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コスサミ初日!
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コスサミ…と言っても、所詮この世界にアニメやマンガやゲームがあるわけではない。
けれど、前世と同じようにくだらない娯楽本も好まれているし、庶民層向けに絵がほとんどの、マンガに近いものもあったりする。
騎士の出てくる散文は大人気だし、ロマンス小説は舞台劇になったりもしてるしね。
〝仮装なら何でも可”にしたわりには僕の思い描いた、創作物の登場人物…がほとんどなのは嬉しい誤算だ。もっと渋谷のハロウィーンみたいになるかとハラハラしてたのに。
だってサルディーニャの予選会場はナースだらけだったから。これはあれだ。…エヴァちゃんコスだね。なのでサルディーニャの決勝進出は期待していない。
コスサミにあたって僕が指定したルールはいくつかある。
まず一つは、本物の武器、もしくは武器になりそうな小物は使わないこと。剣は紙でなくてはならないし、槍先は丸くなくてはならない。これは前世も今世も常識だよね。
そして次に、不敬罪になりそうなコスのまま街中に出てはならないと言うこと。これは貴族や騎士なんかのコスをしたまま市中に出るな、ってことだね。貴族は嫌がるだろうし市井の人々も混乱するからね。
その三が、公衆道徳に反するような表現は避けると言うこと。衣装のみならず、過剰な血糊…とか。
ほっといても衣装はそれほど過激にならないと思うけど(ビキニアーマーとか存在しないし)…、ここはこの間まで争いの絶えなかったアスタリアだからね。色々心配でしょ?PTSDとか。
彼らは国別で用意された控室で各々準備し、そして順番に従い闘技場中央に設えた舞台に立つ。
舞台上で各チームごと決められた持ち時間でパフォーマンスを行い、その後、入りきれなかった人々に見せるため、闘技場の外周をぐるっと一周したらその日は解散となる。
その夜に僕たち審査員一同で順不同の入賞者を決め、そして次の日が決勝戦(順位決め)、そして結果発表、運命の瞬間だ。
因みに何故国別対抗にしたか…
これはそうした方が、国の威信をかけて国主がバックアップすると思ったからだ。移動の手段、宿泊費とか。
だって告知したのがサルディーニャの王様だし、となるとそこに忖度は発生するでしょ?
舞台ではちょっとしたパフォーマンスをすることになる。
これは仮装の元を知らない人にも、その仮装の世界観を伝えるためね。サルディーニャのエヴァコスが何をパフォる気か見ものである。
さて審査項目だが…
衣装審査。これはそのキャラクターをどれ程うまく表現できているか、衣装の出来栄え、メイクの工夫、などを審査していく。
そしてパフォーマンス審査。これによって原作へのリスペクトと、どれほどその世界へ引き込む力があるか、その完成度を審査することになる。
賞は優勝百五十万リラ、準優勝五十万リラ、敢闘賞四十万リラ、そしてイヴァーノ賞、カタリーナ賞、国王賞が各二十万リラで、後半三つは主観によって選ばれる。
そしてここは地味に重要なのだが…
縫製技術の素晴らしいレイヤーには、イヴァーノ・モードよりスカウトがかかるかもしれない。
また舞台での表現力、人を感動させる何か…が抜きんでていたレイヤーには、BKDよりスカウトがかかるかもしれない。
そして見栄えの素晴らしいレイヤーには、コレクションモデルとしてのスカウトがかかるかもしれない。
また、型破りで斬新なアイデアを評価された人物は、マッティオ氏をはじめとした、各商会からスカウトがかかるかもしれない!
つまりいろんな未来を夢描ける可能性の舞台、それがイヴァーノの祭典、〝仮装の頂き”なのである!
