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四章 葵虐め事件の決着への道

第68話(効果は抜群だった)

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 紫さんと灰炉さんが縁完さんを観察(紫さんは監視って言ってたけど)していて気づいた事を話してくれた。

「縁完はぼく達と居る時は心から笑ってるけど、特に興味無い奴には気持ち悪い顔で笑ってるんだ」
「気持ち悪い顔?そんな顔で笑うのかあいつ?」
「気持ち悪いっていうか笑ってんだけど笑ってねぇんだよな。特に普段の紅さん達に向ける笑顔を見ていたら他の奴に向ける笑顔は一切笑ってねぇって言えるな」
「どう違うんだよ?」
「オレは縁完さんの事はよく知らねぇがそれでも分かるくらいだからな?紅さん達に向ける笑顔が心からの笑顔だとすると、他の奴らに向ける笑顔は人形が笑顔を作ってそこに居る様な感じだ。簡単に言うと紅さん達以外の奴には笑ってねぇ。笑みは作っているがそれだけだ、あれは無表情と変わらねぇよ」
「明無先生も言ってたが、そんなにか?」
「うん、本当に感情の無い人形が笑ってる感じなんだけど、、、緑、ぼくの記憶を紅達に送って?それが一番分かりやすいと思うから」
「え、あ、うん。それじゃあ、少し失礼しますね?紫先輩」

確かに緑さんの能力を使ってみんなに見せる方が手っ取り早いので、誰も何も言わずに紫さんの記憶にある縁完さんの他人に向けた笑みを見た。
(これは確かに感情が無い人形みたいな笑みだ。気味が悪いというより私は何か怖い感じがする。けど怖いっていうより不安な感じかな?)

「それと縁完は紅と白銀と鈴矢の幼馴染み組三人が一緒に居ると理想郷が叶った様な満足そうな顔をするんだ。緑、これもみんなに見せて」
「は~い」

そうして続いて同じ人なのかと思うくらい違う顔をした縁完さんの姿を見た。
(さっきとのギャップが凄い。縁完さんは兄さん達が凄く、言葉で表せないくらい大好きなんだろうな。尊敬と憧憬と憧れとか色々な所謂良い感情が兄さん達に向けられてる様な気がする)

「マジかよ、、、これが縁?」
「あんな無表情に近い笑みは見た事がないぞ」
「うわぁ、、、縁完の奴、オレ達の事が好き過ぎねぇ?」

兄さん達三人は縁完さんのこの二つの顔を見た事がなかったみたいで驚いていた。
(驚いただけじゃ無いんだろうな。三人共、何となく悲しそうだ。当たり前だよね?こんなに自分達を好いている友達と縁を切るんだもんね?嫌だよね。何とか三人を慰めたいけど、、、)

「兄さん、白兄、すまないがこっちに来てくれないか?」
「ん?どうした葵?」
「わたし達に何か用か?」
「ああ、少し顔を近づけてくれるか?鈴の兄さんも」
「「「ああ」」」
“チュッ、チュッ、チュッ”

顔を近づけて来た兄さん達の額に慰める為にキスをした。

「こんな事しか出来ないが、少しは元気が出たか?」
「へ?、、、何で?」
「、、わたし達にキスを?」
「、、、オレ達は元気だけど?」
「さっきの記憶を見た時、兄さん達が少し悲しそうだったからな。オレは慰めるにしてもこんな事しか出来ないが、兄さん達は昔からオレがキスをしてくれたら元気になると言っていたからしてみたんだが、、、効果はあるか?」

少し不安になって少し上にある兄さん達の顔を見ながら(不本意だけど上目遣いになった)私がそう言うと兄さん達が震え出した。
(鈴の兄さんが私を抱っこしながら震えるから私もかなり震えるんだけどなぁ)

「兄さん達?大丈夫か?もしかしてさっきのキスは駄目だったか?効果無かったか?」
「お、お、お、俺、俺のおと、弟、、か、か、か、」
「兄さん?ちゃんと喋れて無いぞ?」
「わ、わたしは、し、死ぬかも、も、し、しれない」
「白兄もちゃんと喋れて無い上に死ぬ!?」
「や、や、や、や、ヤバいヤバいヤわいい!」
「鈴の兄さんもか?しかも最後は“ヤバい”じゃなく“ヤわいい”になってるぞ?本当に大丈夫か兄さん達?」

兄さん達は何故かちゃんと喋れ無いくらい興奮しているみたいで深呼吸して少し落ち着いてから話し出した。
(これで本当に大丈夫かな?何であんなに興奮してたんだろう?)

「俺の弟可愛い!俺の葵可愛い!今までにないくらい元気出た!葵可愛い!最高に葵可愛い!俺もう何もかもどうでも良いかもって思った!ああ、葵可愛い!葵、」
「に、兄さん?」
「こんなに可愛く慰められた事は無いな」
「白兄はまだまとも、」
「可愛過ぎて死ぬかと思った!だが、可愛い葵を野獣達の中に残しては逝けない!やはり早急に葵の周りに居るバカな野獣共を片付けねば!可愛い葵、」
「ではなかったか、、っ!鈴の兄さん?いきなり抱き締める力を強くしないでく、、れ?」
「ヤバい、葵ちゃん可愛い。ヤバい理性がヤバい、、、葵ちゃんが腕の中に居る。オレの可愛い葵ちゃんがオレの腕の中に、」
「り、鈴の兄さん!」

三人共ヤバい目をしながら何かヤバい感じの事をずっと喋ってる。
(兄さんも白兄もヤバそうだけど鈴の兄さんが一番ヤバい!手で腰を擦らないで!触り方がヤバい!何か気を反らす事は無いかな?あ、そうだよ!まだ話の途中だったよね?)

「に、兄さん達!まだ話の途中だぞ?紫さん、灰炉さん話の続きを、、、みんなどうかしたか?何か生暖かい眼差しを感じるんだが?」
「いや、紅達の異様なほどのブラコンの理由の一つが何故なのか分かった様な気がしてな?」
「本当か?黒さん。兄さん達は昔からこうだったから、オレも何故こんなに過保護なのか知りたかったんだが何故だ?」
「いや、原因は葵にもあるから!一番の原因は
葵が無自覚で可愛いのがいけないんだろうけどね?」

緑さんがそう言うけど私はそんなに可愛い事をして無いと思ったので首を傾げた。
(良く分かんない。可愛いのがいけないって何だろう?私そんなに可愛い事して無いと思うんだけどな?)

「葵ちゃん、その仕草がもう可愛いからね?」
「菫の言う通りだ。可愛いから良いけどな。可愛いは正義だ」
「うん、暗の言う通りだね。私にとっては暗も正義だね」

すると灰炉さんが手を叩いてから話の続きを話し出した。

「可愛い葵の事で話が脱線したが話を戻すぞ?」
「おう、悪いな少し興奮した。話を続けてくれ」
「オレ達が調べて分かったのはあと二つある。一つは縁完さんの能力はかなり強いって事」
「強い?」
「ああ、オレはいつもは無意識に力を無効にしてるんだが、縁完さんと握手した時に能力を使われた感じがして意識して能力を無効にしたからな」
「握手って事はあの時か」
「ああ、そうだ」
「それともう一つはかなり有力な情報だよ」

そう言って紫さんは最後の一つを話し出した。
それは確かに有力な情報、、、決定的な証拠だった。


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