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ごく普通な農家の息子は勘当息子を溺愛する?
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「カミーユ!お前と言う馬鹿にはほとほと愛想が尽きた!碌に仕事もしないでフラフラと…。いくら子爵家とは言え、わが家は穀潰しを飼うほど裕福ではないのだぞ!なのに何だ!この勘定書は!」
「そ、それは新しい絵の道具を…」
「兄のエーリクはお父様の跡を継いで朝も昼も無いほど領を豊かにするため尽くしているというのにあなたときたら…」
「ご、誤解です父様、母様。仕事はしておりました。僕はちゃんと画家として肖像画を描いt」
「お兄様!メッツァラのご令嬢は怒りで顔が真っ赤でしたわ!私の顔はあれほど丸くない!と。紹介したわたくしの顔に泥を塗って…どういうおつもり?」
「いやだけど僕の目に狂いはない。彼女の顔は、それはもう満月のように丸く」
「お兄様!」
「カミーユ!」
「とにかくもうお前をここに置いておくわけにはいかん!家があると思うからいつまでも甘えた考えが抜けんのだ!」
「絵描きなどと言う浮ついた仕事でなくちゃんとした仕事に就きなさい!それまで帰ってくることはまかりなりませんよ!」
「で、でも僕にとって筆は命と同じで…」
「ならば宮廷画家として召し仕えるかパトロンでも見つけるのだな!それまでは母の言う通りだ!敷居をまたぐことは許さん!」
ボストン一つ分の衣類と絵画の道具を持ちとぼとぼと歩く王都の町。王太子殿下の結婚式を控えいつもより賑わう街に引き換え僕の心は先の見えない不安で真っ暗だ…。
貴族学校を卒業してから早2年。16歳から成人と数えられるこの聖王国において再来年には20歳になるって言うのに去就の決まらない僕は自他ともに認めるダメ人間だ…。
定職にもつけず未だ親のすねをかじるばかり…、妹からも馬鹿にされて、遂に両親から引導を渡されてしまった。
ああ…明日からどうすればいいのだろう…。手持ちのお金も心許ない…。父様が最後の情けともたせてくれた数枚の金貨で幾日もつだろう…。
やっぱりあの時あの令嬢の顔をもう少しほっそり描いていれば…、そうしたら代金だけでも貰えただろうか…。だけど僕の絵描きとしての矜持がそれを許さない。
「矜持だなんて…、住むところも無いというのに…僕は大馬鹿だ。う…うぅ…」
「おい兄ちゃん。なんだお前行くところがないのか。しゃあねぇ。家に泊めてやるよ。」
「ほんとですか…?」
「ああ。なぁに気にすんな。荷物はこれか?」
「ええすいません。あっ!待って!」
荷物を持った親切な男は凄い勢いで駆けていく。鈍くさい僕は追い付けない…。僅か数十秒で親切な人は視界から消えた。
「どうしよう…見失ってしまった。せっかく親切な人が声を掛けて下さったのに…仕方ない宿は自分で、…ああっ!財布はボストンの中だ!」
全財産を失ってしまった…。着替えも…。何もかも…。絵の道具だけはここにあるのが不幸中の幸いだけど…。ああもう、絶望…
「ここに居たら戻ってきてくださるだろうか?も、もしも彼が戻らなければ…こ、今夜は野宿決定だな…。うぅ…」
そんな決意もむなしくしばらくすると雨の降り出した王都の夜。なんとか橋桁の下で雨を避けながら2日間を過ごし膝を抱えるだけの情けない僕。あの親切な彼はあの日戻ってこなかった…。近くの方では無かったのだろうか?し、仕方ない。明日になったらもう一度家に戻って何とか許しを…。
「駄目だ。きっと父様は許してくれない。ましてやたった一日で金貨を失った何て言ったらもうっと怒るに決まってる。」グゥゥゥ…「ああお腹が空いたなぁ…う…ぐす…」グゥゥゥゥ「父様…母様…オフィーリア…」
「なぁお前。こんな橋の下で何やってるんだ?初夏とは言え、濡れたままじゃ風邪ひくぞ?」
無一文の僕に橋の上からかけられる快活な声。僕はこんなにも惨めなのに…。その明るい声が無性に腹立たしい。
「う…うぐ…、ほっといて下さい。どうせ行くとこなんて無いんですから。もう、もうこんなバカな僕なんて野垂れ死んだほうが世の為人の為…ひっく…」
「なに泣いてんだ。あーあー、くしゃくしゃの顔して、はは、お前の泣き顔俺の弟に少し似てるな。」
「弟?何の話、」グゥゥゥゥ…「あ…」
「さっきも盛大に鳴らしてたよな。腹減ってんのか?よし!俺と来いよ。母さんが持たせてくれた芋料理がある。食わせてやるよ」
さっきから?彼はいつから僕を見てたんだろう?はっ!もしかしてこのお腹はそんなに大きな音を?…は、恥ずかし…え?それより彼は今何を?芋料理?食わせてやる?ご馳走してくれると言っているんだろうか?ああ世の中親切な人って多いんだな。じ、じゃぁお言葉に甘えて…
「いいんですか?あっ!待ってお願い!」
「ん?」
「お願いですから走らないで…。ゆっくり歩いて…。お願いします。置いてかないで…。もう置いてかれるのはやだぁ…うぇぇ…」
「なんかわからないけど歩けばいいんだな?分かった分かった。さぁ来いよ。置いてかれるのが嫌なら手ぇ繋いでやろうか?」
