。
「全くお前は小さいくせに抜け目がないな」
「ち、小さいは余計だから!僕だっていつかはもっと大きくっ」
「アッシュ、いつかって何時だい君?」
「うるさいエスター!あと少しだよっ!」
「いいやならぬよ。お前の成長は頭打ちだ。お前さんには成長阻害の呪いがかかっている」
「え…?」
「「「え?」」」
ちょっと待った!教授、真顔で何言うの…いやマジで…、みんなもドン引きしてるじゃないか…
「教授、それは以前から何度も仰っていましたが…冗談では無かったのですか?」
「冗談ではない。イェルドも同じことを言っておった。だが正確には呪いでは無いな。祈り…でもない。何というか…そういうものだとしか言えぬが…不思議な念を感じる」
「ち、父は何と?」
「アッシュの纏う念を鑑定したところ〝SD”と出たそうだ。二人で話し合ってみたがよく分からぬな…」
「SD…、教授、その呪い、いや、念はこのまま放置して大丈夫なものだろうか…」
「大丈夫だろう。悪いものでは無い。どうとは言えぬが温かさすら感じる。公爵様、恐らく心配は無用だ」
「温かさ…、ではアッシュを護るものなのか…」
いきなりおかしなことを聞いてしまった…。
SDってなんだ?念…?転生特典だろうか?神様、こういう事は事前に教えといてもらわないと!でもまぁ、悪いものでもないみたいだし、あれかな?守護霊…的な?そんな感じ?ご先祖様?どこの?疑問がいっぱいだ!
…で、でもまぁいいか。何も聞かなかったことにしよう。僕の身長がこれ以上伸びないって事以外とくに支障ないみたいだし…
………
とんでもなく重大な支障じゃないかっ‼
おかしいと思ったんだよ、成長期になってもちっとも伸びないから!ホントだったらもっとすらっとしたユーリにも負けないイケメンになるはずだったのに…。だれだ‼ 僕にこんな念を掛けたのは!いくら守護とは言え許すまじ!…いや、守護なんだし…守護…だよね…、守護、やっぱりここは感謝すべきか…。祖母もご先祖様は大事にしなさいって言ってたことだし…。守護か…
どこかのご先祖様ありがとう。きっといいおまじないだと思う事にします。…非常~に不本意ながら…。とにかくこれからもどうか僕を守ってください。ナムナム…
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