「さあ!みんな準備は出来た?僕が呼びこんだら精一杯元気よく出て来てね」
「はい!」
「このコスサミで僕はファンの前から居なくなる。だから…彼らがロスらないようみんながここで目いっぱいハートをキャッチして!」
「はい!」
「任せたよ!」
「お、お任せください!!!」
大きな声で宣言したのは以外にもロシオ。彼はノリノリで女装するルキーナと違い、目的をもって女子歌劇団にいる。
本来なら容姿が整っただけの普通の少年なのだが、意外とそういう子の方がプロ意識が高いのかもしれない。
彼はメルカートでも食い入るようにエヴァを見ていた。興奮しながらエヴァに見惚れていたルキーナと違い、ロシオのその手にはメモが握られていた。
ルキーナは「僕もあんな風になりたーい♡」と模倣してそう振る舞い、ロシオは「アイドルとはこうあるべき」と研究してそう振舞う。それはどちらが良いという話でなく、結果彼らは少女たちを差し置いてBKDのツートップだ。興味深い…
さあ。今日の舞台もエヴァの前説からはじまる。これはバトンタッチへの暗示でもあるからだ。
「みんなぁ~、元気かな☆」
「元気ー!」
「アスタリアの皆さん久しぶりー☆」
「待ってたよー!」
「会いたかったー!」
「サルディーニャの皆さんここまで来てくれてありがとー☆」
「お安い御用ー!」
「どこだって行くよー!」
「そしてはじめましてのみなさーん!僕がエヴァでぇーす☆」
「可愛いー!」
「こっち向いてー!」
「僕と一緒に会場温めてくれるかな?」
「うえぇぇぇぇい!」
「サルディーニャ!」
「いぇぇぇぇい!」
「アスタリア!」
「うぉぉぉぉ!」
「初めまして!」
「おぉぉぉぉ!」
「全員!」
「fghjkl;!」
「良く出来ましたー☆じゃあそのままのテンションで迎えてあげて。僕の大事な後輩、BKDの登場でーす☆どうぞぉ!」
「みんなぁー!ノンストップで行くよ!ついてきて!」
「rtgyhjkl;!!!」
完璧な煽り…みんな…もうすっかりアイドルだよ…ホロリ…
「イ、エヴァさんこっちです」
「ディエゴ…ありがと」
感慨にふけっている場合じゃない。
彼らBKDが前座のパフォーマンスを披露している三十分の間に着替えなくては。イベントの主宰者であるイヴァーノに。
「イヴ、これはこうでいいのかい?」
「あ、ちょっと違います。貸して」
フラヴィオ参戦とあって急遽用意したのはギリシャの神、アポロン(布多めバージョン)である。
何しろ日中僕はBKDについてなくちゃならないし…、中三日とあっては一から作る時間が無くてね…。ギリシャのあれ…簡単だから。
ん?僕?
…実はこの日のための新作ゴスとか用意してたけど…
フラヴィオがギリシャ神になるなら僕はアレしかないじゃん?
そう…アレだよ。
けれど、前世と同じようにくだらない娯楽本も好まれているし、庶民層向けに絵がほとんどの、マンガに近いものもあったりする。
騎士の出てくる散文は大人気だし、ロマンス小説は舞台劇になったりもしてるしね。
〝仮装なら何でも可”にしたわりには僕の思い描いた、創作物の登場人物…がほとんどなのは嬉しい誤算だ。もっと渋谷のハロウィーンみたいになるかとハラハラしてたのに。
だってサルディーニャの予選会場はナースだらけだったから。これはあれだ。…エヴァちゃんコスだね。なのでサルディーニャの決勝進出は期待していない。
コスサミにあたって僕が指定したルールはいくつかある。
まず一つは、本物の武器、もしくは武器になりそうな小物は使わないこと。剣は紙でなくてはならないし、槍先は丸くなくてはならない。これは前世も今世も常識だよね。
そして次に、不敬罪になりそうなコスのまま街中に出てはならないと言うこと。これは貴族や騎士なんかのコスをしたまま市中に出るな、ってことだね。貴族は嫌がるだろうし市井の人々も混乱するからね。
その三が、公衆道徳に反するような表現は避けると言うこと。衣装のみならず、過剰な血糊…とか。
ほっといても衣装はそれほど過激にならないと思うけど(ビキニアーマーとか存在しないし)…、ここはこの間まで争いの絶えなかったアスタリアだからね。色々心配でしょ?PTSDとか。
彼らは国別で用意された控室で各々準備し、そして順番に従い闘技場中央に設えた舞台に立つ。
舞台上で各チームごと決められた持ち時間でパフォーマンスを行い、その後、入りきれなかった人々に見せるため、闘技場の外周をぐるっと一周したらその日は解散となる。
その夜に僕たち審査員一同で順不同の入賞者を決め、そして次の日が決勝戦(順位決め)、そして結果発表、運命の瞬間だ。
因みに何故国別対抗にしたか…
これはそうした方が、国の威信をかけて国主がバックアップすると思ったからだ。移動の手段、宿泊費とか。
だって告知したのがサルディーニャの王様だし、となるとそこに忖度は発生するでしょ?
