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223 彼と忘れ形見
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「アレクシさーん!役場からの帰り?一緒に帰ろうよ、乗って乗って」
「ああアッシュ君、じゃぁ遠慮なく。君はカレッジに顔を出した帰りかい?」
「うんそう。今日はこの国の産出資源についての講義を受けてたんだけど途中から僕が一人で語っちゃって。失敗失敗。ひけらかすつもりじゃなかったんだけどな。でもあれはどう考えてもマグネシウム…ブツブツ…」
「アッシュ君?」
「あ、ごめん。ついうっかり。そんなことは置いといて、アルパ君は最近どう?」
「気になるなら直接会えばいい。今日は大司教もいらしているんだ」
大司教か…。きれいなお姉さんやカワイイ女の子じゃないのは甚だ残念だがキャーキャー言われるのは悪くない気分だ。ちょっと寄ってみるか。
「ところでアッシュ君、相談があるんだが」
「何?どうしたの?」
「ビョルンの母親の事だ。」
「ああ、あの金使いの荒い…。もしかしてまた?…ビョルンさんも大変だよね」
相談を聞いてるうちに馬車は教会へ到着する。
それにしてもまた母親か…ったく!どいつもこいつも!
ここにはまさにその巨頭が居る。彼に会うのはアレクシさんがここに連れてきた日以来だ。投げっぱで悪かったな~と、思ってはいる…。
「これはこれはミーミルよ!お会いしとうございましたぞ!今日ここに来たのは正解であったか、やはりこれも信心が故の奇蹟…。おおミーミルよ…、此度の決着…報告が上がって参りましたがその全てに胸のすく思いでありましたが如何せん…」
「如何せん、何だろ?」
「なんでも尊い奇跡の連続だったと…。ぜひこの目で一目…ああ何と口惜しい!」
「な、なにも泣かなくても…」
あれは半分以上クルポックルの奇蹟でユーリのスキルでエスターの手柄で…、…あれぇ?僕の功績は?
「どうなされたミーミルよ!おや、アルパが参りましたな。どれご挨拶を。スヴェン司祭、アルパをここに」
アタフタする僕の視界横からヴェストさんのお兄さんであるスヴェン司祭がアルパ君を連れだってやってきた。相変わらず大人しい子だ…。
「アッシュ様、到着時にお会いしたきりでしたがごきげんよう。アレクシ様、昨日は差し入れをありがとうございます」
「なかなか顔出せなくてごめんね。どう?ここには慣れた?」
「お陰様で。その…」
「なに?どうかした?」
「いえ感謝の言葉を。色々とご配慮ありがとうございます」
「どういたしまして。」
「その…」
「その、何?」
「その、以前お手紙でいただいたジップラインやスキーのお話、いつかお聞かせくださいね」
ガクッ
「う、うんもちろん。っていうか見せてあげる」
あの時の手紙の内容よく覚えてたな…。適当に書いた適当な文面だったのに。今思えば、来いと言われて素直にやって来て、サプライズと言われてほんとにサプライズにする当たり、アルパ君の性質は当時から色濃く出ていたんだなぁ…
「その…」
「おっ、ついに本題かな?」
「その…、母の葬儀は…」
「 ! 」
「アルパ…、それは後程私と大司教様から説明しよう」
言いよどむ僕に差し伸べられる天の助け。スヴェンさんと大司教様なら怪しい部分は上手く誤魔化してくれるだろう。そうか…、聞きたくても聞けなかったんだな、今まで…
「スヴェン司祭…。わかりました。ではその…」
「…今度は分かった。ペルクリット伯のことだね。彼はお家お取り潰しのうえ強制労働30年の刑になったよ。詐欺みたいなみみっちい罪ばかりだったけど数も多かったし、それに伯爵夫人の犯した罪に対しての責任もある、あと亡き公爵夫人の件も自殺教唆の一種と認められた。この国の刑は加算方式だから仕方ない。」
「そうですか…きっともう生きて会えませんね…」
「アルパ…それが罪を犯すと言うことだ…」
「…それから家人、上級使用人でもある執事や侍女が10年の強制労働、それからメイドの一人は15年。何しろ現公爵夫人である僕を火にかけようとしたからね。それと捕えてあった下級使用人たちは各々5年前後の強制労働か禁固。薬も抜かなきゃいけないし。そんな中で幸運だよねアルパ君は」
「幸運…ですか?」
「不知である事を認められたからこそ君が罪に問われることは無かった。が…、本来なら嫡男である君も理由をつけて罰せられるのが普通だ。」
