街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

kozzy

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35 13歳 go to エトゥーリア

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エトゥーリアの国民性とは一言で言うと勤勉。家族思いで非常に朴訥だ。誰一人『封鎖石』に弾かれなかったのは幸いだったと言わざるを得ない。

こうして新たな領民となった彼らは各自すんなりと馴染んでいった。
何しろ元は難民貧民奴隷民…所により獣人族、ばかりのこの場所では全員が横一列、気兼ねはない。

故郷と同じく農業地区を選ぶ者、活気に惹かれ開発地区を選ぶ者、以前からの夢だった、と、商業地区で店を構える者、皆精一杯の強がりで新しい人生を生きようとしている。さすが戦火の国から来た人たちだ。たくましい。

そうそう、彼らは農民兵とは言え一応兵士だった人達だ。そこで有志を募って自警団を作って欲しいとお願いすることにした。

ウエストエンドには頼りになる第一騎士団がいる。だが彼らには街道警備と領門の監視、僕と屋敷を守り、また、有事には僕の指揮下で領全体を守る重大な任務がある。
そして山中は獣人セコムが24時間交代で目を光らせている。

となれば、街中の安全くらいは自分たちで担った方がいい気がしたのだ。
どうせ真の悪党は入り込めないんだから、せめて村中の治安くらいは自分たちで力を合わせてもらわないとね。
自警団…、駐在さんと言い換えてもいい。

そして別枠、お役人となった三人だけど…

現在フィッツ氏は学校にて子供たちのみならぬ大人たちにも一般教養を教えている。
これは渋る大人たちに領民の義務として僕がお願いしたからだ。

「週に一度でいいんだよ。これから誰がやって来ても君たちが胸を張っていられるように。せめて読み書き計算だけでも。ここに居るのは全員自慢の領民なんだから。僕の為と思って…、ねぇ…お願い…」

さすがに子供領主のお願いでは渋々でも頷くしかなかったようだ。上目遣いで媚び媚びの分かりやすいそれを、領民達はあっち向いたりこっち向いたり目を泳がせながら、それでも最後には僕のワガママと承知の上で首をブンブン縦に振ってくれた。身勝手でごめんね。

そしてハイネン氏もせっせと役場での対応をがんばっている。
窓口が出来たことでみんなあーでもないこーでもないと好き勝手な申し出があるようだ。
その対応に一人で頭を抱えているのだが、その申し出の大半が領主の見回りを増やしてほしい、というものなのだとか。

「え?みんなもうそれほど暮らしの不安はないはずだよね?なんで見回り?」
「ええ。まぁその…領主様直々に見ていただきたいとたっての願いなのです。作物の出来であったり良く育った鶏であったり」

「それは騎士団とか自警団の見回りではダメなの?」
「そもそもその騎士たちが領主様の見回りを推奨しているのですよ」
「え?」
「あー…、その、家畜は狼を怖がりますので放牧地区への見回り時はヴォルフ殿を除いて我々だけで護衛をする…と。それはもう楽しみにしておられるようで…」

汗をかきながら申し訳なさそうに話すハイネン氏が気の毒過ぎて…僕は「考えとく」と一言告げて、次はシュバルツの部屋へ顔を出した。

「シュバルツ。原案は出来てきた?」
「まだ途中ですが…」

物静かな彼は高位の貴族らしく感情をあまり表に出さない。それでもここに来て以来、ずっと沈んでいるのは僕にも分る。
母国の事?置いてきたという弟の事だろうか…

「良ければ話して。力になるよ?」
「いや…」

「…僕は子供だから話したところで…、って、そう思うのかもしれないね。だけど子供相手だからこそ気兼ねなく話してみたらどうかな?独り言みたいに。口に出したら気が楽になるかもよ」

しばらく考え、するとようやく彼は口を開いた。

「……散って言った彼らの事を考えていたのだ。そしてここへ来た彼らのことも。私の隊へ配属にならなければこんな憂き目にあわなかったものを…」

ポツリポツリと語られる彼の慚愧。
自分がどれほど不器用で、そして愚かだったかを。
高位貴族を含む数多の有力者、彼らの恨みを買い過ぎたばかりに前線へ送られたのだろうという事、そして最初から囮にするつもりだったのだろうという事も…

「彼らはそれに巻き込まれた気の毒な者たちなのだ。私は常に考えている。死んでいった彼らにどうやって詫びれば良いのかを…」

ふと考えてしまった…、彼は部下たちが落ち着くのを待って今度こそ本当に全てを捨てようとしてるんじゃないかって。そう、生命までも…

ちょっと不味いな…

「…僕は戦争を知らない子供だから偉そうな事は言えないけど…。でも悪どい貴族の考え方なら大体わかる。残念ながらごく身近にいたからね。ついでに排除される側の気持ちも少しは分かる。僕は〝狂魔力”の継承者だからね。君たちだって初めはそんな反応だったでしょ」

「いやあれは違…、違わないな。恥ずべき態度だ」

「だから言うけど、シュバルツが居ても居なくても農民兵の彼らは捨て駒にされた。多分ね。そのために集められたんじゃないかな?下位四小隊は」

彼の表情に変化はない。難しい顔のまま何かを考えている。

フー「むしろあなたがそこに押し込まれたんだよ、これ幸いに。僕が思うに戦場に出なければあなたはどこかで事故にあったはずだ」

「事故…?で、では!」
「ん?」

「両親の事故…、あれももしや…」

厳格だったと言う事故死した彼の父親、彼もまた排除されたのかもしれない…。今となっては伺い知れないことだが…

「だからね、むしろ生き残った彼らは幸運だったんだよ。戦争特化でなくともそこそこの魔法が使える高位貴族のあなたが居て命拾いをした。じゃなきゃ全滅だったかも」
「だが結局捕らえられ見捨てられた。無意味な仮定だ…」

頑固だな…

「でもあの坑道にあなたが居なかったら話にならなかった。彼らは僕にとても怯えていて…シュバルツが居なかったらパニックだった。僕だってそんな状況だったらここへ連れては来れなかったかも。冷たいけどね」

「冷たいなどと…。それは自領を守るために仕方のない選択だ」
「うん。シュバルツもね。だから自分を責めるのはお門違いだ」

僕は続けて約束をした。亡命者となったエトゥーリアの彼ら。その彼らの大切な人をどうにかしてここへ連れてこよう、と。

「そ、そんなことが可能なのだろうか?」
「まあ秘密裏に。でもね、あなた達は母国で既に戦死者として弔われている。これは想像じゃなくほとんど確信だ」

「そうだろうとも…」

「だからね。もう未来に向けて歩んでいる人も居ると思うんだ。あなた達が母国を出てから…半年以上は経つでしょう?」
「ああ」

「相手が望まなければ連れてこない。それで良いなら何とかする。それがシュバルツの慰めになるならね」

その中には当然彼の弟も含まれる。そしてそれはシュバルツの生きる理由にもなるだろう…

「レジナルド殿…心から感謝する…」


さて。当分忙しくなるな。
取り合えす明日から聞き取り調査を開始して…、ジェイコブとウィルはどうやって誤魔化そうか…

彼の表情が少しだけマシになったのを確認して、僕はその部屋を後にした。




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