舞台ではちょっとしたパフォーマンスをすることになる。
これは仮装の元を知らない人にも、その仮装の世界観を伝えるためね。サルディーニャのエヴァコスが何をパフォる気か見ものである。
さて審査項目だが…
衣装審査。これはそのキャラクターをどれ程うまく表現できているか、衣装の出来栄え、メイクの工夫、などを審査していく。
そしてパフォーマンス審査。これによって原作へのリスペクトと、どれほどその世界へ引き込む力があるか、その完成度を審査することになる。
賞は優勝百五十万リラ、準優勝五十万リラ、敢闘賞四十万リラ、そしてイヴァーノ賞、カタリーナ賞、国王賞が各二十万リラで、後半三つは主観によって選ばれる。
そしてここは地味に重要なのだが…
縫製技術の素晴らしいレイヤーには、イヴァーノ・モードよりスカウトがかかるかもしれない。
また舞台での表現力、人を感動させる何か…が抜きんでていたレイヤーには、BKDよりスカウトがかかるかもしれない。
そして見栄えの素晴らしいレイヤーには、コレクションモデルとしてのスカウトがかかるかもしれない。
また、型破りで斬新なアイデアを評価された人物は、マッティオ氏をはじめとした、各商会からスカウトがかかるかもしれない!
つまりいろんな未来を夢描ける可能性の舞台、それがイヴァーノの祭典、〝仮装の頂き”なのである!
「さあ!みんな準備は出来た?僕が呼びこんだら精一杯元気よく出て来てね」
「はい!」
「このコスサミで僕はファンの前から居なくなる。だから…彼らがロスらないようみんながここで目いっぱいハートをキャッチして!」
「はい!」
「任せたよ!」
「お、お任せください!!!」
大きな声で宣言したのは以外にもロシオ。彼はノリノリで女装するルキーナと違い、目的をもって女子歌劇団にいる。
本来なら容姿が整っただけの普通の少年なのだが、意外とそういう子の方がプロ意識が高いのかもしれない。
彼はメルカートでも食い入るようにエヴァを見ていた。興奮しながらエヴァに見惚れていたルキーナと違い、ロシオのその手にはメモが握られていた。
ルキーナは「僕もあんな風になりたーい♡」と模倣してそう振る舞い、ロシオは「アイドルとはこうあるべき」と研究してそう振舞う。それはどちらが良いという話でなく、結果彼らは少女たちを差し置いてBKDのツートップだ。興味深い…
さあ。今日の舞台もエヴァの前説からはじまる。これはバトンタッチへの暗示でもあるからだ。
「みんなぁ~、元気かな☆」
「元気ー!」
「アスタリアの皆さん久しぶりー☆」
「待ってたよー!」
「会いたかったー!」
「サルディーニャの皆さんここまで来てくれてありがとー☆」
「お安い御用ー!」
「どこだって行くよー!」
「そしてはじめましてのみなさーん!僕がエヴァでぇーす☆」
「可愛いー!」
「こっち向いてー!」
「僕と一緒に会場温めてくれるかな?」
「うえぇぇぇぇい!」
「サルディーニャ!」
「いぇぇぇぇい!」
「アスタリア!」
「うぉぉぉぉ!」
「初めまして!」
「おぉぉぉぉ!」
「全員!」
「fghjkl;!」
「良く出来ましたー☆じゃあそのままのテンションで迎えてあげて。僕の大事な後輩、BKDの登場でーす☆どうぞぉ!」
「みんなぁー!ノンストップで行くよ!ついてきて!」
「rtgyhjkl;!!!」
完璧な煽り…みんな…もうすっかりアイドルだよ…ホロリ…
「イ、エヴァさんこっちです」
「ディエゴ…ありがと」
感慨にふけっている場合じゃない。
彼らBKDが前座のパフォーマンスを披露している三十分の間に着替えなくては。イベントの主宰者であるイヴァーノに。
「イヴ、これはこうでいいのかい?」
「あ、ちょっと違います。貸して」
フラヴィオ参戦とあって急遽用意したのはギリシャの神、アポロン(布多めバージョン)である。
何しろ日中僕はBKDについてなくちゃならないし…、中三日とあっては一から作る時間が無くてね…。ギリシャのあれ…簡単だから。
ん?僕?
…実はこの日のための新作ゴスとか用意してたけど…
フラヴィオがギリシャ神になるなら僕はアレしかないじゃん?
そう…アレだよ。
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