「アレクシさんの言うとおり。いい?アルパ君がここでこうして贅沢は出来なくとも普通の暮らしができるのはひとえに公爵家の口添えあってこそ。で、その口添えは君を助けたいというアレクシさんの為にしたもの。分かるよね。それに報いる気持ちがあるならしっかりとしないと。」
「はい…」
「人は支え合って生きていく生き物だけどそれにはまず自分の足で立たなくちゃね」
「難しいです…、でもよく考えます…。あの、その…」
「まだ何かあるの…?」
「いえ、お二人とも今日はゆっくりしていけますか?修道士、修道女の方々はその、毎日忙しそうで…。少しお話しできたらと…」
「あ、いや、私は…」
「いいよ、少しだけね。お茶するくらいの時間しかないけど良い?」
あ~あ…、嬉しそうに…
はっきり魔女の存在が公表されたわけじゃないけど、神殿に仕える彼らは漠然と何かを察している。
そんな彼らは、あのアデリーナの息子に思うところが無い訳では無いのだ。なにしろ聖王国聖教はクルポックル様を崇める教えなんだから…。
まぁ、修行中の彼らが表立って何か言うことは無いだろうけど。
修道士さんたちとの共同生活はアルパ君にとって針の筵に違いない。だけど…、それでも王都で嬲り者にされるよりはマシなはずだ。
だからってぼっちは辛いよね…。
「あーあ、またノールさんに叱られるな。…僕が…」
「その寛容さこそミーミルの化身なれば…」
「大司教様…あとでうちに招待するね。それで僕を庇って!」
「おおっ!なんと光栄な!」
僕はこっそり大司教を味方につけた…。
「それでお茶してきたの⁉信じられない!」
「いやだって可哀そうで…」
「アレクシが彼の身元を引き受けたのは譲歩するにしてもこうして甘やかすのは良くないと思う。彼は彼の業を自分で乗り越えないと」
「甘やかしてはおりませぬぞ、ショーグレン卿。あの教会においてアルパは両親の罪そして己のふがいなさと向き合う日々を送っておるのです。修道士たちはけっして馴れ合いませぬ。スヴェン司祭は良き人物ですが特定の者に特別な配慮はせぬ公平さを持っております。故にアルパは人の中にいて尚孤独なのです。厳しさだけが人の心に自戒を促すとは思えませぬな。」
「で、ですが大司教様…」
「人の心に触れ優しさに触れ、自己を受け入れられたと感じた時、それが己を顧みる契機となるのです。クルポックルの教えは何も拒まぬ。精進なさいませ、ショーグレン卿。」
「う…そ、そうですね、はい…」
だ、大司教!大好き!
お礼に帰り際、マァの村から拾ってきたトネリコの枝を一本あげたら五体投地で喜ばれたのには…
もっと良いものあげればよかったと、心底反省した…
「ああアッシュ君、じゃぁ遠慮なく。君はカレッジに顔を出した帰りかい?」
「うんそう。今日はこの国の産出資源についての講義を受けてたんだけど途中から僕が一人で語っちゃって。失敗失敗。ひけらかすつもりじゃなかったんだけどな。でもあれはどう考えてもマグネシウム…ブツブツ…」
「アッシュ君?」
「あ、ごめん。ついうっかり。そんなことは置いといて、アルパ君は最近どう?」
「気になるなら直接会えばいい。今日は大司教もいらしているんだ」
大司教か…。きれいなお姉さんやカワイイ女の子じゃないのは甚だ残念だがキャーキャー言われるのは悪くない気分だ。ちょっと寄ってみるか。
「ところでアッシュ君、相談があるんだが」
「何?どうしたの?」
「ビョルンの母親の事だ。」
「ああ、あの金使いの荒い…。もしかしてまた?…ビョルンさんも大変だよね」
相談を聞いてるうちに馬車は教会へ到着する。
それにしてもまた母親か…ったく!どいつもこいつも!
ここにはまさにその巨頭が居る。彼に会うのはアレクシさんがここに連れてきた日以来だ。投げっぱで悪かったな~と、思ってはいる…。
「これはこれはミーミルよ!お会いしとうございましたぞ!今日ここに来たのは正解であったか、やはりこれも信心が故の奇蹟…。おおミーミルよ…、此度の決着…報告が上がって参りましたがその全てに胸のすく思いでありましたが如何せん…」
「如何せん、何だろ?」
「なんでも尊い奇跡の連続だったと…。ぜひこの目で一目…ああ何と口惜しい!」
「な、なにも泣かなくても…」
あれは半分以上クルポックルの奇蹟でユーリのスキルでエスターの手柄で…、…あれぇ?僕の功績は?