「いやそこまでは、…やっぱりお願いします…。」
「え?はは。冗談のつもりだったんだけどな。ま、いいか。」
そっと握った彼の手は彼によりぎゅっと力強く握り返され、その彼の手はいくつものマメを感じる僕が初めて触れた男の手、温かくて頼りがいのある働く人の掌だった…。
「そ、それは新しい絵の道具を…」
「兄のエーリクはお父様の跡を継いで朝も昼も無いほど領を豊かにするため尽くしているというのにあなたときたら…」
「ご、誤解です父様、母様。仕事はしておりました。僕はちゃんと画家として肖像画を描いt」
「お兄様!メッツァラのご令嬢は怒りで顔が真っ赤でしたわ!私の顔はあれほど丸くない!と。紹介したわたくしの顔に泥を塗って…どういうおつもり?」
「いやだけど僕の目に狂いはない。彼女の顔は、それはもう満月のように丸く」
「お兄様!」
「カミーユ!」
「とにかくもうお前をここに置いておくわけにはいかん!家があると思うからいつまでも甘えた考えが抜けんのだ!」
「絵描きなどと言う浮ついた仕事でなくちゃんとした仕事に就きなさい!それまで帰ってくることはまかりなりませんよ!」
「で、でも僕にとって筆は命と同じで…」
「ならば宮廷画家として召し仕えるかパトロンでも見つけるのだな!それまでは母の言う通りだ!敷居をまたぐことは許さん!」
ボストン一つ分の衣類と絵画の道具を持ちとぼとぼと歩く王都の町。王太子殿下の結婚式を控えいつもより賑わう街に引き換え僕の心は先の見えない不安で真っ暗だ…。
貴族学校を卒業してから早2年。16歳から成人と数えられるこの聖王国において再来年には20歳になるって言うのに去就の決まらない僕は自他ともに認めるダメ人間だ…。
定職にもつけず未だ親のすねをかじるばかり…、妹からも馬鹿にされて、遂に両親から引導を渡されてしまった。
ああ…明日からどうすればいいのだろう…。手持ちのお金も心許ない…。父様が最後の情けともたせてくれた数枚の金貨で幾日もつだろう…。
やっぱりあの時あの令嬢の顔をもう少しほっそり描いていれば…、そうしたら代金だけでも貰えただろうか…。だけど僕の絵描きとしての矜持がそれを許さない。
「矜持だなんて…、住むところも無いというのに…僕は大馬鹿だ。う…うぅ…」
「おい兄ちゃん。なんだお前行くところがないのか。しゃあねぇ。家に泊めてやるよ。」
「ほんとですか…?」
「ああ。なぁに気にすんな。荷物はこれか?」
「ええすいません。あっ!待って!」
荷物を持った親切な男は凄い勢いで駆けていく。鈍くさい僕は追い付けない…。僅か数十秒で親切な人は視界から消えた。
「どうしよう…見失ってしまった。せっかく親切な人が声を掛けて下さったのに…仕方ない宿は自分で、…ああっ!財布はボストンの中だ!」
全財産を失ってしまった…。着替えも…。何もかも…。絵の道具だけはここにあるのが不幸中の幸いだけど…。ああもう、絶望…
「ここに居たら戻ってきてくださるだろうか?も、もしも彼が戻らなければ…こ、今夜は野宿決定だな…。うぅ…」
そんな決意もむなしくしばらくすると雨の降り出した王都の夜。なんとか橋桁の下で雨を避けながら2日間を過ごし膝を抱えるだけの情けない僕。あの親切な彼はあの日戻ってこなかった…。近くの方では無かったのだろうか?し、仕方ない。明日になったらもう一度家に戻って何とか許しを…。
「駄目だ。きっと父様は許してくれない。ましてやたった一日で金貨を失った何て言ったらもうっと怒るに決まってる。」グゥゥゥ…「ああお腹が空いたなぁ…う…ぐす…」グゥゥゥゥ「父様…母様…オフィーリア…」
「なぁお前。こんな橋の下で何やってるんだ?初夏とは言え、濡れたままじゃ風邪ひくぞ?」
無一文の僕に橋の上からかけられる快活な声。僕はこんなにも惨めなのに…。その明るい声が無性に腹立たしい。
「う…うぐ…、ほっといて下さい。どうせ行くとこなんて無いんですから。もう、もうこんなバカな僕なんて野垂れ死んだほうが世の為人の為…ひっく…」
「なに泣いてんだ。あーあー、くしゃくしゃの顔して、はは、お前の泣き顔俺の弟に少し似てるな。」
「弟?何の話、」グゥゥゥゥ…「あ…」
「さっきも盛大に鳴らしてたよな。腹減ってんのか?よし!俺と来いよ。母さんが持たせてくれた芋料理がある。食わせてやるよ」
さっきから?彼はいつから僕を見てたんだろう?はっ!もしかしてこのお腹はそんなに大きな音を?…は、恥ずかし…え?それより彼は今何を?芋料理?食わせてやる?ご馳走してくれると言っているんだろうか?ああ世の中親切な人って多いんだな。じ、じゃぁお言葉に甘えて…
「いいんですか?あっ!待ってお願い!」
「ん?」
「お願いですから走らないで…。ゆっくり歩いて…。お願いします。置いてかないで…。もう置いてかれるのはやだぁ…うぇぇ…」
「なんかわからないけど歩けばいいんだな?分かった分かった。さぁ来いよ。置いてかれるのが嫌なら手ぇ繋いでやろうか?」
「いやそこまでは、…やっぱりお願いします…。」
「え?はは。冗談のつもりだったんだけどな。ま、いいか。」
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