チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する

kozzy

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苦節…年 侯爵家嫡男のリベンジ

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ユーリウス様がヴェストを伴いヴェッティ王と大公領を訪れるため船上の人となって早3日。今私はノールの部屋に居る。
ケネス殿下からの勅使を届けに来たのだ。

支配人としてアッシュ君までアルパ殿に同行した今、この屋敷に一人として邪魔者は居ない。それをこれ幸いにと殿下に願い出てその任を申しつかったのだ…。

筆頭侯爵家嫡男であり、また王太子殿下の側近として侍る立場のこの私がなんという情けない…。だがあの夫夫はそこに居るだけで私の気力を根こそぎ奪っていくのだ…。恐るべし公爵夫夫…。




「この夏行われるマチルダ嬢との婚姻の儀、そこで殿下によって読み上げられる宣言の原稿をノール、君にお願いしたいとのことだ。頼まれてくれるね」
「僕に…?そんな大役を…?」
「君は殿下にとって初めて本気で苦言を呈してくれた『先生』だからね。それも何度逃げ出しても決して見捨てずにいてくれた稀有な人だ。なんだかんだ言って…、感謝しておいでなのだよ。」

「でもあれはアッシュ君の力でもあるのに…」

「もちろんアッシュ君にも並々ならぬ感謝をお持ちだ。だがアッシュ君は…ああだろう?どうしても師とは呼びたくないらしい…」
「…言いたいことは分かるけど…、アッシュ君には秘密にしておくよ」

「ノール。あの当時の殿下に対し君ほど真摯に向き合ったものは居なかった。引き受けたまえ。それこそが殿下への祝福になる」

「ありがとうヘンリック。喜んで引き受けさせていただきます、と、そう伝えてくれる?」


殿下とノールがこんな風に絆を深めることになるとは…、あの頃誰に想像できただろう。その殿下からの申し出に目を細めて嬉しそうなノール。

彼の優しさは決して甘いだけではない。社交界のそのしがらみの中で、時に誰もが片目を瞑り耳を閉ざすそんな場面でさえ彼は決しておもねなかった。間違いであれば指摘をし、良くない行いであれば釘を刺した。友人たちは皆それを煙たがったが、結局彼らは卒業を危ぶまれたり生家から放逐されそうになったりしたのだ。

ノールが「自分がつきっきりで彼らの勉強を見るから」と教授の部屋を訪ねては卒業を頼み込んでいたのを私は知っている。それでも友人たちは口うるさいノールから逃げ回っていたが…

私はそんな不器用な彼の誠実さが好きなのだ。誰かを怒らせるたび独りで落ち込むノールを放っておけず何くれとなく世話をした。
いつしかそれは友情から別の感情へと変化を遂げ、ついにはここまで来てしまったのだから私も大概手に負えない…。

だがそこにユーリウス様の影響は無かっただろうか…?彼のアッシュ君への真摯な想いに感化され続けてきた部分は否めない…。
だが紆余曲折を経て遂にノールも私の気持ちを拒むこと無く受け入れてくれたのだ。挫けることなくここまで待った自分を褒めてやりたい。


「ところでノール。話は変わるのだが…」

「どうしたのヘンリック?深刻そうな顔だね。大事な話?」
「とても大事な話だよ。」
「そう…、何かな?」


「最近ヴェストに心を通わせる相手が出来たと聞いたのだがね…」
「えっ?…情報が早いね…。うん、そうみたい。僕も驚いちゃった。あのベルマン氏、あ、ううん、ベルマン様だなんてね。そもそも彼が大公家に縁を持つお方だったなんて、それにも驚かされたよ」

「アッシュ君が言うにはヴェストの色気が増したと…それはつまり…そう言う事だろう?」
「情報源はアッシュ君か…。そう言う事ってどういう…、え?まさかヘンリック…、そ、そんな事…、推量するのも破廉恥だよ!」

「破廉恥…。言っておくが私はこれでも君に対してこの上なく紳士であったはずだ。それを破廉恥などと…。むしろ少しくらいは君も私の男としての気持ちを汲んでくれてもいいじゃないか。友人以上の気持ちで受け入れてくれたと思えたのは私の独りよがりだったのだろうか…」

「独りよがりだなんて…そう思ってる…よ…」
「そうって?」
「君はただの、ゆ、友人じゃないって…」

「ではそろそろ次の段階に進みたい。さすがの私もアレクシにまで先を越されて…これ以上は我慢がならない」

「アレクシ…?」
「ビョルンと深い仲なんだろう?」

「知らなかった…。なのに君は何でも知っているんだね…」
「ユーリウス様が教えて下さったのだ。このままノールがその気になるのを待っていたら互いに白髪になるが良いのかと。この機会を生かすよう仰って下さったのもユーリウス様だ。」

「ユーリウス様が…」
「君はどう考えている?その…嫌なのだろうか。私と身体の触れ合いを持つのは」

「嫌って言うか…。だって…。じ、じゃぁこの際だから言わせてもらうけど…。君ユーリウス様に長い間閨の指導をしてたんだよね?あれ何?」

「あ、あれは…っ!」

「アッシュ君が愚痴ってたんだ。君がおかしなことばかり吹き込むからユーリウス様が、そ、その、その…好き勝手して困るって…。それにユーリウス様も仰った。君は経験豊富だから心配要らないって。どう言う事⁉」


あ…あの夫夫は…!
彼らは私にとっての疫病神か何かなのだろうか…?
いや駄目だ…。ユーリウス様は私を慮ってそう仰ってくれたのだ…。それにアッシュ君はこの国の救世主。彼に悪気は…

悪気はなくとも許せるかっ!


「指導が出来るほどの技術をどこで覚えたの?ふ~ん、知らなかった。僕の知らないところで随分遊んでたんだね。君のその豊富な知識とやらを僕に実践されても困るんだよ。ねぇ、何か言うことは無いの?」

「し、仕方ないだろう?性への関心が高まる年頃だったんだ!私にだって発散する場所は必要じゃないか。それでも侯爵家の嫡男として危険な火遊びは出来ない。だからこそ私は割り切った相手と…」
「割り切った相手って何!? あ…まさか君歓楽街に…、嘘でしょ!ふしだらだよ!」

「もう長い事行ってない!全部君の為に止めたんだ!じゃあ死ぬまで君意外とは二度と寝ないとここで誓ったら君が責任取ってくれるんだね!?」

「いいよ!責任くらい僕が、あっ…!」
「…言質は取った。思ったのと違うが…まあいい。ここまで待たせたんだ、覚悟は良いね?」


「お、お手柔らかに…」





翌朝…、ベッドから起きられないノールの怒りを再び買う事になるのだが…

彼が想像以上に艶やかだったのでどれだけ文句を言われても睦言にしか聞こえなかった私も単純なものだ。

そうだ…。公爵夫夫がお帰りになるまでまだ1週間はある。
それまでに彼から淫らな言葉を引き出したい…などと思ってしまうのも、彼がどれほど私を焦らしてきたか、それを考えれば無理も無い事ではないか。


そんな密かな企みを隣で眠るノールはまだ知らない…。








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