「どうなされたミーミルよ!おや、アルパが参りましたな。どれご挨拶を。スヴェン司祭、アルパをここに」
アタフタする僕の視界横からヴェストさんのお兄さんであるスヴェン司祭がアルパ君を連れだってやってきた。相変わらず大人しい子だ…。
「アッシュ様、到着時にお会いしたきりでしたがごきげんよう。アレクシ様、昨日は差し入れをありがとうございます」
「なかなか顔出せなくてごめんね。どう?ここには慣れた?」
「お陰様で。その…」
「なに?どうかした?」
「いえ感謝の言葉を。色々とご配慮ありがとうございます」
「どういたしまして。」
「その…」
「その、何?」
「その、以前お手紙でいただいたジップラインやスキーのお話、いつかお聞かせくださいね」
ガクッ
「う、うんもちろん。っていうか見せてあげる」
あの時の手紙の内容よく覚えてたな…。適当に書いた適当な文面だったのに。今思えば、来いと言われて素直にやって来て、サプライズと言われてほんとにサプライズにする当たり、アルパ君の性質は当時から色濃く出ていたんだなぁ…
「その…」
「おっ、ついに本題かな?」
「その…、母の葬儀は…」
「 ! 」
「アルパ…、それは後程私と大司教様から説明しよう」
言いよどむ僕に差し伸べられる天の助け。スヴェンさんと大司教様なら怪しい部分は上手く誤魔化してくれるだろう。そうか…、聞きたくても聞けなかったんだな、今まで…
「スヴェン司祭…。わかりました。ではその…」
「…今度は分かった。ペルクリット伯のことだね。彼はお家お取り潰しのうえ強制労働30年の刑になったよ。詐欺みたいなみみっちい罪ばかりだったけど数も多かったし、それに伯爵夫人の犯した罪に対しての責任もある、あと亡き公爵夫人の件も自殺教唆の一種と認められた。この国の刑は加算方式だから仕方ない。」
「そうですか…きっともう生きて会えませんね…」
「アルパ…それが罪を犯すと言うことだ…」
「…それから家人、上級使用人でもある執事や侍女が10年の強制労働、それからメイドの一人は15年。何しろ現公爵夫人である僕を火にかけようとしたからね。それと捕えてあった下級使用人たちは各々5年前後の強制労働か禁固。薬も抜かなきゃいけないし。そんな中で幸運だよねアルパ君は」
「幸運…ですか?」
「不知である事を認められたからこそ君が罪に問われることは無かった。が…、本来なら嫡男である君も理由をつけて罰せられるのが普通だ。」
「アレクシさんの言うとおり。いい?アルパ君がここでこうして贅沢は出来なくとも普通の暮らしができるのはひとえに公爵家の口添えあってこそ。で、その口添えは君を助けたいというアレクシさんの為にしたもの。分かるよね。それに報いる気持ちがあるならしっかりとしないと。」
「はい…」
「人は支え合って生きていく生き物だけどそれにはまず自分の足で立たなくちゃね」
「難しいです…、でもよく考えます…。あの、その…」
「まだ何かあるの…?」
「いえ、お二人とも今日はゆっくりしていけますか?修道士、修道女の方々はその、毎日忙しそうで…。少しお話しできたらと…」
「あ、いや、私は…」
「いいよ、少しだけね。お茶するくらいの時間しかないけど良い?」
あ~あ…、嬉しそうに…
はっきり魔女の存在が公表されたわけじゃないけど、神殿に仕える彼らは漠然と何かを察している。
そんな彼らは、あのアデリーナの息子に思うところが無い訳では無いのだ。なにしろ聖王国聖教はクルポックル様を崇める教えなんだから…。
まぁ、修行中の彼らが表立って何か言うことは無いだろうけど。
修道士さんたちとの共同生活はアルパ君にとって針の筵に違いない。だけど…、それでも王都で嬲り者にされるよりはマシなはずだ。
だからってぼっちは辛いよね…。
「あーあ、またノールさんに叱られるな。…僕が…」
「その寛容さこそミーミルの化身なれば…」
「大司教様…あとでうちに招待するね。それで僕を庇って!」
「おおっ!なんと光栄な!」
僕はこっそり大司教を味方につけた…。
「それでお茶してきたの⁉信じられない!」
「いやだって可哀そうで…」
「アレクシが彼の身元を引き受けたのは譲歩するにしてもこうして甘やかすのは良くないと思う。彼は彼の業を自分で乗り越えないと」
「甘やかしてはおりませぬぞ、ショーグレン卿。あの教会においてアルパは両親の罪そして己のふがいなさと向き合う日々を送っておるのです。修道士たちはけっして馴れ合いませぬ。スヴェン司祭は良き人物ですが特定の者に特別な配慮はせぬ公平さを持っております。故にアルパは人の中にいて尚孤独なのです。厳しさだけが人の心に自戒を促すとは思えませぬな。」
「で、ですが大司教様…」
「人の心に触れ優しさに触れ、自己を受け入れられたと感じた時、それが己を顧みる契機となるのです。クルポックルの教えは何も拒まぬ。精進なさいませ、ショーグレン卿。」
「う…そ、そうですね、はい…」
だ、大司教!大好き!
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